その④のつづきです。
◆顕子の今後を予想する。
顕子は、マレーシアに行って、しばらくは頑張れるでしょう。でも、夫婦の関係を再構築することは、多分できないだろうと思います。
なぜなら、それが顕子の性格、もっというと、思考のクセだからです。これについては後述します。
そして、恐らく、顕子は一人で帰国してくるでしょう。浩司に彼女を引き留める力はありません。なぜなら、顕子は浩司を愛していないから。彼女が愛しているのは自分だけだからです。なので、美月と2人で強引に生活を始めることを画策するでしょう。
ここで、美月がどう出るかが問題です。
もし、松島と交際が続いていたら、顕子を振り切ることは出来るかも知れません。しかし、それもかなりの難行だと思われます。個人的には、ここで美月が踏ん張ってほしいと思うし、松島にも全力で踏ん張ってもらいたい。
でも、もし、松島と別れていたら……。これは、顕子の力業で、美月は屈してしまうでしょうね。彼女の勤務先と、マンションが近すぎます。彼女があの女子校の教師を辞し、海外へでも行く勇気があることを望みますが、、、。
いずれにしても、顕子は、あの最終回の展開では変わることはできません。娘に執着する母親は、実に実に手強いのです。
顕子が変わるには、心の治療をするしかないのです。そこを、ドラマとはいえ、きちんと描くべきでしょう。もし、続編を作るとしたら、カウンセリングに通いながら苦しむ顕子の描写は必須です。というより、それがメインテーマになるはずです。
◆顕子的人間の“変われなさ”について。
このドラマを見終わって、一番強く感じたことは、「自由を選択するには痛みが伴う」ということ。逆に言えば、「痛みさえ受け入れれば、自由になれる」ということ。
顕子的人間は、痛みを受け入れる勇気がない、あるいは、痛みなど受け入れるくらいなら不自由で良い、ということです。
制約の中で選択肢がない状況は、一見、不自由だけれども、いくらでも自分を甘やかすことの出来る状況です。つまり、決められたレールを進んで行き詰まった場合、そのレールの敷き方に問題があったのであって、いくら自分の人生というレールであっても自分には責任がない、と思える。レールを敷いたヤツが悪いのだ、と他者を責め立てていればそれで済む。自分には何の非もない。
結局、自分でレールを敷くのはものすごい労力とコストもかかる上に、そのレールの先に自分の思い通りの結果が待っているとは限らない。というより、大抵は思ってもいないことが待っている。その際に、レールを敷くのに要した労力とコストを無駄と思うか、それを投資と思うか、その差ではなかろうか。
無駄と思う人は必ず後悔する人であり、投資と思う人は絶対後悔しない人である。
そして、必ず後悔する人は、無駄を承知で自らレールを敷くことはしない。だが、結局、自らがレールを敷かなかったことを後悔する。そこには、痛みを受け入れた人への劣等感もある。その後悔と劣等感のパワーが、娘の人生のレールを敷くことに向かうのである。
しかし、レールのとおりに進んだからと言って、想像していた未来は待っていない。必ず破綻するのである。なぜなら、娘は意思ある人間だからである。どこまで想像通りになるかは人によるが、彼らが死ぬまで破綻しないケースは、ないと断言できる。
破綻の度合いにもよるだろうが、そこでまた、彼らは後悔するのである。それも、「私の敷いたレールが間違っていたのだろうか」という後悔ではない。「どうして敷いた通りにレールを進まないの?」という後悔だ。自分のやり方が誤っていたのではないかという疑問には決して到達しない。
それどころか、痛みを受け入れる覚悟をしている娘に対し、猛烈な嫉妬心を抱くのである。自分にはなかった、あるいは持てなかった勇気を持っている人に、メラメラと嫉妬心を燃やすのである。それはつまり、自分より娘が秀でることへの嫉妬である。
だから、自力ではもちろん、身近な人たちの協力を得たくらいでは、顕子の様な人間は変わることがほぼ不可能なのです。
このような人からは、逃げるしかありません。
◆その他モロモロ
美月の衣装の変遷が面白かったですね。
顕子と蜜月だった頃は、花柄のワンピースとか、100%スカートを履いています。でも、家を出てからは、シンプルなコーディネートになります。でもまだスカートのまま。
最終回、初めて、美月はパンツを履きます。ようやく、彼女は気持ち的に母親を振り払うことが出来たのかも知れません。
あと、特筆事項としては、顕子の母親・玲子を演じた大空真弓さんですね。もの凄く久しぶりにテレビで見た様な気がしますが、相変わらずお綺麗でした。顕子には冷淡な母親で、孫の美月を手懐けることで、“玲子&美月VS顕子”という関係を作ろうとする邪悪さがゾッとするほど恐ろしかった。美月に死ぬ直前に懺悔していましたが、あれもどこまで本音なのか……。美月へのポーズだった、という解釈もアリだと思います。
◆最後に、僭越ながら。
この種の問題で苦しんでいる方で、この駄文を読んでくださった方へ。
あなたの人生は、一度きりです。今日という日は、二度と戻りません。誰も時計の針を巻き戻すことは出来ません。
あなたは、あなたの人生を生きる権利があるのです。その権利を、自ら手放してはいけません。勇気を持って、その権利を行使してみませんか。
親から離れることは、罪ではありません。あなたが、あなたの人生を生きるために必要なことなのです。
痛みを受け入れることさえすれば、あなたは自由を手にできます。一番大きな痛みは罪悪感かも知れません。孤独感かも知れません。しかし、受け入れてしまえば、その痛みは、必ず沈静化していきます。永遠には続きません。
後悔しないためにも、痛みを受け入れる勇気を持ってください。遅すぎることはありません。
