作品情報⇒https://moviewalker.jp/mv84154/
以下、各案内からのコピペです。
=====ここから。
12回目を迎える「ポーランド映画祭」が11月24日から30日までの7日間、YEBISU GARDEN CIMEAで開催される。「戦場のピアニスト」4Kデジタルリマスター版のスペシャル・プレミア上映をはじめ、ポーランドを舞台にした傑作からポーランドの今を描いた意欲作まで全12作品が上映される。(「映画.com」より)
ロマン・ポランスキーの監督作「戦場のピアニスト」がワルシャワ・ゲットー蜂起から80年の今年、4Kデジタルリマスター版として12月1日に全国公開決定。(「Yahoo!ニュース」より)
日本では2003年に劇場公開され、第2次世界大戦終結から70年目の2015年にデジタルリマスター版でリバイバル公開。2023年には4K デジタルリマスター版でリバイバル公開。(「映画.com」より)
今回の4Kデジタルリマスター化に向けて、まず約4トンもの35mmネガがポーランドのファクトリーに送られて作業がおこなわれたとのこと。オリジナルのネガには粒子がかなり残っていたため、ポストプロダクションのスタッフは「粒子を除去する手順を全て開発した」とのことです。(「映画『戦場のピアニスト 4Kデジタルリマスター版』公式」Xより)
=====ここまで。
☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆゜'・:*:.。。.:*:・'☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆゜'・:*:.。。.:*:・'☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆
この映画については、過去2度書いているけれど、1度目は初めて見た後(BS録画したの)、2度目は初めてスクリーンで見た後(午前十時の映画祭で)で、どちらも何となく書きたいことを書けていないなぁ、、、と思っていたのでした。それは、私があまりにもこの映画の背景を知らな過ぎたこともあるし、衝撃度が大き過ぎて冷静に書けなかったこともある、、、。それに、1度目は、なぜか9コにしているのだが、今の私にとっては、もう迷いなく10コだし。
いずれにせよ、いつかもうちょっとマシな感想文を書きたいとずーっと思っていたので、今回、4K版がリバイバル上映されて、久々にスクリーンで見ることが出来たのを機に、きちんと本作と向き合ってみようと思った次第。
ポーランド映画祭でのプレミア上映では、上映後に久山宏一氏(ポーランド広報文化センター)の短いレクチャーが、また、公開後12月3日の初回上映後には、本作の主人公ウワディスワフ・シュピルマンのご子息クリストファー・W・A・スピルマンのトークがあり、どちらもとても興味深いお話(後述)を聞けて良かったです。
4Kデジタルリマスターとのこと、正直、ポ映画祭のプレミアではイマイチ画質が良くなったのかどうか分からなかった(!)のだけど、3日の上映では、画質もだけど、音がすごくクリアで迫力が増したのを感じました。本編前にリマスターについての簡単な経緯が字幕で紹介され、なかなかヘヴィな作業だった様子。最新技術に感謝。
◆本作にここまで惹かれる理由は何か。
正直なところ、ホロコースト映画でハッキリと「好き」と言える映画って、、、本作以外に思いつかない。割と好きなのは「あの日のように抱きしめて」とか「サラの鍵」とかあるし、衝撃を受けた「異端の鳥」も逸品だと思うのだが、これらの映画は、もうとにかく見たくて何を措いても劇場に行ってしまうという“衝動”が伴うことはない。劇場で見る機会があれば見に行くかもしれないが、都合がつかなければ行かないし、「見に行かない」という選択肢がある。でも、本作は、劇場で上映されているのに「見に行かない」という選択肢は、ない。ないのよ、絶対。
ちなみに、前述の3作品は、いずれも原作を買ったり、関連情報をネットで調べたりはしたけれど、今んとこ原作本はまだ積読状態。でも、本作の原作本は、購入してすぐに読んだし、パンフも古本サイトで購入したし、サントラも買った。ついでに言えば、この映画を見たから、ワルシャワに行ったのだ。
今回、数年ぶりにスクリーンで迫力ある音とともに大画面の映像を見たわけだが、やはり好きだなぁ、、、と悲惨極まりない映像を目にしながら改めてその思いを嚙みしめた。多分、スクリーンで見たのはこれで7回か8回目だろうが、ゼンゼン飽きないし、見慣れて感度が摩耗するということもゼンゼンない。むしろ、見るごとに胸に迫るものが大きくなってくる感さえある。
ホロコースト映画は星の数ほどあるけれど、その中で、どうして本作にだけこれほど惹かれたのか、、、は、自分でもけっこう謎で、いろいろ自分なりにずっと考えて来た。というわけで、本作の魅力と思う点を挙げてみた。
その1 時系列でストレートなシナリオ
