映画 ご(誤)鑑賞日記

映画は楽し♪ 何をどう見ようと見る人の自由だ! 愛あるご鑑賞日記です。

ブロンド少女は過激に美しく(2009年)

2018-06-06 | 【ふ】



 以下、上記リンクよりストーリーのコピペです。

=====ここから。

 長距離列車のなか、マカリオ(リカルド・トレパ)は隣り合わせた婦人(レオノール・シルヴェイラ)に自身に起きた事件を語る。

 会計士のマカリオは、叔父フランシスコ(ディオゴ・ドリア)が経営する高級洋品店の2階で仕事を始めた。マカリオは、向かいの家の窓辺に姿を現した美しいブロンドの少女(カタリナ・ヴァレンシュタイン)に恋をする。2週間後、その少女と母親(ジュリア・ブイセル)が店を訪れる。その日の食事時、叔父は高級ハンカチーフがなくなったと言う。

 数日後、マカリオは、友人が向かいの家の母親に挨拶しているのを見る。母親はヴィラサ夫人で、良家の母娘だと聞いて安心したマカリオは、友人に紹介を頼みこむ。

 土曜日の夜、マカリオは公証人の家で開かれた上流層の集いに出席する。少女ルイザもそこにいた。2人は別室のカードゲームに加わるが、ルイザに配られたチップがなぜかなくなる。ヴィラサ夫人宅の友人の集いに招かれたマカリオは、夫人にルイザへの想いを打ち明ける。翌朝、叔父に結婚の許しを乞うが、叔父は反対し、マカリオをクビにする。

 家を出て部屋を借りたマカリオは、カンカン帽の友人から、貿易商がカーボヴェルデで働く男を探していると聞き、即座に受ける。

 一財産を築いてリスボンに帰ってきたマカリオはヴィラサ夫人を訪ね、結婚の許しを得る。しかしカンカン帽の友人はマカリオを保証人として、不倫の恋で行方をくらませていた。

 破産したマカリオは、借り部屋で暮らし始める。再びカーボヴェルデの仕事を持ちかけられたマカリオは、悩みながら決意する。マカリオはルイザの家の前で無言の別れを告げると、叔父を訪ねる。全てのいきさつを知っていた叔父はマカリオに2階で仕事をするように告げ、ルイザとの結婚を許す。

 マカリオとルイザは一流宝石店に行く。2人は結婚指輪を選び、店を出ようとするが店員に止められる。ルイザの手の中に、ダイヤの指輪があった。ルイザを怒鳴りつけたマカリオは、2度と会えない別れをする。

=====ここまで。

 上記あらすじの“ぶつ切り感”が何とも言えないのだけれど、本作自体も、このあらすじみたいな感じなんですヨ、、、。


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 オリヴェイラの映画は、これまで2作品(『アンジェリカの微笑み』『家族の灯り』)しか見ていないんだけど、正直、ヘンな映画を撮る爺さんというイメージが定着してしまった。でも、本作はそのタイトルに何となく惹かれ、前から見たいと思っていたところ、2年前くらいにDVD化されていたようで、このほど見ることが出来ました。やっぱりヘンな映画だった!


◆思いもしない展開に唖然、、、。

 ヘンな映画を撮る爺さん、などと書いたけれど、どうヘンなのかを書くのがこれまた難しい。ストーリーらしきものはあるのだけれど、展開が唐突で、ぶつ切り感というか違和感をもの凄く覚える。画は概ね暗くて、役者さん達の演技も、まさに“お芝居しています”的な感じで、作り物感が溢れている。つまり、リアリティなんぞ、最初からまったく追求していないように感じる。

 ただ、見終わった後に、何とも言えない強烈なインパクトを残すのも事実で、映画を見た、というより、幻想絵画(動画)を見た、という感じに近い。

 本作は、それでも前2作に比べれば、ストーリーは割とハッキリしている方だが、???な部分は当然あちこちにある。そして、やはり幻想絵画的な印象を残す。

 『アンジェリカ~』のヒロイン・アンジェリカもそうだったけれど、本作のヒロインのブロンド少女・ルイザは、どことなく想像上の生き物というか、幻の女性という感じの造形。アンジェリカはお化けだったから当たり前だが、ルイザも何となく実在感が伴わない。

 マカリオの「窓から見える女性に恋を……」みたいな(ゼンゼン正確じゃありません)回想セリフに被って、とある窓が映るんだけど、そこにどんなブロンド美少女が現れるかとドキドキしながら見入っていると、洗濯物か何かをバサバサする中年女性がおもむろに現れる、、、という出だしからして、いきなり虚を突かれる感じ。もちろん、その後すぐにブロンド美少女が現れるのだけれど、なんかこう、、、その窓がいかにもハリボテな感じだし、マカリオからの実際の距離よりえらく窓が近く感じられる映像で、何とも言えない居心地の悪さの中に放り込まれるのである。

