かずさんの、ふらり日々是好日の記

ふっても てっても  日々是好日  泣いてもわらっても 私の一生の中の きょうが一番いい日だから

570 AEO事業者が関税法処分を受ける時のケーススタデイ(その2 通関業者・保税業者)

2008-12-25 | 保税
569に次いでのケーススタデイです。

ケース2  

Bは、「特定保税者」及び「認定通関業者」の認定・承認を受けています。
 
 先般、Bの保税蔵置場において、荷主のたっての求めに応じ当該保税蔵置場の社員が過去2回にわたり輸入許可前に輸入貨物の配送を行なっている事案が発見されました。

いずれも配送翌日には輸入許可を受けていたもので、関税法の関税捕脱又は無許可輸入罪としての通告処分は受けませんでしたが、関税法第48条第1項により保税地域への搬入停止5日間の処分を受けました。

このため、特定保税者の承認の取消しを受けました。

この取消しにより、今後三年間は新たに特定保税の承認を受けられないのは承知しているが、別途「特定保税運送者」の承認を受けたり、現在認定を受けている「認定通関業者」の認定は取消しになるのか?

(かずさんの岡目八目の考察)

① 全国で手広く事業をしている大手企業は、数多くの保税蔵置場を運営し、通関業も営み、保税運送もしているというのは、良くあることです。このためこのケースはありうることですし、大手企業にとって事業継続上のリスクにもなる事項です。

② 新しく特定保税運送者の承認は受けられるか?
 イ  結論から言うと難しそうです。
 
 ロ  特定保税運送者の承認要件は、関税法第63条の4(承認の要件)に規定されています。
     この要件には、関税法違反で刑に処せられたり通告処分を受けて履行した場合には承認されない(同   条第一号イ 参照)とされていますが、関税法第48条の搬入停止は、この規定に該当しません。

 ハ  そこで、63条の4の承認要件の規定を見ていくと、第二号に「承認を受けようとする者が、特定保税運    送に関する業務を電子情報組織を使用して行うことその他当該業務を適正かつ確実に遂行することがで   きる能力を有していること」との規定があります。

 ニ  そして、税関長から搬入停止の処分を受けた時は、税関は特定保税運送者の審査に当たり、この第二   号の承認基準に適合しないとして扱われます。
     つまり、特定保税運送業務を適正かつ確実に遂行することができる能力を有しているとは、認められ    ません。

 ホ  この場合、搬入停止の期間が終わった翌日から3年間は、特定保税運送者の承認を受けられないよう   です。

③ 認定通関業者の認定は取消されるのか?
 イ  結論からいうと、取消されないとは言えないようで、保税蔵置場の違反の原因や、改善状況次第でしょ    う。

 ロ  Bが特定保税者の承認を受けるに当っては、保税業務についての法令遵守規則を定めています。輸入  貨物の許可前配送はこの規則や業務手順に反した行為で、社員がこのような行為をしたことは、同じ企業  が認定通関業者の際に定めている通関業についての同種規則や手順についての実施状況が適正か否か  に疑問を呈する問題です。

 ハ このため、税関は、Bが特定保税者として生じた違反の再発防止のため、社内的に法令遵守を再度徹底   し、必要な改善措置等についての実施状況等を見守った上で、認定通関業についての対処を検討すると  想像できます。

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  飯島 愛さんの突然死の報道には驚きました。クリスマスイブの悲しい知らせでした。
クリスマスの今日が終わると、街は年末風景に一変します。読者は、来年のカレンダーは確保されましたか?

  遅ればせのワクチンを打ってもらいましたが、インフルエンザが流行っているようです、気をつけましょう。






  
 








495 か~るく頭の体操(その13 AEO・・・保税)

2008-09-04 | 保税
 自民党総裁選のニュースが、あちらこちらで聞かれますが、経済も心配。
だいぶ株が下がっていますから、関税の延納のための担保を株式で提出している企業は評価額が下がって追加提出とかになっているのではないでしょうか?
・ ・・・・
10月5日の通関士試験まで一ヶ月、今は地道に実力要請の時期です。今回は日本のAEOの諸制度のうち保税をテーマにか~るく頭の体操シリーズです。

Q 次の記述について、間違っている部分はどこか、すべて指摘してください。

1 関税法第50条は、保税蔵置場の許可の特例を規定している。
保税蔵置場の被許可者は、主たる事業場を所轄する税関長の承認を受けることにより特定保税承認者になることができ、以後は、保税蔵置場の追加に当たっては当該承認を受けた税関長への届出で行うことができる。

 上記特定保税承認は、6年ごとに更新を行なわなければ効力を失うが、その6年間に関税法違反による処分がないときの更新は10年毎である。
また、承認の要件は、保税蔵置場の最初の許可から2年を経過していることのほか、蔵置場の業務全般について電子計算機システムで管理していること、法令遵守規則を定めていることなどが規定されている。

なお、承認を受けた被許可者が届出た、許可を受けたとみなされる届出蔵置場についての許可手数料は全額が免除される。

2 関税法第63条の2は、あらかじめ主たる事業場を所轄する税関長の承認を受けた特定保税運送者による保税運送は、あらかじめ届出た区間については、運送の承認を受けることなく到着後に確認を受けることにより、行うことができる。

 つまり、外国貨物が運送先に到着した時は、特定保税運送者が運送目録を到着地の税関に提出して確認を受けることとされている。

 なお、特定保税運送者の承認は、保税蔵置場の許可を受けている者は、その許可の日から2年を経過していることが必要である。

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少し無理して文章を作っていますから、答えに困るような記述があるかもしれません。
今年の試験では、AEOの諸制度への正しい理解が、ポイントの一つですから頑張ってください。









