かずさんの、ふらり日々是好日の記

ふっても てっても  日々是好日  泣いてもわらっても 私の一生の中の きょうが一番いい日だから

719  特定輸出申告貨物の運送費の消費税!

2009-11-17 | 輸出
こんばんは! 12月中旬の冷え込みで、通勤者にもコート姿が見られるようになりました。
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 21年度の税制改正について、税制調査会の審議が進んでいます。 11月6日の調査会では各府省からのヒアリングの一環で、財務省からの聞き取りが行われました。

 この中で、財務省から、特定輸出申告の貨物についての運送について、消費税を免除するとの税制改正の要望が説明されています。地味ですが、関係者には朗報です。

 ご承知のように、一般の輸出貨物は、保税地域に入れて申告し、許可を受ければ外国貨物となって、この外国貨物を港まで運送する保税運送については、消費税は免除されています。

 ところが、特定輸出貨物は、保税地域に入れずに港への運送途上でも申告できますので、メーカーが工場や内陸地、又は港への運送途上に特定輸出申告すると、保税地域までの運送は消費税が課されることになります。
 この課税諸費税は、メーカーは一旦、運送会社に仮払いしますが、最終的には還付されますので、最終的な消費税負担は特定輸出申告を利用しても同じです。

しかし、フォワーダーや、運送業者にとって、たとえば同じコンテナー内に一般輸出の消費税免除の外国貨物と、消費税課税の特定輸出貨物が混在するようなときには、消費税計算がややこしく事務的に煩瑣です。 このため、特定輸出貨物の運送に係る消費税も、一般輸出貨物の消費税と同様に免除するように税制を改正したいと要望しているものです。

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 税制調査会では、大串財務大臣政務官が次のように説明されています。

2番目と3番目が、財務省独自の施策でございますが、まず、2番目にあります、
特定輸出貨物の輸送等に係る措置でございます。これは一般の輸出業者と、免税とさ
れている保税地域間の運送に係る輸出業者、これは特定輸出貨物に係るような一定の
ステータスを与えられている業者でございます。それに認められる特定輸出申告制度
を利用した場合、保税地域に運送する前に、輸出申告が可能であることから課税とな
って還付するということになっております。

ですので、内容は同じなんですけれども、基本的には還付が生じているということ
になっておりますので、本要望は一般の輸出貨物との均衡を図るべく特定輸出貨物に
係る運送と課される消費税についても免除するという、横並びの扱いとしてもらうと
いうことを要望するものであります。

http://www.cao.go.jp/zei-cho/gijiroku/pdf/21zen7kaia.pdf  の2ページに出ています。

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 今朝、国際宇宙ステーションに物資補給する、スペースシャトルが打ち上げられました。
 先般の、日本の補給船の成功が記憶に新しいところですが、技術立国 NIPPONの元気を回復したいものです。





674 北朝鮮との貿易の実情

2009-06-16 | 輸出
北朝鮮に対する日本独自の制裁措置として、輸出が全面禁止となります。
そこで、北朝鮮との貿易の実態を税関のホームページから貿易統計で見てみました。

 直近の数字ということで、2009年4月の日本から北朝鮮への輸出額は2755万円となっています。
 
  1-4月の累計では1億6860万円ですが、2008年の輸出総額が約8億円ですから、昨年比からもだいぶ減少していることが分かります。
 この輸出額からは、対北朝鮮輸出はすでにほぼない状態になっていたと言えます。

 では、どのようなモノが輸出されていたのでしょう?9桁ベースの詳細な品目について同じく貿易統計で見てみます。2008年の輸出総額8億円のうち、1年間で1千万円以上の輸出が行なわれたのは、金額の多い順番で次の通りです。なんとなく北朝鮮の経済状況が透けて見えそうです。

① 自転車 ②ペイント ③プラスチック製の食卓・台所用品 ④油又はガス掘削用ドリルパイプ ⑤ 石油及びその他の調製品(その他のもの) ⑥調味料 ⑦合成繊維の織物 ⑧チューインガム ⑨ 履物 

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 2005年度の、(財)国際金融情報センターが財務省の委嘱研究会(朝鮮半島をめぐる今後の国際関係の展望)のレポートによれば、北朝鮮の2004年における主要な貿易相手国は、輸出入総額の多い順に、中国、韓国、タイ、EU、日本となっています。

