映画 ご(誤)鑑賞日記

映画は楽し♪ 何をどう見ようと見る人の自由だ! 愛あるご鑑賞日記です。

ドント・ウォーリー・ダーリン(2022年)

2022-12-29 | 【と】

作品情報⇒https://moviewalker.jp/mv78500/


以下、公式HPよりあらすじのコピペです(青字は筆者加筆)。

=====ここから。
 
 完璧な生活が保証された街で、アリス(フローレンス・ピュー)は愛する夫ジャック(ハリー・スタイルズ)と平穏な日々を送っていた。

 そんなある日、隣人が赤い服の男達に連れ去られるのを目撃する。

 それ以降、彼女の周りで頻繁に不気味な出来事が起きるようになる。次第に精神が乱れ、周囲からもおかしくなったと心配されるアリスだったが、あることをきっかけにこの街に疑問を持ち始めるー。

=====ここまで。

 オリヴィア・ワイルドの長編監督作第2弾。

 
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 公開直後から見に行きたかったのだけど、なかなかタイミングが合わず、このまま終映か、、、と思っていたら、ぽっかり時間ができて、ようやく見に行くことができました~。

~~以下ネタバレしております。今後、鑑賞予定の方は、予備知識ナシにご覧になることをオススメします。~~


◆フェミVSマッチョの殺し合い。

 あらすじはチラッと読んでいたけど、予告動画も見なかったし、ほぼ予備知識ゼロで見たのは正解だった。これ、予告動画を見てしまったら、おおよそ内容が想像つくし、実際に見て、その想像を(多分)超えないだろう。これは、予告編としてはダメでしょう。

 それはともかく。

 見終わった直後は、そこそこ面白かったと思ったのだけど、時間が経つにつれて、イマイチ感が増幅してきてしまった。

~~~以下、結末に触れています。~~

 完璧な街ヴィクトリー(この名前からしてアレなんだが)は、仮想空間だったのだけど(それは良いのだが)、完璧な街とかバーチャルとかは割とよくある設定だし、男尊女卑を徹底的に批判するものとしてこの設定を使っているのは既視感も強く、あまり感心しなかった。

 いや、マッチョに鉄槌を下してやりたい気持ちは痛いほど分かるので、フランクみたいにミソジニー丸出しの男たちの妄想をヴィクトリーという街に見立てて、徹底的に虚仮にすること自体は理解できる。できるし、面白いは面白いんだけどねぇ、、、何かねぇ、、、という消化不良な感じ。

 世間じゃ、本作は“フェミ映画”なんて言われているらしいが、確かにフェミ映画だけど、私はこういう描き方はあまり好きじゃない。

 マチズモをこき下ろすのは、まあそれがフェミの常套だからね。そのこき下ろし方が、どうしようもなく暴力的なんだよね。シニカルな笑いに落とし込んでいるのならば良いのだけど、日頃マチズモの暴力性に異議を唱えておきながら、それはどうなんだろう、、、と。力には力で!というのでは、マッチョとやっていることは同じだろう。

 要は、フランクに逆らう女は殺すとか、アリスがバーチャルから抜け出すためにジャックを殺すとか、フェミVSマッチョの行き着く先は凄惨な殺し合い……という展開が、本作の最大の難点だと思い至った次第。


◆カオスは敵!!

 ヴィクトリーの首謀者フランクが「進歩の敵は何だね?」と問い掛けると、ヴィクトリーの住民は「混沌(カオス)」と答える。整然と統一されていることが良しとされるのだが、これはつまり、独裁のメタファーだということは容易に想像がつく。

 その象徴として、円形に同じ外見の住宅が整然と並ぶヴィクトリーの街を上空から捉える映像や、大勢のダンサーによる万華鏡のようなダンス映像が差し挟まれるのだが、これがちょっとやり過ぎというか、意図がミエミエで安易ささえ感じる。ただ、アリスたちのバレエは、整然と!と言われている割に、あまりそうでもなくバラバラな感じだったけど。

 とにかく、ヴィクトリーの女たちは、ミソジニーの男たちに徹底的に消費されているのであり、こういう世界をユートピアと感じる男性は、一定数いるんだろうなあ、とも思う。女でも、ミソジニーはいるからね。

 余談だけど、昨今の少子化解消策として「女が家事育児に専念すればよい」と唱えている人は男女問わずいて、彼らは、そういう性的役割分業制にした方が、社会が効率的に回って良い、と信じているのだよねぇ。

 フランクが言う「カオスは敵!」ってのは、やっぱり「性的役割分業制の方が効率的」という考えと地続きなんだよなぁ。独裁は、ある意味、単純で分かりやすいからねぇ。でも、独裁は停滞でしかなく、発展は望めない。分かりやすさを求める大衆、、、というけど、そういう大衆を育てたいのだよね、権力者は。その縮図がフランクであり、ヴィクトリーということだ。逆らうヤツは殺すと。

 日本よりいくらかマシなアメリカでもこんな映画が撮られるんだから、日本がジェンダーギャップを解消する日は遠いわね、、、ごーん。 


◆その他もろもろ

 アリス(って、鏡の国のアリスからだよね、多分)を演じたフローレンス・ピューは、『ミッドサマー』に続き、受難のヒロイン。『ミッドサマー』ではあまり感じなかったが、本作では、すごくカワイイなぁ、と思った。こういうカワイイ系の女性が、マッチョと闘う!ってのは、(ありがちだと貶しておいて矛盾するけど)この種の映画では新しいヒロイン像かもね。

 夫のジャックを演じたハリー・スタイルズは、窪田正孝に見えて仕方なかった。中盤で、ダンスシーンがあるのだが、どうにも不安定な感じのダンスで(そういう演出なんだろうが)、しかも結構長くて、見ていてイラっとなるシーンであった。私は、この人のことゼンゼン知らないのだが、どうやらミュージシャンらしいけど、演技はハッキリ言ってイマイチ、、、というか、面白くないんだよね。演じようによっては、かなり面白いキャラだと思うのだが。

 ヴィクトリーの街並は美しくて、アリスたちの家のインテリアが素敵だった。衣装もとっかえひっかえで目に楽しい。

 街の立ち入り禁止区域ってのがあって、そこに「本部」と呼ばれる無機質な建物があるんだけど、実際のその建物は、元原発施設だった、、、と聞いてちょっと納得してしまった。ラストシーンは、アリスがそこへ乗り込んで行って、、、で終わるのだが、当然ながら、スッキリ感はない。
 
 ここのところ、“フェミ映画”が多い気がするのだが、それは歓迎すべきことなんだが、どうも暴力性が気になるなぁ。フェミは、“マッチョは殺さないとなくならない!”と思っている証左かも知れない。気持ちは分かるが、でもそれは、やっぱり近視眼に過ぎるだろう。教育ですよ、教育。ま、今の日本じゃダメだけど。

 

 

 

 

 

 

ラップで頭をグルグル巻き、、、見ているだけで苦しかった。

 

 

 

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コメント (4)
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