伊達だより 再会した2人が第二の故郷伊達に移住して 第二の人生を歩む

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ジャコシカ8

2018-03-08 20:19:32 | ジャコシカ・・・小説
俯き自分の足元を見つめている。お歴々も黙った。

 ややあって赤間はパンと膝を打った。その眼が愉快そうに笑っていた。

 「分かった。じゃあ今夜はここに泊まれ。そこの襖の向こうは畳の間で、漁協の組合員が仮の宿

泊ができるようになっている。蒲団もある。事務所にはわしが話しを付けてきてやる。ここなら行

き斃れの心配もない。それで明朝汽車で函館に発てばいい。そうしろ」

 「それだよ」「それがいい」

 母さん達が声を揃える。

 赤間は彼の返事も待たずに腰を上げ、引戸に手をかけたが急に振り返って言った。

 「歳は幾つだ」

 「26歳です」

 「若くていいわね」

 高志の返事に幾つかの溜息まじりの声が上がった。


 結局彼は赤間の図らいで、漁協の休憩所に泊まることになった。

 翌朝、漁船の荷下ろしとセリが一段落した頃に、赤間が今度は徒歩でやって来た。

 昨日来の雪は夜中には止んでいたが、膝までの深さになっていた。

 彼が現れた時、セリ場は母さん達が水を流し、後片付けをやっていて、その中に混じって高志も

ホースで水を流しながら、デッキブラシでコンクリートの床をみがいていた。

 「おお、まだいたか、夕べは眠れたか」

 猛が近付きながら、まだ離れている場所から大声を上げた。

 高志はなんとなく、畑で声をかけられているような気がした。


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