






3人目の赤ちゃんを流産したケイト・コールマン(ベラ・ファーミガ)は、悪夢にうなされる日々。夫のジョン(ピーター・サースガード)はどうしても3人目を欲しがっている様子。2人の間には、息子のダニエル(ジミー・ベネット)と、難聴の娘マックス(アリアーナ・エンジニア)がいたが、3人目の子どもを養子として迎えることを決める。
孤児院に行ったケイトとジョンは、そこで9歳の少女エスター(イザベル・ファーマン)に出会う。夫婦はエスターを一目で気に入り、エスターを3人目の子どもと決め、家に連れて来る。
しかし、エスターがやって来てから、家族の雰囲気は悪くなり、良くないことが続けて起きるようになる。そして、エスターも何か様子が変だ、、、。何者なの、この女の子!? ギャ~~ッ!!
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前から気になっていた本作。何かジャケットの少女の顔がヤバいんだもの。……とはいえ、全く予備知識はなく見ました。ジャンル的にはホラーになっているけど、蓋を開けてみればサスペンスでございました。
◆なんだ、モンチャイものか……と思ったけれど、、、。
そもそも、ケイトとジョンの夫婦は、2人の可愛い子どもがいるのに、何でわざわざ3人目を養子に迎えるのか、、、? というのが疑問なんだけど、まあ、その辺は文化の違いってやつかなぁ、、、と。アメリカでは、実子がいても養子を迎える家庭は珍しくないみたいだし。
で、この夫婦、実は問題が。ケイトは以前アル中だった。で、酔っ払っているときに、娘のマックスが庭の池に落ちて死にかけたという事故があって、それがきっかけとなってケイトはアル中から脱したらしい。夫のジョンは、10年も前のことだけれども不倫をしていて、それが2年前にケイトにバレたんだとか。夫婦ともども脛に傷持つ身だけれど、何とか夫婦再構築を図っているところへ、ケイトの流産が起きた、、、ということみたい。
それにしても、、、。この夫婦はあらゆる場面において非常に軽率で唖然となる。その最たるものが、エスターを養子に決める場面。孤児院で一目惚れ、、、は、まあイイにしても、エスターの過去には不幸が多いと分かっても、そのことをよく調べもせずに(孤児院の院長も詳細を把握していない様子)、「でも良い子そうだから! 可愛いから!」という短絡的な理由であっさり決めてしまう。
……とはいっても、仮に夫婦がもっと慎重に時間を掛けてエスターを観察したとしても、エスターの方がよっぽど賢いから、この夫婦をだまくらかして養子になることくらいはお茶の子さいさいだったろうな、とも思うが。
中盤までは、モンチャイ(モンスター・チャイルドの略)ものかと思って見ていたんだけど、それにしたって、エスターの悪知恵の働かせぶりは子どもにしてはえげつなさ過ぎるよなぁ、、、と感じていた。車のギアをバックに入れてアクセル押して車を暴走させるなんて、ちょっと9歳のガキンチョが出来ることじゃないだろ、、、と。
とにかく、普通、モンチャイものって『少年は残酷な弓を射る』みたいに不条理感炸裂で、親に同情しやすいんだけど、本作の場合、夫婦がマヌケ過ぎ(特に夫)なんで、不条理感より、イライラが募る。まあ、エスターを活躍させるためには、エスターを庇う存在(=夫)がいなきゃいけないのは分かるが、実子の言うことよりも、昨日来たどこのウマの骨とも知れないこまっしゃくれた娘の言うことを安易に信じる父親なんて、それだけで地獄行きだろ、、、(と思って見ていたら、ホントに地獄行きになる!)。
そして、終盤に至り、本作はモンチャイものではないことが明らかになるのであった、、、ごーん。
◆エスターって何者??
さて、ここからはネタバレですので、未見の方はご注意を。
それでは、見出しの疑問について。
そう、エスターはモンチャイなんぞではありません。立派な“大人のオンナ”だったんであります。どういうことか。
つまり、エスターは病気(下垂体機能不全)で、身体の成長が止まってしまった。だから、外見的には9歳に見えるけれども、実際は、33歳の大人なのである、ということ。
彼女の不幸な過去は、子どもの外見で大人の男を誘惑し、振られた腹いせに殺人を犯して来たことによるものだった、、、。
ううむ、、、このオチには参りました。ゼンゼン想像していなかった。オカルト系に展開するのかと思っていたら、極めてロジカルな展開になっていくではないか。実際に下垂体機能不全というのは難病指定されているようで、エスターみたいになるのかどうかはともかく、彼女をただのエスパーではなく難病を抱えた哀しい背景があったという設定は、好感が持てる。
このオチにつなげるために、上手く伏線が仕掛けられており、見終わって“なるほど、、、”となるのがニクい。伏線の一つは、エスターが決して歯医者に行きたがらないこと。そら行けないわな、33歳が9歳に化けてたんじゃ、、、とかね。他にもあるけどそれは見てのお楽しみ。
そして、33歳の正体を現したエスターがこれまた怖い。特殊メイクで一気に老けたエスターが狂気を纏ってケイトに襲い掛かってくるわけ。ちなみに、地獄行きだと思っていたジョンは、エスターに滅多刺しにされて呆気なく絶命する。正直、ジョンのこと、ゼンゼン可哀想と思えなかった。
エスターに焼き殺されそうになったダニエルは、多分助かったのだと思うが、最後までダニエルが元気になった姿は出てこなかったので、この辺は分からない。
いずれにしても、なかなかよく出来たホラー・サスペンスだと思う。
◆その他もろもろ
母親のケイト役が、またベラ・ファーミガか、、、とちょっと笑ってしまった。というのも、彼女は『ジョシュア 悪を呼ぶ少年』でもモンチャイの母親役を演じており、『ジョシュア~』のラストがどうなったかは忘れてしまったけれど、とにかく、彼女が演じていた母親が不安定すぎて、こんな母親じゃ、そら子どもはモンチャイにもなるわな、、、というような話だった気がする。
『ジョシュア~』の母親役のイメージが結構強かったから、彼女はモンチャイもの専門か? なんて思ってしまった。『ジョシュア~』が2007年の制作だから、その2年後に本作ということか、、、。しかも2008年には『縞模様のパジャマの少年』を撮っている。こちらでも母親役で、しかもちょっとマヌケなおかーさんだった記憶がある。なんだかなぁ、、、。たまたま続いただけだろうけど、奇遇だね。
しかし、本作は、なんと言っても子役2人の演技に尽きる。
1人は、難聴の娘マックスを演じたアリアーナ・エンジニアちゃん。まあ、とにかく可愛らしい。喋れない役だから難しかっただろうに、実に表現豊かに演じていて素晴らしい。きっと演出が良いんだね。それは、エスターを演じたイザベル・ファーマンを見れば分かる。
もちろん、もう1人は、そのイザベル・ファーマンなんだが、大人顔負けの下ネタを口にしたり、ジョンを誘惑したり、、、という子どもが演じるにはいささか無理がありそうなシーンも非常に不気味に演じていて圧巻。素のときの画像を見ると、ホントにフツーっぽい少女だけれど、それだけにこの変貌ぶりに瞠目である。その後、あまり出演作に恵まれていない様だけど、頑張って欲しいものです。
ベラ・ファーミガはモンチャイのママ役専門か!?
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