かずさんの、ふらり日々是好日の記

ふっても てっても  日々是好日  泣いてもわらっても 私の一生の中の きょうが一番いい日だから

586 「AEO製造者」と「悪意の輸出者の組合せ」って有り?!

2009-01-26 | 輸出
1月26日は、旧正月で中国の春節です。日本の中華街では正月の行事が行なわれているようです。

  日本では、お正月といっても爆竹を鳴らしたり、京都のような古都でもないと和服で着飾ってということは殆ど見なくなり、ダウンで防寒しての初詣ぐらいになっていますが、中国では故郷に帰る大移動になるようです。

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大阪女子マラソンの渋井選手、大相撲朝青龍の復活のニュースがあった日曜日はいかが過ごされましたか?

物流関係のニュースでは、昨年宅配便についての提携をしてJPエクスプレスという統合準備会社を設立していた、郵便事業会社と日本通運との宅配便事業が、今年の10月に本格的な事業統合が完了するとの報道がありました。

ご承知のように、郵便事業はゆうパック、日本通運はペリカン便というブランドですが、日本通運の宅配便事業を分割して、JPエクスプレスに承継するとのことです。

統合後のブランドについては発表されていないようです。宅配便市場の取り扱い個数は、ヤマト運輸と佐川急便の2社で7割以上を占め、日本通運と郵便事業あわせて2割程度ですから、取扱拠点の扱いなどJPが追走するためには未だまだ乗越える課題があると指摘されているようです。

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12月10日のこのブログの「560 AEO製造者の導入へ!」で、関税法改正で製造者のAEO制度が新設されることを紹介しましたが、このたび明らかになった財務省の審議会(関税・外国為替等審議会 関税分科会)の議事録で、この制度の審議でのやり取りが発表されています。

12月9日開催の議事録ですが、犬伏委員が次のような疑問を出されています。

○犬伏委員すごく素人の発想ですけれども、今の御説明ですと、製造者を認定できたら、商社なり輸出者そのものは認定されていなくても直接荷物を受け渡しされている限り認定されたと同じように扱うというお話ですよね。人間古くなってくると悪いことを考えるものですから、そこにまたいろいろな逃げ道、サプライチェーンと言うんだったらそれぞれ輸出者もちゃんとAEOを取ってもらうのが本来で、そうではないところを置くということは何か起こらないでしょうかという疑問です。

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 おさらいをすると、「AEO製造者は、貨物のセキュリテイ管理と法令遵守の体制が整備された製造者を税関長が認定し、このAEO製造者の貨物について、輸出者がAEO製造者からその製造貨物を直接取得して輸出する場合に貨物を保税地域に搬入する前に輸出申告を行うことができるようにする。」というものです。

 先ほどの犬伏委員の疑問は、輸出者がもし悪意の人だったら問題があるのではないかとの提起です。
 確かに、世の中善意の人ばっかりじゃないし、貨物のセキュリテイ確保という観点からはどうなんだろうとの心配も分かりますね。

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 これに対し、関税局の岸本業務課長は、次のような回答をしています。要は、サプライチェーンのほころびが生じないよう、先ほどの点も含めて認定に当ってチェックするということです。

○岸本業務課長御指摘のとおりでございまして、輸出者自身は現在、ただいま御提案しましたAEO製造者制度では、輸出者はAEOではない人であるというのが前提でございます。輸出者が、例えば商社がAEOをみずからお取りになることはもちろん望ましいことでありまして、ぜひそうお願いしたいわけでございますが、そういう場合には従来の制度であるAEO輸出者制度がそのまま利用できるということでございます。

 それであったとしても、まさにおっしゃいますとおり製造者がAEOをお取りになる、商社もAEOをお取りになる、みんなAEOを取るというのがサプライチェーン全体がAEOでつながるという考え方でございまして、運用としてはぜひそういう方向でやっていきたいと常々思っているわけでございますし、また経済界においてもAEOがサプライチェーン全体としてつながっていることが望ましいという認識は経済界の方々もお持ちでいると理解しております。

 今の問題でございますけれども、しかし、制度上としては新しくAEOの製造者をつくるということでございますと、従来のAEO輸出者の制度で足りている場合に重ねてつくるわけにもまいらないという事情もございます。御懸念の輸出者が仮に悪い人だったらどうしようかということでございまして、そこがこの制度の、まさに私どもが工夫をしなければならない点だと思っております。十分その御指摘を踏まえて検討していきたいと思いますが、私ども今考えておりますのはAEO製造者がまさにそういうしっかりした人で、しっかりした会社で、輸出者と一体となって貨物の管理を適正にやっていくという、そういう前提でこういう制度をつくっていきたい。