 もちろん、何かを狙ってこういう演出なんだろうけど、見ている方としてはそれが何だかは分からない。

 ブロンド少女もマカリオの存在に気付いていて、それでも、マカリオはブロンド少女を見たくて仕方なくて、もの凄く不自然に、書類を持って立ち上がると窓際に歩み寄り、書類で顔を隠しながら、そーっと目だけを書類の外に出して、向かいの窓辺にいるブロンド少女を盗み見(でも盗み見たことになっていない。相手にバレバレだから)するとか、ほとんどキモい行動になっている。あれじゃぁ、書類で顔を隠す意味が分からない、、、爆。

 まあ、とにかく、他にもヘンテコな描写ばかり(でも、一応ストーリーにはなっている)が続いて、でも、どーにかこーにか、マカリオとブロンド少女は結婚できそうだ、ということになる。

 が、しかし!!

 ここから想像の斜め上を行くオチが待っている。なんと、このブロンド少女、盗癖があったのである。マカリオと行った宝石店で、購入した指輪とは別の指輪を、それこそ“万引き”していたのだ。店員に見破られていて、驚いたマカリオはルイザの手に握られた指輪を発見するが、その際にルイザは「恥かかさないで!」などと言う。マカリオは慌てて、その分の代金も支払って店を出るが、店を出た直後に「もう二度と会わない!」と言い放つのだ。

 ただまあ、この盗癖については、後から思えばちゃんと伏線が張られていた。上記あらすじにもあるとおり、叔父の店から高級ハンカチが消えていたり、カードゲームで配られたチップが消えたりする、、、。

 折角、マカリオは苦労の連続の果てに、憧れのブロンド少女と結婚できることになったのに、何という悲劇。確かに、こんな経験をしたら、誰かに話したくもなるよね。

 冒頭、マカリオが電車で隣り合わせた女性に「妻にも友にも言えないような話は 見知らぬ人に話すべし」という言葉で、自分の悲恋話を切り出すのが印象的。


◆唖然の次は、絶句のシーンが、、、。

 でも、本作はそこで終わらないのよ。

 その後のシーンがキモなのだ!! このシーンでブロンド少女の本性が如実に表れるという、これはお見事と言うのかなんと言えば良いのか、、、それをここで書いてしまってはあまりにもったいないので、是非、見てのお楽しみということに。もう、このワンショットのために、この作品はあると言っても良いと思う。それくらい、衝撃的なワンシーンなのです。

 マカリオは、恐らく、このことを知らないんだよね。だから、電車で見知らぬ女性に思い出を語って、悲劇の主人公に浸っているんだろうと思う。

 マカリオの叔父という人も不思議な人で、ブロンド少女との結婚を絶対に認めない、と言っていたのに、時間が経ったら許している。その変化の理由がさっぱり分からないのね、描写が全くないから。

 勝手に想像すれば、叔父さんは、ブロンド少女の悪癖を見抜いていたから反対したけど、マカリオがどうにもならないほど追い詰められているのを見て、諦めた、、、とか。

 あと、マカリオはカーボヴェルデという街に出稼ぎに行って、商才を発揮して大儲けすることになるんだけど、そんな才能があるのなら、金をだまし取られたからと言って、食うモノにも困るほど追い詰められるまでもなく、何とか算段できるんじゃないの? という、真っ当な疑問も湧くんだけど、そんなことは本作ではほとんど無意味な疑問だわね。


◆その他もろもろ。

 ブロンド少女・ルイザを演じたカタリナ・ヴァレンシュタインが、妖艶で美しい。男を惑わせる女、というのにピッタリ。窓辺でシノワズリみたいな羽根つきの団扇を仰ぐ姿は、女の私が見ても十分セクシー。

 マカリオを演じたリカルド・トレパは、オリヴェイラの孫だそうで、『アンジェリカ~』に続いて、またもや美女に惑わされる真面目な男の役。

 叔父さんと、マカリオが食事をするシーンがあるのだが、ここで2人は、向き合って座るのではなく、並んで座っている。この画がまたまた違和感バリバリ。ネット上で、この叔父さんを“ホモセクシャル”と書いている人がいて、「なるほど、、、そういう見方もあるのか」と、ある意味納得してしまった。確かに、あの結婚の反対っぷりは、ちょっと度を超していたように私も感じたので。大人の選択なのに、何で、、、? と。

 いや~、3作目にしても、ヘンテコな映画を撮る爺さんのイメージは変わらないわ。でも、これはかなり面白いと思う。初オリヴェイラに向いているかも、、、です。







ラストシーンで絶句、、、。




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