映画 ご(誤)鑑賞日記

映画は楽し♪ 何をどう見ようと見る人の自由だ! 愛あるご鑑賞日記です。

ジョジョ・ラビット(2019年)

2020-01-26 | 【し】

作品情報⇒https://movie.walkerplus.com/mv68563/


以下、上記リンクよりあらすじのコピペです。

=====ここから。

 第二次世界大戦下のドイツに暮らす10歳のジョジョは、立派な兵士になるため、空想上の友達であるアドルフの助けを借りながら、青少年集団ヒトラーユーゲントで奮闘する日々を送っていた。

 しかし、訓練中にウサギを殺すことができず、教官から“ジョジョ・ラビット”というあだ名をつけられ馬鹿にされてしまう。

 そんなある時、自宅の壁裏で母親が匿っていたユダヤ人の少女エルサと出会う。

=====ここまで。

 オスカー本命とも言われているらしい(?)ナチ映画。
 

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 本作の予告編、昨年、一体何度劇場で見せられたことやら、、、。もう、それだけでお腹一杯、って感じだったし、正直なところ、これは私には合わない系だろうな、、、という予感があったので、見ない方がよさそう、とも思っていた。

 ……が、しかし、普段はアカデミー賞なんて、、、とわざとらしく冷笑しているくせに、それに関するニュースやらを耳にすると気になって、一応チェックしてしまうという小市民っぷりが毎度のコトながら自分でも呆れる。というか、予告編を何度も見せられていたから、アレってそんなに評判ええの??マジで???みたいになって、んじゃ一応見ておかねばなるまいね、、、となったわけです。

 でもって、私の予告編を見た第一印象は、まぁ、おおむね当たっていたというわけでした、、、ごーん。


◆つまずいて、転んで、起き上がれずに終わる。

 最初に言い訳をしておくと、……いや、面白かったんですよ、ホントに。アイデアも、シナリオも、映像も、美術も、音楽も、もちろん役者も演技も演出も、どれをとっても皆とても良いと思う。

 序盤、ジョジョがウサギを殺せずに弱虫と言われて落ち込んでいるところへ現れる脳内キャラ・アドルフ。アドルフに励まされて、手榴弾持ってジャ~ンプ!なんてのは、非常に可愛いし、直後に手榴弾が爆発し、、、なんてアイロニカルでもあり、その後の展開に期待が持てそうな描写だ。

 実際、その後、スカヨハ演ずるフシギ系ママが現れ、壁にはユダヤ人の超美少女が隠れていて、何かというとジョジョの前にアドルフが現れ、若干中だるみな感じもあるものの、ファンタジーに傾きそうなところをギリギリの線でシビアさを保ちつつ、絶妙なバランスで最後まで突っ走る。……うん、おもろい。

 ……なんだけれども。私は、早い段階から“おいてけぼり”を喰っていたのである。合コンで、みんな盛り上がってるのに、自分一人だけ乗り遅れた感じ。

 それは、なぜ、ジョジョの脳内キャラ、心の友がアドルフなのか、、、ということに引っ掛かったのだ。そこでつまずいて、復活できなかった。

 ヒトラー・ユーゲントの合宿に行って感化されたのなら分かる。でもそうじゃない。ジョジョはそもそもハイル・ヒトラーなガキなのだ。それは別にいいんだけど、問題は、母親がアンチ・ナチスのレジスタンスだってこと。この母親に育てられた子供が、ハイル・ヒトラーになるだろうか、、、??というのがつまずいた原因だ。

 しかし、まあ、母親は息子の身の安全を考えて、敢えて、自分の思想は子供に影響しないように家の中では封印していたのだろうな、、、と自分で勝手に納得し、なんとか着いていこうとした。

 なのに、今度は壁の中の美少女エルサの登場だ。エルサは母親がこっそり匿っていたわけだが、ハイル・ヒトラーなジョジョにとっては憎悪すべきユダヤ人である。ここで、私はまたまたつまずいた。何で美少女? 何でオバサンとかオッサンじゃないの? いや少女でも良いけど、何で美少女?

