その唄は沢音に混ざり完成する

2011-07-27 22:57:30 | 両爬(Amphibia&Reptiles)


リュウキュウカジカガエル(Buergeria japonica) Ryukyu Kajika frog


夜の渓流は真っ黒で、何だか吸い込まれてしまいそう。森の奥まで続くその黒い流れを見ると、理由のない怖さが背筋をなぞる。
でも、そんな沢を手に持ったライトで照らせば、まるで突然「天の川」に変わったかのように無数の星が煌き出す。その正体はエビの目だ。どんな暗闇でも何か生き物さえ見つければ、先に述べたような怖さはいとも簡単に吹き飛ぶというもの。以前、道もよく分からないマレーシアの森を深夜に歩いていてもまさにそうだった記憶がある。

沢に突き出た石の上、絶好のソングポストで鳴いていたのは、綺麗なレモンイエローをしたリュウキュウカジカガエルの雄だった。彼の軽快で大きな鳴き声が沢の対岸の岩盤に反射して、黒い川面を滑るように響き渡るのがわかる。




ヒメアマガエル(Microhyla okinavensis) Ornate narrow-mouthed toad


森のいたる所からする「ギリリ ガララ...」という声は、カエル型のギロ(木製の打楽器)の背中をゆっくりなぞった時の音にそっくり。この声の主はヒメアマガエルだ。小さい上に色彩が枯葉によく溶け込むから見逃しがちだけれど、ひとたび跳ねれば小さい割りにかなりのジャンプ力を誇るためその存在に気付くことが多い。
このヒメアマガエルの背中の模様には、なんだか宝の地図でも隠れていそう。







【2011/06/23/沖縄本島 Okinawa Island,Japan/June 2011】