映画 ご(誤)鑑賞日記

映画は楽し♪ 何をどう見ようと見る人の自由だ! 愛あるご鑑賞日記です。

少年の君(2019年)

2022-10-08 | 【し】

作品情報⇒https://moviewalker.jp/mv73154/


以下、公式HPよりあらすじのコピペです。

=====ここから。
 
 進学校に通う成績優秀な高校3年生のチェン・ニェン。全国統一大学入試(=高考)を控え殺伐とする校内で、ひたすら参考書に向かい息を潜め卒業までの日々をやり過ごしていた。

 そんな中、同級生の女子生徒がクラスメイトのいじめを苦に、校舎から飛び降り自らの命を絶ってしまう。少女の死体に無遠慮に向けられる生徒たちのスマホのレンズ、その異様な光景に耐えきれなくなったチェン・ニェンは、遺体にそっと自分の上着をかけてやる。しかし、そのことをきっかけに激しいいじめの矛先はチェン・ニェンへと向かうことに。

 彼女の学費のためと犯罪スレスレの商売に手を出している母親以外に身寄りはなく、頼る者もないチェン・ニェン。同級生たちの悪意が日増しに激しくなる中、下校途中の彼女は集団暴行を受けている少年を目撃し、とっさの判断で彼シャオベイを窮地から救う。

 辛く孤独な日々を送る優等生の少女と、ストリートに生きるしかなかった不良少年。二人の孤独な魂は、いつしか互いに引き合ってゆくのだが・・・。

=====ここまで。

 
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 昨年の劇場公開時に見そびれ、ようやっとDVDで見ました。


◆いじめと受験戦争

 オープニングでいじめ云々のテロップが出るのだが、確かに、本作は“いじめ”が背景にある。いじめは、洋の東西を問わず、大人も子供も、人間の集う所にはついてまわる現象と言って良いのでは。これは、人間の、というか生き物の持つ気質みたいなもんじゃないかと常日頃思っている。あのさかなクンが言っていたけど、“お魚ちゃん”たちの間でも、群れで1匹の魚を小突き回したり仲間はずれにしたりという、いじめ現象が見られるのだとか。

 日本でも、もちろん“いじめ”は多発しており、被害者の自殺に発展する場合も少なくない。本作も序盤で被害者の女子生徒が投身自殺を図る。しかも現場である学校で。

 その学校が、国内有数の進学校という設定で、どうやら苛烈な受験戦争がいじめを誘発していると言いたげである。

 しかし、それは間違っている。前述のとおり、いじめはどこにでもあるのだ。受験戦争や進学校は、関係ない。日本では、進学校で、しかも高校でのいじめってのは、むしろ少数派ではなかろうか。最近の高校は知らんけど、、、。私が高校生だった頃も、同様に社会ではいじめが問題になっていたが、進学校に来るような子たちは、“いじめる時間があるならお勉強”という感じが多いし、自分のことで手一杯だったんじゃないか。陰で悪口、とか、ケンカ、くらいならあったろう。もし深刻ないじめがあったとすれば、本作のように、劣等感を持った子が拗らせていじめ行為に走る、、、というパターンか。

 なので、本作で主人公のニェンちゃんをいじめる美少女は、浪人生でイマイチ出来がよろしくない、というのはリアリティがあると言える。

 もう一つ、本作の背景にあるのは、まさにその“受験戦争”である。なかなかの壮絶っぷりは、さすが中国、科挙の国。今の日本のセンター試験よりもかなり厳しそうに見えた。しかも一発勝負の様である。

 この一発勝負ってのが、日本でも物議を醸し、少年少女たちの心身に悪影響を与えているという根拠不明な理屈で弊害だけがフォーカスされ、入試制度は猫の目改革の憂き目に遭っている。が、正直なところ、受験戦争経験者としては、そんな悪影響は、実社会に出てからの悪影響の比ではない、、、と思う。

 一発勝負は、確かに容赦ないが、公正性・透明性でいえば他の方法より利があるだろう。今の大学入試は、受験生の経験値がモノを言う制度になりつつあるように感じる。けれど、経験値を積めるのは、結局のところ、家庭環境がモノを言うのであり、生まれ落ちた家庭で人生の既定路線が敷かれてしまうという、かなり問題の多い制度だと思う。

 一発勝負でも家庭環境格差は解消しきれないが、少なくとも経験値とかいう、本人の努力ではいかんともしがたい部分で逆転の機会を奪われることは避けられる。本作のニェンちゃんのように死に物狂いで勉強すれば、それこそ“一発逆転”のチャンスが誰にでもあるというのは、社会にとって罪より功の方が大きいのではないか。階層固定化を一定程度緩和できるし、希望が持てれば活気のある社会にもなる。今の日本のように、諦めムードが覆いつくしている社会もちょっとは変わるんじゃないかしらん。