 そのやり方はいろいろあろうかと思いますけれども、AEO製造者が輸出者としかるべく体制を構築して、貨物の管理に抜けがないようにしっかりした体制をつくるといったようなことを確保することをチェックしたいと考えております。御指摘を踏まえて、しっかりした制度にしたいと思います。
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 定額給付金を盛り込んだ第二次補正予算が成立しました。そういうと、先週の23日に閣議決定された平成21年度税制改正の中には、定額給付金の所得税非課税というのが盛り込まれていました。

 定額給付金を貰っても税金がかからないのは当たり前と思っていましたが、やはりそれも税制改正しなければいけないんですね。改めて法治国家を認識です。

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 今朝のABCラジオの報道では、雪の中にふきのとうが芽を出したとか、明るい話題が少ない世相の中で春の息吹を感じるのはほっこりです。






579 関心を集める通関行政の対応!!

2009-01-15 | 輸出
 いま、日本の大手輸出者の中で静かな関心を集めている税関の対応があります。
通関業者にも、このような大手輸出者からの問い合わせがあるようです。

 というのは、日本版AEOの特定輸出申告制度は、2008年末の特定輸出者の輸出額シェア50%以上との数値目標を掲げたことを背景に、昨年初めから、財務省関税局・税関が従来の包括事前審査制度利用者などの大手輸出者に対し、特定輸出申告制度の利用について強力な指導をしてきた経緯があります。 

また、20年以上利用され普及していた包括事前審査制度を2008年末で廃止するとの方針を出し、特定輸出申告制度への移行を促しました。

 この経緯を背景に、多くの企業の貿易手続関係部は、生産部門や、営業部門、物流部門に対し、「包括事前審査制度が廃止になる。特定輸出者の承認を受けなければ、輸出通関時の書類審査や現品検査が増え、リードタイムが長くなるなど国際競争上不利になる。」との説明で、生産、営業部門をリードしてきました。

そして、昨年末で包括事前審査制度がなくなり、現在の日本の輸出通関は、
A 特定輸出申告
B その他の一般の輸出申告
の二つになっています。

 ただし、特定輸出者の承認を受けた者の輸出であっても、100%の貨物について特定輸出申告をしているわけではありません。

このため、今年の1月から、特定輸出者の輸出は
A 特定輸出申告
B その他の一般申告で、昨年末まで包括事前審査を適用していたもの
C その他の一般申告で、昨年末まで包括事前審査を適用していなかったもの の3種類があります。

また、特定輸出者の認定を受けていない者の輸出は
D 一般申告で、昨年末まで包括事前審査を適用していたもの
E 一般申告で、昨年末まで包括事前審査を適用していなかったもの の2種類があります。

 冒頭のことに戻りますが、静かな関心を集めているのは、今年の1月又はこれ以降において、この合計5つの輸出申告のパターンについて、審査区分の「1」、「2」又は「3」の出方がどうなっているのかということです。

 読者の皆さんは、理論的な区分1の率は A、B、C、D、Eについて、どの順番で高いのが当然と考えますか?

 税関行政として、これまでの説明への信頼感を失ったり、税関との折衝役になっている貿易手続き関連部門が行なってきた社内向けアナウンスのはしごをはずすような、審査基準の運用をしないことが望まれます。

 また、輸出申告の総件数が随分減っているようですので、税関の業務処理能力にも余裕が出ているでしょうから、このようなことへの適切な運用が期待されます。

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 恥ずかしい話ですが、昨夜、先週新しく送ってもらったクレジットカードが見当たらず、狭い家や、置きそうなところをがさがさ、ごそごそをしました。

 記憶では、直ぐに使う予定があるからと思って、PCを置いているライテイング・デスク上段の文庫本の上に見えるように乗せたつもりだったのが見当たらずで慌てましたが、今朝、出勤途次に、かばんのシステム手帳を見ると、はさんでいました(ギャッ!)。

 ぼけてきたのかな~?

