映画 ご(誤)鑑賞日記

映画は楽し♪ 何をどう見ようと見る人の自由だ! 愛あるご鑑賞日記です。

沈黙の官能(1976年)

2016-01-25 | 【ち】



 19世紀のローマ。フェラモンティ家は、家長の父親が吝嗇に励んで貯め込んだ甲斐あってかローマでも結構な金持ちになったのだが、2人の息子と1人の娘とは非常に折り合いが悪く、そこを、虎視眈々と金を得て成り上がることを狙っていた美女につけ込まれ、一家は崩壊に追い込まれる。

 そうして、美女は当初の目論見通り、フェラモンティ家の全財産を得ることになるのだが、、、。

 ドミニク・サンダ28歳の時の作品。美しいなぁ~~。、、、にしても、この邦題は何なのかねぇ。
  

  
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 もちろん、美女がドミニク・サンダ演じるイレーネです。先日の『サンローラン』が衝撃的だったんで、ちょっと、口直し、というか目直ししようと思って見ました。

 話としてはどーってことない話です。イレーネにフェラモンティ家の男どもは全員骨抜きにされ、結果的に、財産も全部持って行かれそうになったところへ、ただ一人の娘テータがその夫パオロとともに一発逆転、裁判で勝ち、テータ夫妻が全財産の相続人と認められる、というオチ。

 二男のピッポと結婚しながら、長男マリオとも関係し、挙句、父親のグレゴリオとも、、、。それもこれも全て、この家の財産をいただくためよ、ってことです。よーやるわ、、、と、関心というより呆れて開いた口が塞がらない、という感じ。まあでも、ピッポよりマリオの方がイケメンで、マリオと浮気するのはまだ分かる。いくら金が欲しいからって、老人の父親と、、、うぅ、、、。

 とはいえ、世の中、こういう女性も確かにいるでしょうし、別にそういう生き方ももちろんアリだと思います。私も、母親にしたくもない見合いを無理矢理させられていた頃、こんなことが続くのなら、いっそ出家して尼になるか、棺桶に首まで入っている死にそうな大金持ちの爺さんとペーパー結婚するか、どっちかしかもう生きる道はないかも、、、などと真剣に考えたものです。今思えば、なぜ「大金持ちの爺さん」でなきゃならんのか自分でも分からないのですが。わざわざ死にそうな貧乏爺さんとペーパー婚する意味なんかない、という発想でしょうね、多分。

 だから、イレーネのような生き方を、積極的に非難する気にはなれないのですが、ただ、本当に爺さんとセックスしちゃうのが、やっぱし信じられんのですね、オバハンになった今の私でも。、、、だったら、そこまでお金なくてもピッポと2人で楽しく生活した方がよっぽど良いわ! と思っちゃう私は、所詮、成り上がる器じゃない、ってことですな。

 本作を見て思ったんですが、ドミニク・サンダって、女優として演技力という点から見てどーなんでしょうか? 私は、正直、イマイチな気がしました。その現実離れした美しさで周囲を色んな意味で圧倒しているから、何となく見れてしまうけれど、どうもこう、、、日本で言うと、吉永小百合的な感じがしちゃいました。

 終盤、マリオに本音を吐いて罵倒するシーンがあるんですけど、あんまし迫力ないんですよね。あそこは見せ場の一つだと思うんですが。笑顔のシーンもちょっとありますけれど、全般に表情が同じで能面みたいな感じ。

 ファム・ファタールと言ってもイロイロで、イレーネは一見美しく可憐だけど見る人が見ればバレバレの性悪女で、そうと分かっていても騙される、というキャラだと思うんですが、イレーネを演じているドミニク・サンダはもう、どう見ても男を惑わす性悪女の面構えで、二面性というのがあまり感じられない。これって私が女だからそう見えるのかな? 男性には彼女が一見上品で可憐に見えるのか? いえ、決して彼女が品がないとか下品とかは思わないんですよ。ただ、品があるとも知性美があるとも見えないだけで。

 実はこれを感じたのは本作が初めてではなく『暗殺の森』でもちょっとそう思ったのでした。あの作品の方が、本作よりよほど難しかったと思いますけれども。

 でも、この作品で彼女はカンヌの女優賞を獲っているみたいなんですよね~。まあ、脱ぎっぷりは小百合さんなどお呼びでないくらい大胆だし、悪女の雰囲気は十分出ていましたが、それはだから、彼女にもともと備わっている雰囲気だと思うのですよね、私は。『やさしい女』でも、彼女の演じたのはやはり悪女だったと思うし。悪女を地で演じられるんでしょうね。小百合さんにそもそも悪女はムリでしょう。

 まあ、他の作品も見てみないとね。見ればまた見方も変わるかもだし。





悪女の条件=絶世の美女であること




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コメント (2)
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