以下、上記リンクよりストーリーのコピペです。
=====ここから。
東京の離島、美浜島。記録的な暑さが続くなか、中学生の信之は閉塞感を抱きながら日々を過ごしている。だが、同級生の恋人・美花がいることで、毎日は彼女を中心に回っていた。一方、信之を慕う年下の輔は、父親から激しい虐待を受けているが、誰もが見て見ぬふりをしていた。
そんなある夜、美花と待ち合わせをした場所で、信之は美花が男に犯されている姿を目撃。美花を救うため、信之は男を殺してしまう。
次の日、理不尽で容赦ない自然の圧倒的な力、津波が島に襲いかかり、全てが消滅。生き残ったのは、信之のほかには美花と輔とろくでもない大人たちだけだった……。
それから25年。島を出てバラバラになった彼らのもとに過去の罪が迫ってくる。妻(橋本マナミ)と一人娘とともに暮らしている信之(井浦新)の前に輔(瑛太)が現れ、過去の事件の真相を仄めかす。封じ込めていた過去の真相が明らかになっていくなか、信之は、一切の過去を捨ててきらびやかな芸能界で貪欲に生き続ける美花(長谷川京子)を守ろうとするのだが……。
=====ここまで。
原作(三浦しをん作)は、震災後に書かれたものかと思いきや、2008年発表の小説。
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◆キャッチコピーの割にセコい話。
前記事の『猫が教えてくれたこと』に続いて見たのだけれど、“正月早々、どよよ~んな映画を見てしまったなぁ”というのが、見終わった直後の正直な感想。
とにかく、ず~っと重苦しいシーンの連続。頭からタイトルが出てくるまでも異様に長いし、そのタイトルの映像も、ちょっと個人的には好きじゃない(かなり気味が悪い。それが狙いなんだろうけど)。
出てくるネタが、強姦、殺人、DV、不倫、幼女への性的いたずら事件、ゆすり、、、とまあ、鬱になりそうなものばかりでお腹一杯。……かといって、いわゆるイヤミスの匂いはなく、ただただ、社会の底辺に生きる人間のどうしようもなさと、それに引きずられる卑小な人間たちという人間ドラマであって、まあ、どうしたって“光”を感じる要素のない内容なのよねぇ。
事前情報で、“もの凄い映画”とか“狂気”とか、、、っていうフレーズが並んでいたので、勝手にハードルを上げてしまっていたのかも知れないけど、かなり前評判倒れと感じてしまった。井浦新なんて、自分で“べらぼうな映画”とか言っていたしね。あんましこういうキャッチーな言葉を使いすぎるのも良し悪しだわね。
原作がどんななのか分からないけど、この映画を見る限り、キャッチコピーにある「僕たちは 人間のふりをして 生きている」というのは、意味不明な気がする。というか、もっとセコい話だよなぁ、これ、、、という感じ。
◆脚本が、、、
25年前の事件が因果応報で惨事を招いた、、、ってことなんだけれども、信之と美花は中学生だから、その25年後となると、もうアラフォーのオッサン・オバハンたちのお話ってことよねぇ。それはいいんだけど、津波で島の人間の大半が亡くなって、数少ない生き残りだった彼らが、25年間も互いに消息知れずで関係が断たれていたってのも、ちょっと、設定としては違和感があるよなぁ。ちりぢりバラバラになったその背景が、多少なりとも説明がないと、なんとなく唐突感が拭えず、物語に入っていくのが難しい。
いろんなエピソードてんこ盛りな割に、結局は、“輔→信之→美花”という各々の一方通行な感情を描いているのよね。輔は信之を兄みたいに慕っていて、信之は美花のことをずっと思い続けていて、美花は自分のことにしか興味がない、、、、それが故に招いた悲劇。というか、だからこそ、25年間の空白ってのは、どうもピンとこないのよね。説明がまったくないと。そこまで思う人と、どういういきさつがあって離ればなれになってしまったのか、、、。
それでも、輔が信之に殺されるシーンは印象的。首を絞められて、輔は笑うのね。そして、いざ、殺されそうになったところで確か「こうなると思ってた」みたいなことを言うんだけど、そのときも薄笑いを浮かべている。なんか、それが輔の本望であるかのような描写。