ヘンに回想やら時系列組み換えやらを一切していない。どんどん悪化していくシュピルマンの置かれる状況が、第二次大戦の進行とともに時系列で淡々と描かれる。時系列組み換えどころか、回想シーンすら一つもない。見る者の心を動かすシナリオに、小細工はいらん、、、ということ。
その2 単純な善悪で語っていないこと
本作の特徴は、ユダヤ人警察の描写がかなりの幅を割いてされていることではないか。また、終盤シュピルマンを援助するドイツ軍将校についても、終戦後に捕らえられ、命乞いをするシーンを入れているなど、潔い英雄として描いていない。戦争という絶対悪な状況下で、善と悪など簡単に線引きできないこと、人間はそうそう単純なもんじゃないことを冷徹に描いている。
その3 主人公がカッコ良くないこと
シュピルマンは、家族が一緒に生き延びられるようにあれこれ尽力するものの、状況的にはほぼ無意味であり、結果的に家族は彼以外収容所送りとなるだけでなく、一人収容所送りを免れた彼自身、家族を救おうだとか、ゲットー蜂起で仲間と闘うだとか(武器を搬送する手伝いはするが)、正義感から闘うような行動には出ない。とにかく、今を生き延びることだけである。ハリウッド的に言えばまるでカッコ良くない主人公。でも、それこそが、徹底的に破壊されたワルシャワの廃墟で生き延びるという奇跡をリアルに描いているのである。
その4 ほぼ全編シュピルマンの視点でのみ描かれていること
その1にも通じるのだけど、本作は、ほぼ、シュピルマンが見聞きした以外のことが描かれていない。シュピルマン不在で物事が進行するシーンはほぼゼロである。ゲットー蜂起のときも、ワルシャワ蜂起のときも、その描写は彼の隠れ家の窓から見える風景とされている。独ソ戦などの歴史的な出来事は一切描かれていない。シュピルマンが砲撃の音を聞き、それについて、「ソ連軍が迫ってきている」とドイツ人将校が語るシーンがあるだけ。それなのに、いかに凄惨な状況だったかが、数多あるホロコースト映画よりも説得力を持って描かれている。
その5 あらゆる描写に容赦がないこと
凄惨なシーンが多々あるのだが、肝心の箇所だけ映さないとか、そういうのが一切ない。頭を問答無用で拳銃で撃ち抜いたり、車椅子の老人が車椅子ごとベランダから投げ落とされたり、餓死した死体が路上でゴロゴロ転がっていたり、処刑された血みどろの死体が壁際に並んでいたり、、、。処刑シーンも最後までバッチリ映す。下手すると、ホラー映画とかよりよほど酷い描写が多々あるけれど、あくまで淡々とした描写で、凄惨さの演出などは当然なく、それが却って怖ろしく目を逸らせない。ショッキングなのは、ユダヤ人警察が同胞に対してストレス解消の如く酷い暴力を加えるシーン。しかもいっぱいある。とにかく、容赦がない。そして、それをただただ見つめるシュピルマンなのである。
その6 役者の演技が素晴らしいこと
主演のブロディは言うに及ばず、ドイツ軍将校役のトーマス・クレッチマン、シュピルマン一家や彼を助けた人々を演じた俳優陣、エキストラの人々まで、とにかく一人としてマズい演技の人が出て来ないという奇跡みたいな映画である。これは、やはり監督の演出力でしょうな。
その7 映画として全く隙が無いこと!!
イロイロ挙げて来たけど、本作は、ホロコースト映画で歴史大作でもありながら、シナリオ的には伏線がちゃんと回収されていたり、ところどころユーモアも交えていたりと、エンタメとしても仕上がっており、音楽・美術・映像あらゆる要素が、これぞ“ザ・映画”。最初から最後のエンドロールに至るまで、全く隙が無い、おそるべき映画。
というわけで、いかにこの映画が素晴らしいかをダラダラ書いて来たのだが、異論はあるでしょうけど、受け付けませんっ!! だって、これは私にとっての最高の映画(の一つ)だからねっ。
◆久山氏とご子息のトークから
私は自分が死んだら、棺桶に入れてもらいたい映画がいくつかあるのだけど、そのうちの1本が本作。……と思っていたら、何と、監督のポランスキーも、「自身が死んだら、本作のフィルムを棺に入れて欲しい」と言っているってぇじゃあ~りませんか!! マジか?! ちょっと嬉しいかも、、、。
このエピソードは、ポ映画祭のプレミア上映での久山氏のレクチャーでお披露目されたもの。これを聞けただけで、久山氏のレクチャーを聞いて良かったわ~~、と感激。久山氏は、『COLD WAR あの歌、2つの心』公開前に映画についてのレクチャーを聞いたことがあり、そのときも興味深い話をしてくださった。今回、15分ほどの話だったけど内容は濃く、他にも印象的な言葉だったのが「この映画は、ごく普通の人間の目を通したホロコースト映画だが、シュピルマンはただの普通の人間ではなかった、彼はピアニストだった」といったもの(正確じゃないです)。
実は、私は最初に本作(BS録画したの)を見た際、本作が実話に基づいていることをゼンゼン知らずに見て、最後の最後に字幕で、シュピルマンとホーゼンフェルトについての記述を見て、衝撃を受けたのだった。こんなことってあるの??と。事実は小説よりも奇なりではないか、、、。