 どうやら、何かの作業をしながら、別のことをすると、記憶回路に途切れが生じるようで、パソコンがマルチタスクで幾つもの作業を同時並行で処理することには尊敬です。






569 AEO事業者が事故や違反をしたときのケーススタデイ(その1輸出入者)

2008-12-24 | 輸出
 輸出入者、通関、保税蔵置、保税運送等に携わる主要企業にとって、AEO事業者の承認を税関から受けることは課題になっていますが、その承認を受けることは、手続きのミスなどによって認定取消しを受ける可能性が生じることによる経営上のリスクが高まることにもなります。

ケース1  Aという、商社又はメーカが、特定輸出、特例輸入の二つのAEOの承認を受けているとします。

 輸出貿易管理令別表第1に該当し経済産業大臣の輸出許可を要する貨物を、非該当として輸出したため、経済産業省貿易経済協力局長から文書により厳重注意されるとともに、再発防止策の徹底を求める警告書を受けた。
 特定輸出、特例輸入の税関によるAEOの承認が、取り消されたり改善命令受けるのか?

(かずさんの岡目八目の考察)
AEOの承認が取り消されるかどうかは、多分に税関の裁量の部分が大きいものですので、以下は、外野席からの法令の規定を読んでの独断の考察と受け止めてください。

①  特定輸出者の承認の取消しは、関税法67条の9に規定されており、「各号に該当するに至ったときは・・承認を取り消すことができる」としています。

 この「できる」規定は、当然に取消されるものではなく、税関長の裁量の余地がありますが、第67条の4の承認要件に適合しないこととなったときには、かなり高い確率で取消されると受け止めたほうが良いでしょう。

② 第67条の4の第1号ロでは、「・・第70条の他法令に関し違反して刑に処せられ・・・」と規定され、本ケースの輸出貿易管理令該当貨物を、非該当として申告したことは、他法令に関する事故(注)です。

 (注)該当品を非該当と申告した場合、関税法の虚偽申告として罰せられる可能性がありますが、今回の考察はこの処分は受けなかったことを前提にします。 
 なお、経済産業省の処理状況から見ると、関税法違反で処罰される可能性は低いように思われます。

 そこで経済産業省の厳重注意や、警告書は、関税法で言うところの「刑に処せられ」に該当するかどうかですが、法律でいうところの刑には、「厳重注意や警告」のように主管法律に明確な根拠のない行政庁の処分は該当しないと考えられます。

 本ケースの場合、外為法第53条の制裁でもありませんので、特定輸出の承認要件に明確に違反したとはならないでしょう。

③  一方、関税法第67条の5(規則等に関する改善措置)は、特定輸出者に法令遵守規則等について改善措置等を命ずることが出来るとされています。
 この命令は、厳重注意と異なり、法律に根拠を置くものですので処分としては重いものです。
 もしかしたら、事案の内容や、A社の他の特定輸出申告状況などから、この命令を受ける可能性は皆無とはいえないでしょう。


④  一方、特例輸入者の承認ですが、関税法第7条の12(承認の取消し)に該当するかどうかがポイントです。特例輸入者は、引取申告と、納税申告を別に行うものですので、同条の取消し事由は税に関するものが多くなっています。
  また、外為法の違反については「禁錮以上の刑に処せられ」が取消し事由になります(関税法第7条の12第1項第一号ホ、同法第7条の5 第一号 ロ)が、上記の厳重注意はこれに該当しません。
したがって、特例輸入者の取消しはまず考えられないでしょう。

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クリスマスイブの夜。
家族と、恋人と、友達と、一人しみじみと、ホットワインを頂きながらでしょうか?

写真は、函館のヨハネ教会です。あちらはホワイトクリスマスかな?





560 AEO製造者の導入へ!

2008-12-10 | 輸出
こんばんは!

細部は不明ですが、次の国会の関税法改正で「AEO製造者」制度の新設・導入が図られるようです。
ご存知のように、わが国では輸出者、輸入者、倉庫業者、通関業者、国際運送業者についてAEO制度が導入されサプライチェーン全体をカバーするAEO制度がほぼ出来ています。

本年8月1日改訂の貿易手続改革プログラムでは、AEO制度拡充の一環として製造者の取り扱いについて検討することが盛り込まれていましたが、昨日の財務省の関税・外国為替等審議会関税分科会の模様などを見ると、次の法律改正で「AEO製造者」制度が次の骨子で導入されるようです。なお、実施時期等は未詳です。

