かずさんの、ふらり日々是好日の記

ふっても てっても  日々是好日  泣いてもわらっても 私の一生の中の きょうが一番いい日だから

210 貿易手続き改革プログラムとは?

2007-07-05 | その他あれこれ
 総理官邸のリードで、アジア・ゲートウエイ戦略会議が開催され、「貿易手続き改革プログラム」が5月に纏められたことは、このブログでも取り上げましたのでご承知のことと思います。
 
 通関士試験受験で、学習されている方は、恐らく、受験書を傍らにして法律用語や規定の細部を記憶したり、理解したりの真っ最中だろうと思います。
 
言い方を変えれば、森の中で、一本一本の木がどうなっているかを勉強しているんだろうと想像できますが、ときどきは、森を俯瞰(ふかん)するため少し離れた上空から眺めると、木々の様相が一層見えてきます。

 そのような意味で、纏められたプログラムの骨子を箇条書きにしてみます。詳しくは、http://www.kantei.go.jp/jp/singi/asia/betten_1.pdf をご覧下さい。

 読者の皆さんは、幾つぐらい、大体どういうことが議論されているか説明できますか?

1 規制の見直し、手続きの統一化・簡素化
(1) 保税・通関制度等の見直し
(2) 港湾の深夜早朝利用の推進
(3) 港湾手続きの統一化・簡素化
(4) 港湾行政の広域連携の推進
(5) 原産地証明発給手続きの簡素化・迅速化

2日本版AEO制度の構築
(1) コンプライアンス制度の調和
(2) コンプライアンス優良事業者に対する優遇措置の拡充
(3) 相互認証を視野に入れた政府間対話の推進

3 次世代シングルウインドウの見直し
(1) 業務プロセス改善の徹底等
(2) 港湾システムとの接続の促進
(3) 国際的なシステム連携の実現
(4) NACCSのあり方の検討
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明後日は、七夕!どんな願いを短冊に書くのでしょう。やはり、よき出会いでしょうか?
右は、今の総理官邸です。前の官邸と違って明るい内装ですね。

 




200 通関部門の見える化(その2)

2007-06-20 | その他あれこれ
今日は!入梅後も、雨の降らない日が続いています。
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 前々回に続いて、税関の通関部門ウオッチングです。

 望遠鏡を使って、通関部門内部の仕事のやり方を眺めてみましょう。
 輸出入申告の実際は、NACCSという電算機システムへの入力で行なわれ、システム内のブラックボックスの審査基準というプログラムで「書類審査」や「検査」の振り分けが行なわれることはご承知の通りです。
  
 公開されている、輸出申告についての通関部門内部の事務処理要領によれば、区分「2」の書類審査になって通関業者がインボイス等を提出すると、先ほどの最もベテランであるチーム長(統括審査官)が、どの項目や事項について、どの程度の深度の審査をするか、検査に切り替えるかどうか等を決めて、部下に配布します。
 
 したがって、輸出手続きで、輸出貿易管理令非該当として申告した場合、チーム長による受付の段階で、本当に非該当であることを、カタログを出してもらって審査するか、非該当である旨だけの証明書を確認するか、パラメータシートを求めて確認するかなどが、決められているかも知れません。

 勿論、配布された審査官などの段階で疑問が出てくれば検査に変えたり、審査の方法を変えたり、審査方法は臨機応変に変わるようです。
 
 なお、NACCSからは、どのような理由で区分「2」になったかの理由が出されますし、税関内部システムとして、輸出入者名を主要なキーとする全国の輸出入、審査結果、事故の実績などのデーターベースがどの職員も利用できますので、適宜参照しているようです。
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 二日ほど前の新聞で、実際に動く水車としては日本最古とされる福岡県朝倉市菱野の三連水車が18日、稼動を開始し、水車によって筑後川の水が田に注ぎ込まれ、筑後川流域に本格的な田植えシーズンが到来したとのことです。





198 税関通関部門の見える化(その1)

2007-06-18 | その他あれこれ
こんにちは。
企業では、職場でいろんな標語やスローガンを使って、社員の仕事についての留意点や方向付けをしていますが、その一つに「見える化」があります。
 
数値化が見える化の手法の典型ですが、色んな事象を、定性的ではなく、より定量的に、成果や目標がわかるようにしようとするものです。
普段私たちは、一口に税関といっていますが、通関部門の見える化を試みてみましょう。
通関業者に勤めている人には当たり前のことですが・・。
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税関の中で、輸出入の申告を処理して許可を発給するのは「通関部門」と呼ばれているチームです(左の写真はそのスナップです。)。