 2004年では、北朝鮮から日本への輸出は1億7千万ドルで、100円換算なら170億円で中国、韓国についでの輸出相手国でした。北朝鮮のマツタケや、紳士服が日本でも売られていたのを覚えていますが、これは既に輸入禁止になってゼロになっています。

 また、今回禁止になる日本からの輸出(北朝鮮の輸入)は、2004年で9千万ドル、100円換算で90億円ぐらいでしたが、これが2008年には8億円まで減少していますので、既にほとんど貿易が無い状態になっていました。

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 先日、立ち木の幹に付いているかたつむりを発見しましたが、最近はついぞ見かけなくなりました。






658 通関手続きにおける「武器」の扱い

2009-05-25 | 輸出
今晩は! 昨日「武器輸出三原則」の緩和への動きが報道されていました。
この機会に武器の通関手続きをおさらいしてみましょう。

この問題は、そもそも三原則の武器とは何かとか、汎用品をどう考えるのかなど、武器の定義の議論もあります。
街の猟銃店に行くと、昨日、事故があった散弾銃などの猟銃やスポーツ射撃用の銃を販売していますが、あれは三原則の武器でしょうか?実は違います。

武器の定義だけでも、何度かブログにかけるほどの経緯があるようですが、今回は、三原則の「武器」というものの定義は自明として記述していきます。
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1 「武器輸出三原則」とは

武器と武器技術の輸出を禁じる政府方針です。
1967年に佐藤首相が国会答弁で①共産国 ②国連決議で武器輸出が禁止された国 ③国際紛争当事国かその恐れがある国 への武器輸出禁止を表明しました。

1976年に三木首相が三原則以外の地域についても「輸出を慎む」として事実上の前面輸出禁止が政府の統一見解になり、武器技術や武器製造関連設備も対象としました。
1983年、中曽根内閣の官房長官談話で、日米安全保障条約の枠組みの中で行なう対米技術協力を例外扱いにし、2004年には小泉内閣において米国との弾道ミサイル防衛(MD)システムの共同開発・生産を例外扱いにしました。

 なお、アフリカ・ソマリア沖の海賊対策のため自衛官や海上保安官が携行する武器など、あるいは自衛隊の海外活動については、その都度、携行する装備品などを官房長官談話などで例外扱いにしています。

このように、自衛隊の海外活動や、安全保障条約が背景にある米国への技術供与・共同開発などは談話などにより例外扱いとしていますが、その他の国との共同開発や商業的な輸出は全面的に禁止しています。

2 関税法における武器の扱い

HS93類に「武器及び銃砲弾・・・」の分類があります。貿易統計を見ると若干の輸出実績がありますが、それはスポーツ用などの三原則の武器に該当しないものと想像できます。

一方、関税法第69条の2には輸出してはならない貨物の規定がありますが、ここには、武器やけん銃などは書いていません。また、第69条の11には輸入してはならない貨物の規定があり、けん銃、小銃などがありますが、他法令の規定で適法に輸入する場合は除かれています。自衛隊が輸入するものはこの例外なんでしょう。

このように見ていくと、武器の輸出は関税法の絶対禁止ではないことがわかります。
つまり、武器輸出三原則は、外為法によって経済産業省が輸出ライセンスを発給しないこととし、その水際での実効性を税関の審査・検査で担保していることが分かります。

3 武器輸出についての関税局長通達

税関のトップページには、所管法令等一覧(含む改正)という項目があって、関税法や通達を見ることができます。
余り知られていませんが、この中に「武器等の輸出規制に係る審査等の充実強化について」という昭和56年6月の関税局長があります。

この通達は、韓国に砲身の半製品が輸出された疑いのある堀田ハガネ事件が発覚し、昭和56年の国会で武器輸出三原則に違反する事件として問議され、国会の「武器輸出問題等に関する決議」を踏まえて規定されたものです。興味のある方はご覧になれば、「武器関連貨物」として武器が分類される可能性のあるHS番号を特定するなど、相当厳格なチェックが想定されています。

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武器輸出三原則の扱いは、国策というレベルの問題で、これから年末の防衛計画大綱の策定時期まで検討されると報道されています。

通関業などの通関実務面で、関係することはまずないと思われますので、知識として頭の隅っこに覚えておけばいいでしょう(^.^)

最後に頭の体操で、江戸時代の火縄銃は、三原則の武器でしょうか(^.^)



656 輸出入通関制度の認知度!

