なでしこジャパンの準優勝から随分たってしまいました。ブログも少しだけ書きかけて放置したままになっていました。忙しかったということもありますが決勝戦の16分間の4失点で打ちのめされたということもあります。安保法案、新国立競技場などに関心がいっていたということもあります。(もちろんその2点については今後も関心は継続します)
それはさておき、準優勝という結果は大会前の予想通りでした。
グループリーグ1位抜けはするだろう。日本のヤマのほうがはるかに楽な組み合わせだったし苦しみつつも決勝にはなんとかいくだろう。しかし決勝で対戦する可能性が高いアメリカ、ドイツ、フランスには勝てない確率の方が高いだろう。多少なりとも女子サッカーに興味がある人なら想像の範疇だったと思います。もちろん優勝を願ってはいましたが。
しかし2対5というスコアはさすがに予想外でした。多くの人が語られているようにアメリカの1点目、ラピノーのグラウンダーのコーナーキックにロイドが走り込んだ瞬間は絶句しました。映像を見返しましたがTVのフレームの外から凄い勢いでロイドが走り込んできました。その2分後にもラピノーのFKからロイドのゴール。この時は岩清水選手がロイドのことをとっても気にしながらもフリーにしてしまいました。その9分後には岩清水選手のクリアミスをホリデーに決められます。
この3点に共通していたのはいずれもアメリカの右サイド=日本の左サイド=宮間サイドからチャンスを作られたこと。昨年のW杯のコートジボワール戦で香川サイドを執拗に攻められたことをふと思い出しました。アメリカはそもそもラピノーやクリンゲンバーグの左サイドの連係から崩す場合が多いですが、左サイドを意識させておいて右サイドへ展開というふうな感じでもありました。
まあ要するに守備の面では弱点でもある宮間選手の裏を狙ってきた。というより宮間が中に入ってくる傾向が強く、そうすると日本の左サイドが手薄になる。そこを狙われる。そんな感じでもありました。決勝に関しては宮間選手をトップ下におく4・2・3・1や、4・4・1・1でスタートしたほうが良かったようにも思いました。アルガルペカップの最終戦などうまくいった試合もありましたし。
日本にとってアメリカは、普通にやって勝てる相手ではないと思っていました。秘策や特別なことが必要だ。システムやメンバーもいじった方がよいのではないか。うまくいっているチームはいじらないという定石がありますが、定石では勝てるとは思えなかったんです。
試合開始直前の両チームの表情を見て「やばいんじゃないか」と不吉な予感がしました。笑顔から入るのはなでしこジャパンの強みですし世界一の気持ちの切り替えの速さもあるかとは思いますが、立ち上がりから押されるような気がしました。
何というかある種のすがすがしさというか、やるべきことをやったうえでその場にたっている潔さというか、何かさばさばしたものを感じました。慢心とは違うのですが「死んでも失点しない」的な感じがないというか。気持ちの持っていき方に少しだけ疑問を感じました。まあ 私の男性的・オヤジ的な発想のほうが間違っているんだと自分に言い聞かせましたが。
しかし、キックオフが準決勝までと同じような形だったので不吉さは増しました。
いろんな意味で「試合の入り方」はどうだったんでしょうか? アメリカのほうが一歩上手だったと言えばそれまでですが。
ところで各メディアでも語られていますが、世代交代はまったく進みませんでした。来年のリオ五輪に向けて世代交代がうまく進んでいけばいいですが、そう簡単ではないと思います。
リオ五輪をどう位置づけるかによっても変わってくるかもしれません。2020年の東京五輪に向けての大会と捉えるのか? 後のことは考えないで金メダルを取れる可能性のみを探った人選、考え方で臨むのか? 登録人数も23人から18人に減りますし、常識的に考えれば澤選手は選ばれるべきではないでしょうし選ばなくてもいいような状況にならないといけません。また宮間選手も圧倒的なキックの精度、高いキャプテンシーなど、高いパフォーマンスが示せる最後の大会になるかもしれません。
その前に2枠しかないアジア予選を突破する必要があります。簡単なミッションではありません。今大会ベスト8のオーストラリア、中国、ベスト16の韓国、そして北朝鮮もいるわけですから。
以前、サッカー日本女子代表が2000年シドニー五輪出場権を獲得出来なかったために、なでしこリーグもどん底にあえいでいた時代がありました。私が女子サッカーを観始めたのは2002年ですが、ベレーザの試合を観にいったところ金網越しに立って試合を観なくてはならないということもありました。観客は10名程。大野選手も近賀選手もそこでプレーしていました。
どん底を知っている選手たちであるからこそ、宮間選手も女子サッカーが“文化”として根付く重要性を繰り返し語っているのだと思います。
“文化”として根付いていくためにも(現在は)五輪出場は最低条件です。リオ五輪まではこれまで蓄積してきた力がありますが、その後は冬の時代を迎えるかもしれません。
しかし冬になろうと彼女たちを見続けないといけません。違いました。自然と観たい気持ちになっている。そうなるべきです。それが文化ですから。
今後の世界大会は、2019年フランスでW杯、2020年東京五輪、2023年W杯は日本で開催される可能性も高いようです。
なでしこジャパンは、2020年東京五輪でつぼみをつけ、2023年日本W杯で大輪の花を咲かせることができるでしょうか?
両大会決勝ともに新国立競技場が予想されます。咲き誇るなでしこの花に見合った、素敵な競技場が待ち受けてくれるでしょうか?
いや、競技場を素敵な空間に作り上げてくれるのは、なでしこを始めとするアスリートたちです。
主役は選手たちでした。
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