税関の本社は「本関(ほんかん)」と呼ばれ、出先の名称は「支署」、「出張所」、「監視署」があり、その権限の違いは余りなく、比較的規模の大きいものや、県単位で置かれるようなものが「支署」と名付けられるようです。

 出張所には、本関に付属のもの(直轄出張所)と、支署に付属のものがあります。横浜税関でいえば、千葉は「支署」、本牧は「直轄出張所」です。

 もう少し、通関部門をズームで迫ってみましょう。
税関の通関業務は、大量の申告を扱う官署ではいくつかの部門に分けて処理されます。「通関1部門」のような番号が振られた名称のチームですが、例えば1部門は食品、2部門は化学品、3部門は繊維・雑貨のようにHSの商品群で分けられています。

 なお、成田や関空のような大きな空港では、特別通関部門といって、交代制で24時間、365日、税関職員が勤務して、土・日や、深夜早朝にも、生鮮食品や、切花や、その他の緊急貨物を通関するための要員が配置されています。

 一方、それぞれの通関部門は、その担当商品群の輸出と輸入の双方を処理しています。10年ほど前までの通関部門は、輸出と輸入とに大きく大別されて、例えば「輸出第一部門」のようなチームでしたが、いわば多能化によるセル生産の導入といいましょうか、同じ職員が輸出の申告も輸入の申告も、審査も、検査もするように改革されました。

 このため、ある商社やメーカーが横浜港の特定のコンテナーヤードで輸出し、輸入する全貨物の通関時の審査・検査のスピードは、そのヤードを管轄する通関部門の少人数のチームの処理状況に影響されるのが実情です。 

では、倍率を上げて、「通関部門」を見てみましょう。
 
 通常、通関部門は、数人から10人までの職員で構成されています。役職の上位から、チーム長(統括審査官と言い、一般に通関部門での職歴が10~20年ぐらいあります。)、上席審査官(チーム長の補佐役、一般に通関の経験10年以上ぐらい)が1又は2人、審査官(年齢30代から40代前半ぐらいで、通関部門での経験は数年から10年ぐらいと色々)、一般職員(このクラスは、2年毎にいろんな職種に変わりますから、通関の経験は1-2年ぐらいが多い。)です。

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 何かを考えたり、実行する時に、抽象的な概念でその対象を捉えるか、数値や、フロー、配置図などで、具象化して考えるかは、大きな違いがあります。

 すべからく、見える化がよいかどうかは、疑問なきにしもあらずですが、見える化の過程で、おのずと問題が判明したり、解決策もわかってきたりすることもあります。

 皆さんも、いろんな手法を知って、自分でやって見ることが出来るというのは。ビジネスでは強みですよ(^.^)





157 税関の時間外通関体制の実情

2007-04-13 | その他あれこれ
 前三回で、港湾のフルオープンを素材にケーススタデイを試みました。
 
では、港湾における、税関の夜間、早朝、土曜、休日など、いわゆる執務時間外の通関体制の現実はどうなっているんでしょう。

1 税関の勤務時間は、一般の公務員と同じく、ウイークデイの8:30~17:00で、これ以外の時間は全て「臨時開庁」の対象になります。

  ただ、本来的には勤務の対象ではないので、(大空港のように、365日、24時間輸出入申告が行なわれる港を除き)事前に臨時の執務を申し出て了解を貰って、開庁の承認を受けるのが普通です。
つまり、海の港では、突然夜や土・日に申告を持っていって、臨時開庁をしようとしても税関職員がいないのが普通でした。

 税関としては、来るか来ないか判らない行政需要のために、職員を常駐させることは出来ないというものでした。

2 平成15年7月から、税関は、主な港湾の14の官署については、平日は21時まで、土・日・休日は8:30~17時までは、少数の職員を常駐させて、その時間内ならいつでも臨時開庁が出来るようにしました。

 この14の官署は、東京なら大井、横浜は本関、大阪港は南港、神戸はポートアイランドのように、コンテナー貨物の通関の多いところになっています。
 このような措置は、港湾の24時間フルオープン化に向けた取組みでした。
 
