伊達だより 再会した2人が第二の故郷伊達に移住して 第二の人生を歩む

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ジャコシカ191

2021-04-19 12:39:55 | ジャコシカ・・・小説

 高志は千恵と清子に手作りの糸巻仕掛けの扱いと、餌の付け方を手ほどきする。

 

 とは言っても、二人共釣りはまるっきりの初心者という訳ではないので、殆どその必要がないく

 

らいだ。

 

 あやは慣れた手付きで全てをこなし、姉妹がエサ付けにかかる頃には、もうタナを取ってさぐり

 

に入っている。

 

 高志が自分の仕掛けに餌付けを終えた時には、早くもあやは第一声を上げた。

 

 水深20メートルの当たりは反応が分かり易い。

 

 最初の1匹には全員の視線が集中する。

 

 たぐり上げるあやの手元が重そうで、時々止まる。

 

 「大きいね」

 

 千恵の声が昂る。

 

 清子が身を乗り出した。

 

 たちまち白い魚影が朧な光に包まれ、ひらひらと舞いながら上がってくる。

 

 次の瞬間あやのかけ声と同時に、船底でイシガレイが踊った。

 

 このカレイは背側に鱗がなく、柔らかなゴムのようで色は真っ黒だ。

 

 逆に腹側は真っ白で、こちらも鱗はない。

 

 鱗がない代わりなのかどうか分からぬが、背側には二列の石のように堅い骨が張り付いている。

 

 イシガレイの名の由来は、ここからきている。煮ても焼いても旨いが、刺身は特に美味だ。

 

 「サシミ、サシミ、今夜はサシミだね」

 

 千恵が大声で言う。

 

 そう言っている彼女にもアタリが来た。

 


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