★★★★★★★☆☆☆
パニック映画には違いないけれど、非常に地味で、すごくシンプル。でも、これが素晴らしく面白い! シンプル・イズ・ベスト、なんていう陳腐な言葉が浮かんじゃう。
だいたい、地下鉄のハイジャックを思いつく時点で、この犯人グループは、かなり屈折したひねくれ者集団でしょ。地下なんて閉鎖空間で逃げ道だって知れているのに、敢えてやってくる。それぞれの名前を色で呼び合うなんてところも、屈折度がうかがえる。でもって、警察側にも、クセありの交渉役ガーバーが登場。
まあ、ストーリー展開としては、至極真っ当なパニックもの。トラブルが発生し、解決するために関係者が奔走する中で、数々の予期せぬトラブルに見舞われ、でも最終的にはキッチリ正義の側がエンドマークを付ける、みたいな。・・・と分かっていてもドキドキさせてくれるのが、上質なパニック映画であるのなら、本作は、十分及第点、いえいえ、佳作でしょう。
出てくる人物もほとんどオッサンばっかってのもgood! しかも、まあ、イケメンは皆無(というと、ロバート・ショウあたりは怒るかな)。美女とか出てきてヘンに話がややこしくならないから、パニック自体に集中できる。いいねぇ、いいねぇ。
犯人グループが脱出する術は、まあ、確かにあれくらいしかないだろうから、そこに思いが至らない警察側はかなりマヌケである。でも、それを挽回して余りあるラストのオチ。うーむ、なかなか味のある伏線じゃないの。
ただ、疑問なのは、あそこまでひねくれ者たちの集まりなのに、目的・動機は、ただの「カネ」ってところがちょっとね。かといって、イデオロギー闘争なんて、もっと似合わないから、まあ、極めて通俗的な「カネ目的」が一番ぴったりくるのかも、と思ったり。
ところで、現在の東京メトロで地下鉄ハイジャックはかなり不可能に近いと思われるけれども、どうだろうか。地下鉄に限らず、ハイジャックって非常に効率の悪い要求の通し方だと思うのだが・・・。世間的な注目度はあるとはいえ、労多くして・・・だよね。本作の犯人たちも軒並みお亡くなりになっているし。、、、ともかく、ハイジャックなんていつでもどこでも起きないことを願うばかりだけれど、本作は確かに面白かった!