3 このような、受け皿作りで、臨時開庁による、時間外や土・日の申告は増えましたが、日曜日の申告は殆どなく、税関からは職員を配置していても申告が少ないという状態で、いわば行政効率が悪く、税金の無駄遣いという状態になっていましたので、日曜日のこれら官署への職員常駐制はやめて、監視取締りのため常に職員が常駐する監視部が窓口になって、事前に申し出てもらうことによって、日曜日の通関にも支障がでないよう工夫しているようです。

 仕事もないのに、職員を常駐させるなんて事は、たまに利用するほうからは都合がいいでしょうが、税金の無駄使いですよね。

 税金でまかなうものだから、効率を無視して職員を配置してくれというような要請は、やはりおかしいと考えられます、サービス利用者にも節度が必要なんでしょうね。
ただし、効率を無視して、行政の施策として常駐するというのはあるんでしょうが・・。

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今日の午後は、某税関を訪れていました。
 皆さん忙しそうです。




 



155  実践的役所陳情法(その2)

2007-04-11 | その他あれこれ
今日は!どこの仕事でも、いろんなことで外部の会社や役所にあれこれを要請することがあります。
そんな時の、心構えの2回目です。

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(ケーススタデイ)
 港湾のフルオープン化、つまりコンテナーヤードへの輸出貨物の搬入、輸入貨物の引取りなど、港の機能は、原則として365日、24時間稼動しているべきとの考えがあります。

 それで、「港湾関係の手続きに関係する税関もフルオープンに対応したサービスを行なって貰いたい。(いわば、「港のフルオープン化への税関の対応」)」との要望を実現しようと陳情することとなった場合、どんなことを押さえておけばいいだろうか?

(ポイント)
 どういうレベルの問題か?・・・ 法律、政令、省令、通達か?

 企業ですと、その案件は取締役会の決議事項か、株主総会の承認事項かどうか、決裁は社長か、取締役か本部長かなどが、その案件の解決の難易度や、実現までの期間等に影響しますが、輸出入手続きの問題なら、それが、どのレベル(法律、政令、省令、通達等)の規定の改正を要するかがポイントの一つです。

 役所の仕事は、たいていの場合、何かの法令や規定に根拠がありますので、役所に注文をつける場合、それがどんな規定に関係するものかを押さえておくことが役立ちます。

上記事例の、港のフルオープン化に税関が対応して欲しいとの案件で考えると、

2 事例の解決策の二番目は、先ほどの官庁の休日や執務時間についての原則は変えずに、例えば月~金の19時までは、なんらの手数料なしで税関の手続きができるように改めて貰うことです。

 例えれば、市が発行する住民票は、ターミナルにある市のサービスセンターが午前7時頃から開いていて、出勤時に申請しておけば会社帰りの19時までなら同センターで貰うことができることが多いようですが、こういうサービスをしてもらう方法です。
 
 税関がこのような手数料なしによるサービスをしようと思えば恐らく「政令」の改正が必要です。

 海外旅行をして成田空港に20時ごろ着いて、持ち帰ったモノについて税関検査を受ける場合、これは関税法の輸入申告を口頭でして口頭で許可を受けると法律上観念されています。

 20時は税関の執務時間外ですから原則なら、旅行者が臨時開庁の申請をして所定の手数料を払う必要がありますが、こんなことはやっていません。(米国税関は、このような手数料を実は航空会社から徴収しており、旅客がその分を支払っています。)

 これは、関税法の政令で「・・・税関長が取締の必要性・・・を勘案して航空機の運行の時間に合わせてあらかじめ配置している職員が処理する旅客の携帯品の輸入許可事務は臨時開庁を必要な事務から除外」しているからです。

(注)臨時開庁制度:関税法による制度で、輸出入通関事務などについて、土・日や月~金の8時半から17時までの官庁執務時間外に税関のサービスを受けようとすると、手数料を支払うことにより臨時に執務を受けることができます。
 手数料額は、人件費/光熱水料に相当する1時間あたりで設定されています。

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総理官邸の肝いりで検討されていますアジア・ゲートウエイ構想でも、港湾のフルオープン化は、論点の一つです。モノを、深夜・早朝の間に動かすというのは、物流の合理化や効率化では見過ごしに出来ない視点です。

 そういうと、都会では、深夜早朝に、仕事、遊びで活動している人が増えてきているように思います。普通の宅急便も会社によっては23時頃でも配達してもらえますが、このような傾向はこれからも続いていくんでしょう。