三角だと思っていたものが、別の角度から見たら丸かった・・・、という作りにしたかったんだろうけど、ちょっとその点では企画倒れっぽいです。
大統領狙撃事件に至るまでとその直後の出来事を、別々の視点から見せるために何度も繰り返すわけですが、これが、視点が違うことで別物に見える、という風にはなっていないのですな。死角になっていた部分が視点を変えたことによって見えてくるだけで、つまり、単なる説明になっちゃっているという、、、。見えなかったものが炙り出された、というわけじゃぁないのよね、、、残念。
でもまあ、全体としては飽きずに最後まで見られるし、手に汗握るところもあり、あんまし何にも考えずに娯楽作品として見る分には、及第点でしょう。消費されるだけの映画ですね、ハッキリ言って。でもそういう作品にも存在価値はもちろんあるのですから。
本筋とは関係なく、特筆事項(?)として、本作を見ている間中、私、デニス・クエイドがハリソン・フォードに見えて仕方がなかったのです。よく見ると、そんなに顔は似ていないと思うけれど、もう、身体張ってSPやっている姿は、どーにもこーにも、ハリソン・フォード。ハリソン・フォードを見て、デニス・クエイドに見えるってことはまずないだろうから、これって、どーなんでしょ。眉間のしわとか、にこりともしないとことか、ヤバい!ってときの一瞬の表情とか、そっくりじゃないかなぁ。・・・と思ったのは私だけだろうかと、ネットを検索すると、同じことを感じていた人がいらっしゃって、少しホッとした・・・。その方は、もっと辛辣なことをお書きになっていたけれど。
シガニー・ウィーバーも冒頭だけの出演だし、フォレスト・ウィテカーは、まぁ狂言回しってことだろうけど、何より、マシュー・フォックス(この人、私より歳上だったなんてー。信じられん)の役回りは早々にネタバレでしょうが。おまけに、ウィリアム・ハートは大統領の威厳も風格も感じられず、どーして彼を大統領役にしたのだろうかと疑問。
そもそも、あのテロリストは、その容貌からして、真っ先にSPや警備に目を付けられそうなもので、おまけにあんなにスマホだか何だかいじっていたら、怪しいどころじゃないだろう、って。私が警備員でも職質して、その場から追っ払うよなぁ。いくらSPの一人がグルだって言っても、他の人の目は欺けないと思うんだけど。せめて、もうちょっと違うルックスの役者さんを使っていれば、もう少しマシだったと思うけれども。
まあ、でも本作にリアリティなんて求めても仕方がないし、本当のテロリストは少女だって平気でひき殺すに違いないし、そういう意味では、やっぱり、ちょっとハラハラドキドキを感じる娯楽映画と割り切って見るべき作品でしょうな。そこそこ楽しませていただきました。
「物事は多面体である」にトライしてあえなく挫折しました作品