イ セキュリテイ管理と法令遵守体制が整備された製造者を、税関長がAEO製
造者として認定

ロ 輸出者がAEO製造者から製品を直接取得して輸出する場合は、保税地域搬
入前に輸出申告可能

 本措置は、メーカーの直輸出でなく、商社の販路活用などで第3者を介して輸出する場合にも、サプライチーン全体における貨物の流れに責任を持てる製造者が製造した貨物については、AEO輸出者の輸出に準じた特例を認めても差し支えないとの判断によるものですが、特定輸出者のようにそもそも保税地域搬入原則から外れるのかとか、メーカーが特定輸出者であれば自動的にAEO製造者にもなるのか等の詳細は未詳です。

多分,今頃は、法律案つくりの真っ最中と想像されます。

例えば、自動車の輸出について、商流は商社が輸出者になっているが、サプライチェーンとしてはメーカーの直輸出と変わらず、その商社が何らかの都合で特定輸出者になっていない(なれない)場合には、このAEO製造者制度は機能しそうです。

施行時期によっては、次の通関士試験の題材ですので、チェックしておきましょう。

なお、このAEO製造者制度ができれば、サプライチェーン全体についてのAEO制度の構築が完成します。

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暖かく、コートですと汗ばむような日中で、朝のJRでは霧による超徐行運転でひどい延着でしたし,先週末は震えるような寒波で、寒暖差があるので風邪引きが増えそうです。こまめに調節して気をつけましょう。







511 税関による輸出事後調査の話題

2008-09-30 | 輸出
511 税関による輸出事後調査の話題

 昨夜の米国NYダウは777ドルの下落で、日本やアジアの株価にも大きく影響しています。世界経済がクラッシュしないよう適切な対応を関係政府にしてもらいたいものです。
(左は、NYの証券取引所です。)

年度末を迎えた企業も多いのではと思いますが、通関士試験を控え、私のブログでは試験勉強の傍ら頭をクールダウンしてもらおうと軽い貿易の話題を取上げています。
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 この1-2年、関係業界の友人と話していると、税関の事後調査が輸出について1~2日間来られるようだ・・のようなことが話題に上ります。

 税関による輸出の事後調査は、私のブログ385で取り上げたことがありますが、徐々にポピューラーになってきているようです。
 日本の税関職員が輸出入者の事業所を訪問して調査することは、輸入では申告納税制度(1967年)が始まってから約40年の歴史がありますが、輸出では関税法の権限を背景にした調査は2005年10月1日からですから、まだ三年ぐらいです。

 頭の整理をすると、日本の輸出者に対し政府機関が正式の調査を行っている類型は、

1 経済産業省による輸出管理(外為法の輸出貿易管理令が主体)に関するもの
2 税関による関税法に基づく輸出申告に関するもの
3 米国の税関・国境警備局(CBP)によるもの  があります。

1はハイテク品などの輸出管理が主体ですし、
3はテロ対策の一環で米国税関が実施しているC-TPATに参加している輸入者に供給している日本の輸出者を対象にしており、「工場や事業場へ立ち入る者の身分確認はしているか?監視カメラは適切な数が、適切な場所に設置されているか?」のようにセキュリテイの観点が中心になっているようです。

では、日本の税関の輸出事後調査の主眼はどこにあるのでしょう。

日本の場合、輸出事後調査は、対象別に①特定輸出者 ②その他の一般輸出者がありますが、特定輸出者が対象の場合は、当然ながら特定輸出者としての要件の充足――社内管理体制やコンプライアンス教育、内部監査実施状況、帳票保管状況などを主体に、個別の輸出申告の適正状況の確認・・が中心になるんでしょう。

一方、②のその他の輸出者は、個々の輸出貨物の手続きが関税法や外為法等の法令に照らして適正だったかの確認が中心ですから、輸出申告内容と関係帳票や、契約などとの対査・確認が中心の輸入事後調査のような手法が基本と思われますが、①は法令遵守規則の実施状況の調査プラス②の輸出申告の個別確認と思っておいて良さそうです。

(もし、読者で調査を受けられたところがあれば、どんな状況か教えてください((^。^)。

今のところ、主な税関ごとに、年間100社ぐらいの輸出事後調査が実施されているようですが、輸出関係書類(許可書、帳票類)の保管が不備、インボイス価格と決済価格の相違、仕向地や原産地の不一致など、3割ぐらいは何らかの非違や改善が指示されているとの情報があります。