作品情報⇒https://eiga.com/movie/94405/
以下、wikiよりあらすじのコピペです(青字は筆者加筆)。
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1860年代、パリの下層社会。テレーズ・ラカン(エリザベス・オルセン)はその卓越した美貌にも拘らず、何の刺激もない、息苦しいだけの生活を送ることを余儀なくされていた。その最大の原因は叔母マダム・ラカン(ジェシカ・ラング)にあった。マダム・ラカンはテレーズに対して高圧的に振る舞い、彼女を無理矢理従兄カミーユ(トム・フェルトン)と結婚させたのである。
そんなある日、テレーズはカミーユの友人、ローラン(オスカー・アイザック)と知り合いになった。何の取り柄もない凡庸なカミーユとは違い、ローランは男性的な魅力に溢れていたため、テレーズはあっという間に彼の虜になってしまった。ローランと肉体を重ねる度、テレーズは女としての喜びを全身で感じるのだった。やがて、2人は邪魔者でしかなくなったカミーユの暗殺を決意する。
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どうしてリストに入れたのか全く覚えていないDVDが送られてきたのだけれど、これはおそらく、エリザベス・オルセンの出演作を検索してポチったんだと思われます。「ウインド・リバー」が良かったので、、、っていつの話だ??と思って調べたら、もう5年も前の話だった、、、ごーん。
本作は、日本では公開されていない様ですね。原作は、エミール・ゾラの『テレーズ・ラカン』。本作を見終わってから知ったのだけど、シモーヌ・シニョレ主演の「嘆きのテレーズ」も同じ原作の映画。こっちも見たいわ。
なんかB級感漂う邦題ですが、なかなか雰囲気のある、でもちょい惜しい文芸作品でした。
無理矢理、好きでもない、、、どころか、むしろ男としてはまったく魅力を感じない、苦手な相手と結婚させられてしまうテレーズ。しかも、幼い頃から抑圧され続け、ろくに人との関りも持たず、当然、恋愛もせずに育ってきてしまった彼女にとって、突然現れたイケメン・ローランは、もうそれこそ、おとぎ話から飛び出して来た王子様に思えたに違いない。
しかも、このローラン、割といいヤツで、世間知らず・男見る目ナシ子のテレーズをもてあそぶでなく、テレーズの相手をちゃんとしているのだ。原作ではどうなのか知らんが、こんなメンドクサイ人妻、普通の遊び人だったらテキトーに相手してポイ、、、でもゼンゼンおかしくない。ラカン夫人にさほど財産があるでもないのに、ローランはわざわざ「殺人」という重罪を犯してまでテレーズと一緒になろうとするのだから、誠実な男認定してもイイんじゃない?
で、実行してしまった後。当然のことながら、テレーズとローランが思い描いたような愛に満ちた生活が待っているはずもない。罪悪感からテレーズは不安定になるわ、ローランは浮気するわ、ショックからかマダム・ラカンは脳溢血で倒れるわ、、、。でも、マダム・ラカンは倒れる前に、財産をテレーズとローランに相続させると遺言を書き換えてくれているし、介護は必要になったものの、立場的には圧倒的にテレーズ有利のはずなんだが、マダム・ラカンにカミーユ殺しがバレてしまい、、、。
この後のマダム・ラカンの執念が凄まじい。そりゃそうだよね、可愛い可愛い息子を殺されたんだから。自由の利かない身体と発語で、必死に事実を友人らに伝えようとするが、伝わらない。
……まあ、結果的に全部露見するんだけれども。そして、ローランは、テレーズと心中するんだよね。何だかんだ言っても、ローラン、根はそんなに悪人じゃなかったんだと思う。カミーユを殺した証拠はないのだから、いくらでも言い逃れできるわけで、本当の悪人ならば心中なんか選択しないだろう。
見終わって、割と良かったな、とは思ったのだけど、惜しいのは、あまりにもストーリーが予定調和で全く意外性がなかったことですね。別に、不倫の王道映画で良いのだけど、多少は、おぉ、、、とか思いたいわけですよ、見ている方としては。結末が予想はついても、過程を楽しみたいわけで。そういう意味で、惜しい。
トム・フェルトンの情けないカミーユが実に上手くて良かった。こんな男、誰が見ても願い下げ、、、と見ている者に思わせる演技は素晴らしい。エリザベス・オルセンとオスカー・アイザックの濡れ場は極めて健全。NHKのドラマ「大奥」の濡れ場の方がよっぽど激しかったよ。
でも、私が一番印象に残ったのは、マダム・ラカンを演じたジェシカ・ラングかな。息子を溺愛するイカレ母親っぷりがリアル過ぎて怖かった。倒れて後遺症で動けなくなった後は、顔の演技だけなんだが、さらに凄みが増して、こんな姑と一緒に生活するだけでホラーだわ、、、と思ってしまった。
ゾラの小説は『居酒屋』とか『ナナ』くらいしか読んだことないけど、『テレーズ・ラカン』も読んでみようかな。
なかなかの豪華キャストです。