★★★★★★★☆☆☆
本作は、公開当時、劇場で見ている。確か、今はなき、有楽町のシネ・ラ・セットで。BSをつけたらたまたまオンエアしていたので、再見してしまった。
最初に見た時も思ったけれど、本当に、犬のクロが可愛いのである。全身真っ黒で、どこが目で鼻だか、遠くからだと分からない。でも、少し寄ると、つぶらな瞳が光っているんだよね、湿った鼻も。そして、この犬の歩き方に独特のクセがあるので、多頭犬を使い分けているのでないこともよく分かる。
展開的には、全く記憶になかったところも多々あり、こんな話だったっけ・・・? という感じであった。が、よく考えれば、それもそのはず。本作は、犬好きにとっては、おそらく、犬とその周辺のストーリーしか興味が持てないのではなかろうか。それくらい、サイドストーリーが平板なのである。もっと、犬とそれにまつわる人との関わりに主眼を置いた内容にしても良かったような。学園祭で、西郷さんの犬になっている話とか、とても良いと思うんだけど、そういうエピソードの数々をもう少しうまく紡いでほしかったかな。
とはいえ、犬好きには結構満足できる作品でもあると思う。繰り返しになるけれど、何しろ、クロを演じたクロ(本当の名前も「山本クロ」というのだって)が、実に実に賢そう、いえ、賢く、愛嬌がある。もちろん、クロ自身、別に人に媚を売っているわけでは全くなく。だからこそ、余計にクロの魅力が見ている者に伝わってくるのではないかしらん。
草間先生とクロの廊下でのシーンが良い。最初は吠えられる。2度目は寄り添われる。3度目は、、、。
久しぶりに、本作のパンフを開いてみた。実は、このパンフの表紙の写真(ポスターにもなっていた)が素敵で、デスクの棚に飾ってあるのだが、中身をじっくり見るのは、もしかすると公開時以来かも・・・。おぉ、岩合さんが寄稿している! 最近、彼の「世界ネコ歩き」をよく見ていて、ネコファンになりかけていたところだったけど、やはり岩合さんも、犬も愛しておられるのがよく分かる文章だ。そして、岩合さんがかつて飼っていた犬もクロという名前だったのね。
これは、みんシネのレビューにも書いたが、実は、私の飼っていた柴犬もクロという名前だった。その後、09年の暮れに15歳で永遠の眠りについた。彼の後半生は、私は離れて暮らしていたので関わりがほぼなくなってしまったけれども、クロの最期を聞いた時はやはり悲しく、半日泣いた。そして、あとの半日は、クロの写真を見ながら楽しかったことを思い出していた。今も、目の前にはクロの写真が3枚。だから、これもみんシネに書いたことだけれど、やはり、今回本作を見た後の私の心の第一声は「ありがと、クロ」なのだ、、、。