……で、その大分前のシーンで、信之の妻・南海子と輔が不倫している場面で、輔が「アンタのダンナは、どんな風にアンタを抱くのかなぁって」と南海子に言うのを思い出し、なるほど、これは輔の信之への片思いってことか、、、と合点がいったんだけれど、それにしてもこんな最期はあんまりじゃないかしらん。
ちょっと、ストーリーがごちゃごちゃし過ぎなんだよなぁ。複雑とは違って、ごちゃついている感じ。原作がどうかは知らないけど、これ、多分、脚本が悪いんだと思う。南海子のエピソードはもっと大胆にカットして良かったんじゃないかね。実際、描写に割いた時間に比してゼンゼン彼女の存在が生きていないのね、映画では。せっかく、橋本マナミさんがベッドシーンで熱演していたけど、それだけしか印象に残っていないってのは、やっぱり脚本が悪いと思う。
あと、美花の描写もね、、、。美花は25年後、“篠浦未喜”という芸名で売れっ子になっているんだけど、その経歴を一切明かさずミステリアス女優なんて言われていて、、、っていう設定なんだけど、イマイチこの女性の魅力が分からない。ただのヤリマン、自己チュー女、でしかないわけ、この映画では。そんな女に人生の大半をとらわれている信之ってバカなの? とか思っちゃうわけよ。人を好きになるのは理屈じゃないから、ヤリマン・自己チュー女でもゼンゼン構わないけど、これは美花を演じる長谷川京子という女優の力のなさもあるかも知れないけれども、とにかく、こんな女性なら翻弄されるのもムリないよなぁ、と見ているものを圧倒する説得力がゼロってのも、いかがなものか。原作でもそーなの?
こうも女性の描写が雑だということは、そもそも、脚本・監督の大森立嗣氏は、信之と輔のホモセクシャルな関係を描きたかったわけ? とか思うんだけど、それにしてもヒド過ぎる。
◆その他もろもろ
離島での描写は子役(?)が演じているのだけど、美花を演じていた少女が、美少女ではないけど独特な雰囲気を持った“少年を惑わす”のも納得の感じだったんだけど、25年飛んでパッとスクリーンに現れたのが、橋本マナミで、私はてっきり彼女が成長した美花かと思ってしまった。見ているうちに、違うと分かったけれども、それくらい、少女時代の美花と橋本マナミが雰囲気が似ていたのよね。むしろ、長谷川京子はゼンゼン顔立ちも雰囲気も違いすぎて、キャスティング逆の方が良かったんじゃないかというのが率直な印象。
橋本マナミは、演技はイマイチだったけど、翳のある雰囲気美人で、むしろ、美花の方が合っているような。シレッと男の人生を狂わせる女に、長谷川京子よりはよほど似合っている気がする。
長谷川京子は、演技も雰囲気もかなりイケてない。ベッドシーンも、目を覆うばかりの大根ぶり、、、。アップが多かったからか、彼女の唇にやたら目が行ってしまったんだけれど、あんなに彼女は口元が良くない女優だったっけ? あれがセクシーと思う方もいるだろうけど、私的にはダメだった、、、。やっぱり、口元に品性は表れる気がするんだよねぇ。色気もないしねぇ。彼女が女優としてそこそこ活躍していることが謎だよなぁ。まあ、日本の女優さんでそういう方は多いですが。
井浦新は頑張っているけど、終始、表情が同じで見ていてつまんない。そういう役だって言われりゃそうなのかも知れないけど、私は、彼も俳優としての実力は少々疑問視しているので、、、すんません。何の役をやっても、彼は同じに見えるので。
そういう意味では、瑛太氏は、イイ俳優だと思う。役によってゼンゼン表情が変わるし、表現力もとても豊かだと思う。本作でも、育ちの悪い下品で図々しい、でも、どこか憎めない男を好演していました。
でも、本作で一番スゴイと思ったのは、輔の父親を演じた平田満氏ですね。ホント、もの凄いサイテーな父親役を見事に演じておられました。死ぬシーンで、お尻を見せるんだけど、そのお尻がとてもキレイでした。それも印象的。彼みたいな俳優を、“俳優”というのだと思うわ。
何だか感想が書きにくい映画です。
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