2009-05-22 | 輸出
NHKの連続テレビ小説「つばさ」では、開局2ヶ月の「ラジオぽてと」の知名度向上が目標になっています。

税関が所属する財務省は平成13年度から、毎年、政策評価実施計画を公表しています。平成21年度の目標は、3月末に公表されていますが、この中には関税や税関行政についての政策評価も盛り込まれています。

その内容を見ると、財務省全体では、主要な政策分野について38の「政策の目標」(総合目標6、政策目標27、組織の運営の方針5)について実績評価が行なわれます。

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通関士や業界に関係が深い、政策目標「貿易の秩序維持と健全な発展」の詳細を見ると、目標を達成しているかどうかを測定するための業務指標として、いくつかの数字が挙げられています。

輸出入通関手続きに関係する業務指標をいくつか紹介しますと、次のとおりとなっています。

① 特例輸入者数・・・ 21年度目標75者 (19年度56)
② 特定輸出者数・・・ 21年度目標 220者(19年度100)
③ 特定保税承認者数・・・ 同    60者 (同18)
④ 認定通関業者数 ・・・ 同  12者
⑤ 特定保税運送者数・・・同 5者
⑥ 輸出入通関制度の認知度 ・・・同制度によって70%~90% (例えば特定輸出申告制度は70%が目標)

一方、輸出入通関における利用者満足度という業務指標では、21年度目標値が、輸出入者には30%、通関業者には40%となっています。また、税関相談制度の利用者満足度目標値は60%とされています。

 経済のグローバル化が進み、輸出入手続きが一握りの企業だけのものではなくなった現在では、カスタムスサービスの顧客満足度(CS)の向上は、日本経済の国際競争力のためにも大切なことです。
 
ただし、大抵の企業は、麻薬の密輸やテロ対策、関税の脱税は自分たちには関係ない問題で、通関などの行政手続きをできるだけ平易・ローコストで、手間ひまかからないようにとか、納税は出来るだけ少なくしたいというのが、率直な思いでしょうから、輸出入者の満足度があまりに高くなるのは、税関の重要なミッションである水際での取締りや、社会の安全・安心からもちゃんと仕事してるでしょうね?といった面から、信頼感への不安が生じそうです。

 利用者満足度の向上と、税関のミッションの達成とのバランスが大事ですが、そのWIN/WINの関係を維持するとされ近年導入されたAEO諸制度の運用に当たっては、AEO事業者の認定・承認後に随時行われる、税関による実地調査や監査は厳正に実施して、継続して企業にも社内管理をきっちり求めていくとともに、真にしっかりした企業と見極めた者には思い切った自主管理の手続きを認めるなど、メリハリのある行政が必要なように考えられます。

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619 特定委託輸出者の最新事情

2009-03-19 | 輸出
 こんばんは!
輸出申告を認定通関業者に委託した輸出者は、「特定委託輸出者」といいます。(関税法第67条の3)

つまり、この特定委託輸出者は認定通関業者に申告を委託すれば誰でもなることができますが、その場合AEO制度の大きなメリットである、「貨物の保税地域搬入原則の例外扱い」になりますので、この制度の利用が普及していけば、輸出貨物の保税地域搬入は、実質的に必要がとても少なくなると思われます。

 先日、ある会合で聞いたところによれば、今のところこの制度の利用はゼロと言うことでした。

 といいますのは、特定委託輸出者の輸出貨物については、貨物を置いてある場所から開港、税関空港までの運送を「特定保税運送者」に委託しなければならないからです(関税法第67条の3第2項後段)。

 認定通関業者が手続きをして、特定保税運送者が運送するという線で繋がるセキュリテイ確保が図られなければAEO制度として意味がないということからは当然の要請でしょうね。

 ところが、今のところ、2008年4月から実施の「特定保税運送者」の承認を受けた者がいないため、折角の制度が動かないんですね。この業種は、海上運送法、港湾運送事業法、貨物利用運送事業法などの国土交通省が主管している企業が主体ですから、その動向がポイントでしょう。

(参考)2月19日現在の、全国のAEO承認者数は次のとおりです。
 特例輸入者 69、特定輸出者 198、特定保税承認者 50 、認定通関業者 7 、特定保税運送者 0

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都会地では例年よりだいぶ桜の開花が早まっているようで、週末の花見を予定されている方もおられるのでは?

 楽しんでください。