369 新しい日本版AEO制度―「特定保税運送者」

2008-02-29 | 保税
今日は!これも、関税法改正で4月から新しく発足する法律上の名称の保税運送者です。

ご承知のように、外国から日本に到着した貨物のように「外国貨物」については、税関長の承認を受けて税関長が指定した場所相互間を運送することが出来ますが(関税法第63条)、その運送をする者が保税運送者です。

 「特定保税運送者」は、改正後の関税法第63条の2に規定されていますが、法律の文章を引用しますと「第63条の2 認定通関業者又は国際運送貨物取扱業者であって、あらかじめいずれかの税関長の承認を受けた者(以下「特定保税運送者」という。)・・・」とされています。

 ここで、「国際運送貨物取扱業者」という関税法では始めての言葉が使われていますが、条文では

「・・国際運送貨物の運送又は管理に関する業務を行う者として政令で定める要件に該当するものを言う。」とされており、未だ法律が成立しておらず政令が出ていませんので詳細は分かりませんが、船会社、航空会社、フォワーダー、港湾運送業、コンテナヤードなどが含まれると想像できます。

○ 特定保税運送者の承認要件(改正後の関税法第63条の4)

1 過去3年又は2年以内に関税法等の違反がないこと・・この要件は関税法その他の法令などによって、期間や、対象の処分内容が異なります。
2 NACCSを利用して手続きを行うことその他業務適正遂行能力があること
3 法令遵守規則を定めていること
となっています。

この、特定保税運送者による保税運送については、個々の運送ごとに事前の承認を受ける必要はありません。具体的には、改正後の関税法等で学んでください。
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今日で二月が終わり、三月が始まります。
縁があって、近く、一般の方に最近の貿易手続きなどのことを話す機会があります。
 世話頂いている事務の方はてきぱきで能率よく、慣れないパワーポイントを利用してですが、いろんなことに、よき刺激を受けています。

 




348 特定保税承認制度の承認が続く!

2008-01-29 | 保税
引き続き、日本列島が凍っていますが、暖かくして気をつけましょう。

 346で、日本版AEO制度の最新事情を紹介しましたが、特定保税承認制度の承認について23日に日本第1号で日本通運が承認を受けましたが、第2号は25日に名古屋税関管内の伊勢湾海運が受けました。
 
神戸税関では、森本倉庫が近々に承認を受ける見込みとのことです。

 どうやら、関税法の世界の日本版AEO制度も、弾みとは言い過ぎかもしれませんがだんだんと浸透しつつあるようです。
 通関業法のAEO制度が法律改正でできると、また弾みがつくんでしょうね。

 そういうと、24日に2007年の貿易統計が発表されました。詳しくは覚えなくても必要に応じて財務省の数字を見ればいいと思いますが、

「輸出は自動車、鉄鋼等が増加し、83兆9,407億円(対前年比11.6%増)、輸入は原粗油、通信機等が増加し、73兆1,157億円(同8.6%増)となり、差引は10兆8,249億円」

ぐらいは、記憶しておきたいものです。
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かずさんは、パワーポイントのスキルアップをしようと少し勉強しています。
10年近く前に少しかじったことがありますが、いろんなことができるんですね(再認識!)。
でも、やはり基本は伝えたいことの中身がないと力がなさそうというのも改めて思い知ったしだいです。




265 特定保税承認制度がスタート(その2)

2007-09-26 | 保税
昨夜の中秋の名月は、かずさんはベランダからばっちり、こんなに綺麗に見れたのは
久しぶりです。
 子供の頃は、縁側でススキや団子を備えての月見をした覚えがありますが、近頃は季節の風物詩が失われてきていますね。

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 今年の10月1日実施の税関手続き関係の改正は次の3点です。
① 郵政民営化が図られ、262で取り上げたように郵便の納付委託制度が始まり
② 新設された特定保税承認制度が実施され
③ 輸入の簡易申告制度について、貨物到着前の引取申告が可能となり、また、引取り後の特例申告をまとめて行えるようになります。
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前回は、②の特定保税承認制度のメリットを取り上げましたが、今回は利用するための要件などです。

輸出入通関もそうですが、日本版AEO制度を利用するには税関長の承認を受ける必要があります。
 そして、その承認を受けるための要件は、通関、保税ともに基本的な3要件はほぼ次のように共通になっています。
 つまり、

1 過去の一定期間内に関税法などに違反して処分を受けていないこと
 → 関税法違反がないことは当然ですが、例えば輸入通関のAEO制度では、国税関係法令以外の法令違反の有無も問題になります。

2 法令遵守規則を定めていること

3 業務について①NACCSを使用して行われること②その他業務が適正かつ確実に遂行できること→このように、これからの税関手続きは、NACCSを利用することが基本になっていることが、日本版AEO制度の下で、明白になってきました。


大雑把に見ると、過去に問題を起こしておらず、関税法にマッチする業務実施について社内ルールがあって、税関手続きの実際がNACCSで行われるなど、手続きがしっかり正しく行えること という、当然といえば当然の要件になっています。

 なお、今回テーマの特定保税承認制度では、「3年以上継続して保税蔵置場等の被許可者であること」との条件がついていますが、まったく保税の経験がない事業者について始めから承認するというのは無理だというのは、うなずけるでしょう。

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今日の報道で、世界の外国為替の取引規模が、一日当たりで3兆2千億ドルで、国別シェアでは英国、米国、スイス、日本の順ということでした。

 日本は、3年前の調査時の3位8%から4位6%になったようです。

ちなみに、シェア34%で1位の英国は、アジアと米欧の両方から取引に参加しやすい立地条件から外貨取引の集中が加速したようで、外貨準備が急増したアジアの新興国などが運用通貨をドル以外に多様化しようと英ポンドやユーロ取引を増やしたことが影響したとみられているようです。
 

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