◆顕子の今後を予想する。
顕子は、マレーシアに行って、しばらくは頑張れるでしょう。でも、夫婦の関係を再構築することは、多分できないだろうと思います。
なぜなら、それが顕子の性格、もっというと、思考のクセだからです。これについては後述します。
そして、恐らく、顕子は一人で帰国してくるでしょう。浩司に彼女を引き留める力はありません。なぜなら、顕子は浩司を愛していないから。彼女が愛しているのは自分だけだからです。なので、美月と2人で強引に生活を始めることを画策するでしょう。
ここで、美月がどう出るかが問題です。
もし、松島と交際が続いていたら、顕子を振り切ることは出来るかも知れません。しかし、それもかなりの難行だと思われます。個人的には、ここで美月が踏ん張ってほしいと思うし、松島にも全力で踏ん張ってもらいたい。
でも、もし、松島と別れていたら……。これは、顕子の力業で、美月は屈してしまうでしょうね。彼女の勤務先と、マンションが近すぎます。彼女があの女子校の教師を辞し、海外へでも行く勇気があることを望みますが、、、。
いずれにしても、顕子は、あの最終回の展開では変わることはできません。娘に執着する母親は、実に実に手強いのです。
顕子が変わるには、心の治療をするしかないのです。そこを、ドラマとはいえ、きちんと描くべきでしょう。もし、続編を作るとしたら、カウンセリングに通いながら苦しむ顕子の描写は必須です。というより、それがメインテーマになるはずです。
◆顕子的人間の“変われなさ”について。
このドラマを見終わって、一番強く感じたことは、「自由を選択するには痛みが伴う」ということ。逆に言えば、「痛みさえ受け入れれば、自由になれる」ということ。
顕子的人間は、痛みを受け入れる勇気がない、あるいは、痛みなど受け入れるくらいなら不自由で良い、ということです。
制約の中で選択肢がない状況は、一見、不自由だけれども、いくらでも自分を甘やかすことの出来る状況です。つまり、決められたレールを進んで行き詰まった場合、そのレールの敷き方に問題があったのであって、いくら自分の人生というレールであっても自分には責任がない、と思える。レールを敷いたヤツが悪いのだ、と他者を責め立てていればそれで済む。自分には何の非もない。
結局、自分でレールを敷くのはものすごい労力とコストもかかる上に、そのレールの先に自分の思い通りの結果が待っているとは限らない。というより、大抵は思ってもいないことが待っている。その際に、レールを敷くのに要した労力とコストを無駄と思うか、それを投資と思うか、その差ではなかろうか。
無駄と思う人は必ず後悔する人であり、投資と思う人は絶対後悔しない人である。
そして、必ず後悔する人は、無駄を承知で自らレールを敷くことはしない。だが、結局、自らがレールを敷かなかったことを後悔する。そこには、痛みを受け入れた人への劣等感もある。その後悔と劣等感のパワーが、娘の人生のレールを敷くことに向かうのである。
しかし、レールのとおりに進んだからと言って、想像していた未来は待っていない。必ず破綻するのである。なぜなら、娘は意思ある人間だからである。どこまで想像通りになるかは人によるが、彼らが死ぬまで破綻しないケースは、ないと断言できる。
破綻の度合いにもよるだろうが、そこでまた、彼らは後悔するのである。それも、「私の敷いたレールが間違っていたのだろうか」という後悔ではない。「どうして敷いた通りにレールを進まないの?」という後悔だ。自分のやり方が誤っていたのではないかという疑問には決して到達しない。
それどころか、痛みを受け入れる覚悟をしている娘に対し、猛烈な嫉妬心を抱くのである。自分にはなかった、あるいは持てなかった勇気を持っている人に、メラメラと嫉妬心を燃やすのである。それはつまり、自分より娘が秀でることへの嫉妬である。
だから、自力ではもちろん、身近な人たちの協力を得たくらいでは、顕子の様な人間は変わることがほぼ不可能なのです。
このような人からは、逃げるしかありません。
◆その他モロモロ
美月の衣装の変遷が面白かったですね。
顕子と蜜月だった頃は、花柄のワンピースとか、100%スカートを履いています。でも、家を出てからは、シンプルなコーディネートになります。でもまだスカートのまま。
最終回、初めて、美月はパンツを履きます。ようやく、彼女は気持ち的に母親を振り払うことが出来たのかも知れません。
あと、特筆事項としては、顕子の母親・玲子を演じた大空真弓さんですね。もの凄く久しぶりにテレビで見た様な気がしますが、相変わらずお綺麗でした。顕子には冷淡な母親で、孫の美月を手懐けることで、“玲子&美月VS顕子”という関係を作ろうとする邪悪さがゾッとするほど恐ろしかった。美月に死ぬ直前に懺悔していましたが、あれもどこまで本音なのか……。美月へのポーズだった、という解釈もアリだと思います。
◆最後に、僭越ながら。
この種の問題で苦しんでいる方で、この駄文を読んでくださった方へ。
あなたの人生は、一度きりです。今日という日は、二度と戻りません。誰も時計の針を巻き戻すことは出来ません。
あなたは、あなたの人生を生きる権利があるのです。その権利を、自ら手放してはいけません。勇気を持って、その権利を行使してみませんか。
親から離れることは、罪ではありません。あなたが、あなたの人生を生きるために必要なことなのです。
痛みを受け入れることさえすれば、あなたは自由を手にできます。一番大きな痛みは罪悪感かも知れません。孤独感かも知れません。しかし、受け入れてしまえば、その痛みは、必ず沈静化していきます。永遠には続きません。
後悔しないためにも、痛みを受け入れる勇気を持ってください。遅すぎることはありません。