 中流より上の人々は、自分たちが良ければ下々のことはどーでもええ、と思っているかも知らんが、下々の層が厚くなれば、中流も上流もどんどん下に取り込まれて相対的に地盤沈下していくのは避けられない。まあ、もう今の日本はそうなっているけれども。だったら、海外脱出するからええんだ、とか思っているかも知らんが、外国はそんなにお人好しではないと思うよ。

 で、映画の話だ。

 とにかく、ニェンちゃんは、投身自殺事件の際にとった行動が原因で、自身がいじめのターゲットとなる。けれど、とにかく現状から脱出すべく、イカサマ通販で日銭を稼ぐ母親を反面教師に、必死で勉強するのだ。その必死さが画面を通して伝わって来て、胸が痛くなる。

 そんなニェンちゃんが、チンピラたちのケンカ現場に通りがかったのが縁で、チンピラの一人シャオベイと知り合う。学校でも家でも居場所のないニェンちゃんにとって、あばら家で一人暮らしのシャオベイとの空間は、心落ち着く場所になる。


◆“優等生とチンピラ”

 ……というわけで、優等生少女とチンピラ少年の組み合わせ物語は、割と定番。

 本作は、東野圭吾の小説のパクリ説もあったらしいけど、私はそれを読んでいないので何とも言いようがない。ないけど、この手の話は、別に目新しくもなんともなく、日本の少女マンガにもあったし、恐らく、世界中の小説や映画やドラマで掃いて捨てるほどにはあると思うよ?

 なので、私は割と冷めて見ていたのだが、本作が見終わって鮮烈な印象を残すのは、終盤からオチにかけての展開があるからだろう。ここでは敢えて書かないけど、決してハッピーエンディングにはなり得ない終盤への展開が、見ている者をハラハラさせる。

 シャオベイとニェンちゃん2人の痛々しい思い遣りが、ホントに痛い。私がニェンちゃんだったら、そもそもあの状況で試験に受かると思えない、、、ごーん。あそこで合格できちゃうニェンちゃんの学力と鋼の精神力に唖然とさせられた。

 ネットの感想を拾い読みしたら、あの終盤は蛇足ではないかと書いている人もいたけれども、ニェンちゃんが合格して、良かったね、、、じゃ、つまらん映画だったと思うなぁ。つまらんは言い過ぎか。ありきたりな映画になっていたと思う。

 本作は中国(香港)映画なんだが、中国映画には良い映画が多い、、、というか、良い映画が日本に入ってきているということなんだろうが、検閲をかいくぐっての制作であることを考えると、相当のエネルギー量である。台湾映画も良作が多いイメージがあるし。邦画も頑張って欲しいなぁ。

 ニェンちゃんを演じたチョウ・ドンユィ(周冬雨)は、撮影時27歳だったとか。普通に高校生に見えるのが凄い。透明感があって、屈折した感じを上手く表現していて良かった。途中で、髪の毛を刈って、シャオベイと2人で同じ頭になるシーンが印象的。……誰かに似ているなぁ、、、と思ってずーっと見ていて、誰だか分からなかったのだが、見終わって、あーコンマリだ!!とスッとした。コンマリって、あのときめく片付けの、、、。

 シャオベイを演じたイー・ヤンチェンシー(易烊千璽)くんはアイドル?らしいが、演技は確かだった。ちょっと高橋大輔に似ている??と思って見ていたのだが、、、どーでしょう?

 余談ながら現実的なことを言っちゃうと、優等生少女とチンピラ少年の物語は、飽くまでも青春の一幕ですね。大人になると、違いがあり過ぎてムリだと思うわ~。男と女が逆でも、、、やっぱムリかな。チンピラがチンピラのままだったら、、、という前提だけど。チンピラを脱出した物語が、『マーティン・エデン』(2019)かな。でも、やっぱしダメだったもんね。ブロディ主演の『ラブ・ザ・ハード・ウェイ~疑惑の男~』(2001)という超マイナー映画も優等生女性とチンピラ男の話だったけど、こちらは大人同士でラストはハッキリ描かれていないが、あんまし上手く行きそうな感じはしなかった。

 本作はラストで、2人のその後、、、と思しきシーンが出てくるんだが、はて、どうなっているでしょう。見てのお楽しみ、ということで。


 

 

 

 


 

 


いじめの首謀者は、美少女で超絶イヤな女。

 

 

 

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コメント (4)
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