 そりゃね、美少女の方が映画なんだからストーリー的にも絵的にも良いのは分かる。しかし、それじゃぁ少年の心の成長を描くにはいささかズルいよね、設定として。……というのが捻くれているのは自覚しております。でもさ、美少女ってだけで、少年にとってはパンチが効きすぎだと思うわけよ。

 私の甥っ子が幼稚園児だった頃、親の仕事でアメリカにいたんだが、現地の幼稚園に通っていた4歳の甥っ子は、自宅で幼稚園での話をする際に、数人の決まった女の子の名前が出てきたんだとか。で、ある日、親が幼稚園での写真を見て、甥っ子がよく口にする名前の女の子をチェックしたところ、例外なく皆美少女だった、、、ってことに、甥っ子の母親である私の姉は爆笑していたのをよく覚えている。4歳にして、、、である。

 ……つまりそーゆーことなわけよ、男(の子)にとって美少女ってのは。だから、ジョジョの成長譚を描きたいんなら、エルサが美少女ってのは設定に瑕疵があるってことだわね。案の定、初恋物語にラストはなっているし。

 まあ、あんましこういうことを気にしすぎない方が、こういう映画は楽しめることは頭では分かっているのだが、どうしても屈折した心はなかなかまっすぐにならないのです。


◆受け容れ難い“軽さ”

 ネットで感想を拾い読みしたら、概ね絶賛されていた。ま、そーだよね、そりゃ。

 本作はナチ映画というジャンルにしてよいと思うが、ナチ映画というと、my Best5に入る『戦場のピアニスト』が私にはあまりに重すぎて、本作のようなテイストが素直に受け容れられないという、個人的な事情は大きいと思う。あの衝撃を思うと、本作のノリはどうしても“軽い”と感じてしまう。ナチスを重く扱わなければいけないなんて決まりはないし、重く扱うべきだとも思っていないが、この軽さには違和感を禁じ得ないのも事実。

 もう一つ引っ掛かっていたのが、なぜ今、ナチの寓話なんだ?ってことだった。先日見た秀作『テルアビブ・オン・ファイア』(2018)のように、パレスチナでもよかったじゃないか。……と、思っていたら、同じことを考えて書いている方がいらして、しかもその方は私のモヤモヤをもっとクリアに言語化していたので、それを拝読し、少し私のモヤモヤも晴れたのだった。

 まあ、意地悪なことを言えば、ユダヤ人である監督としては、ユダヤ人が加害者の立場になるものはつくりにくいだろうしね。ましてや、アメリカ資本じゃ、ほぼ不可能だろう。ユダヤ人クリエイターが、ナチスを寓話として扱う以上は、やっぱりイスラエルのことは常に念頭に置いてほしいよね。加害者と被害者というのは簡単に入れ替わるものなんだ、という視点というか、自戒は常に持っていて欲しい。

 あと、終盤のサム・ロックウェル演ずるキャプテンKとジョジョのシーンが、本作を少し安っぽいものにした感も否めない。キャプテンK、実はイイ人でした、、、というオチは、分かりやすいけどクサいしつまらん。このシーンで一気に寓話度が上がってしまい、より軽さを感じた気がする。


◆その他もろもろ

 ……というようなことを感じたとしても、ジョジョを演じたローマン・グリフィン・デイビス君は上手いし、スカヨハは好演していたし、監督本人が演じたアドルフも戯画化されていて笑ってしまった。

 サム・ロックウェルは、ああいう、ちょっといい加減なキャラが実に合う。『スリー・ビルボード』での役とキャラが被る。ゲシュタポの大尉を演じていたスティーブン・マーチャントも面白かった。間の取り方とか、さすがコメディ出身だけあって絶妙。上手い。

 でも、一番印象に残ったのは、ヒトラー・ユーゲントの教官ミス・ラームを演じたレベル・ウィルソン。スクリーンに現れるだけでインパクトあり過ぎ。序盤のシーンで、少女たちに、「女は子供を産むこと(が役割)!」みたいなことを大声で叫んでいるんだが、まったく、これぞ戦争……って感じでウゲゲ、、、であった。

 エルサのトーマシン・マッケンジーちゃんもすごい美少女で、本作でブレイクするかもねぇ、、、。あと、ジョジョの親友ヨーキーを演じたアーチー・イエイツ君も要チェック!

 一応、パンフを買って読んだんだが、その中でデイビス君とトーマシンちゃんの対談が載っていて、なんともまぁ、大人顔負けの生意気っぷりで、少々興醒めだった。知ったようなことを言うマセガキはあんまし好きじゃない。

 


 

 

 

 

あの後、ジョジョはどうやって生きていくのだろうか、、、。

 

 

 

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コメント (4)
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