でも、ご子息のトークを聞いて、それもまた短絡的だったなぁ、と感じたのだった。というのも、シュピルマンは我が子にこの体験をほとんど話していなかったらしいのである。度々「悪夢を見た」と言うので、クリストファー少年は「お父さんは頭のオカシイ人」と思っていたとか。そして、本作の原作である『ある都市の死』については、戦後まもなく書かれた後、発禁処分になって長く埋もれていた、、、という風に言われており、wikiにもそのような記述があるが、クリストファー氏によれば「これは多分ウソだと思う」とのことで、これまたビックリさせられた。この原作本を、クリストファー氏の弟がリバイバルで上梓させようとして、そのような物語にしたのだと思う、、、と言っていた。むしろ、シュピルマン自身が辛い思い出が甦らないように封印した節があると。それくらい、この体験はシュピルマンにとって辛く重いものだったらしい。
……というエピソードも、完全な事実かどうかは分からないものの、そういう側面があるというのを知っておくのも大事かなと。
また、シュピルマン自身は、彼を演じたブロディとは容貌も体格も全然似ていないのに、ブロディのふとした表情や仕草が「すごく父に似ていると感じるシーンがある」と話していたのも、驚きだった。……そういうものなのか。ちなみに、父方の祖父母や叔父叔母たちとは「この映画で初めて会った」とおっしゃっていた。
本作の後半、一家の人々は、シュピルマン本人以外、誰一人全く出て来ない。それが何を意味するか、、、である。こういう映画の作りに、ポランスキーの並々ならぬ思いを感じる。
ちなみに、ポ映画祭では、本作のプレミア上映以外に、長年見たかった「バリエラ」を見たのだけど、うわさどおり、訳分からんシュールな映画であった。上映後にスコリモフスキ監督自身のトークがあり(通訳は久山氏)、何と全編即興だったと聞いて妙に納得したのだった、、、。それでああいう映画になったのね、と。
映画『戦場のピアニスト 4Kデジタルリマスター版』は、全国でしばらくの間、公開されている模様なので、未見の方は、劇場まで是非!! こういうことを言うのは主義に反するのだが、敢えて言ってしまうぞ。
この映画は、一度は見ないと損です!!
父親の過去を知らないクリストファー少年が、「お父さんは頭のおかしい人」と思ったのも、仕方がありませんね。戦争から生き延びて、家族ができても、あの時の魂は死んだようなもの。分かり合えない(決して伝えられない)深い断裂が、家族の間にも生じてしまう絶望や悲しみ。でもこの映画のお陰で、父方の祖父母や叔父叔母たちに会えたエピソードには、目が潤んでしまいました。何かが救われたと思いたいのです。
クリストファーさんは、日本の大学で教鞭をとっていらしただけあって、流暢な日本語でお話上手、おまけにサービス精神旺盛で、時間押せ押せでした(^^♪
でも、お話の内容は胸に迫るものが多く、短い時間でしたが意義深かったです。
本当に聞けて良かった☆
母方の親戚は普通に交流があり、父方とは全く、、、でも、当時のポーランドではそういうことは珍しくなかったので、あまり不思議に思わなかったとか。
ただ、たまたまお父さんの書いた本を屋根裏部屋で見つけて、それを読んで以降、色々と目を開かされて行った、、、ということでした。
ご自身にユダヤの血が流れていることもその時初めて知ったと。
お父さんはユダヤ教に対する信仰はほぼなく、彼の信仰は「音楽」。音楽をBGMで聴くなんて許されなかったとか、、、(*_*)
映画を通じて初めて父方の祖父祖母・叔父叔母たちに会ったという話とともに、ブロディがお父さんにどこか似ているという話をされたクリストファーさんは嬉しそうだったのが、すごく印象に残っています。
ポーランドではお父さんが有名で、シュピルマンの名前から逃れたくて国を出たのに、何十年かして日本でまでその名が知られるようになって驚いている、とも。
人生、何があるか分からないものです。
ノクターン、良い曲ですね。amoreさん、弾けるなんて素晴らしい!
是非また、本作、ご覧になってくださいましっ♪
こちらです。
動画、教えていただきありがとうございました!
1時間以上あるので、まだ最初の10分くらいしか見ていませんが、この方は、クリストファーさんではなく、弟のアンジェイさんですね。
最初に動画を見たとき、トークショーで見た紳士と大分外見が違うので、ハレ、、??と思ったのですが、インタビュアーの方の紹介をよく聞いたらアンジェイと言っていました。
アンジェイさんは原作本『ある都市の死』(邦題「戦場のピアニスト」(2000年版))で「序」を書いています。
(この原作本は改訂されて昨年発売されましたが、そちらではアンジェイさんの「序」はカットされている様です)
その中で、この本が、長らく政府により発禁処分になったと思わせる記述があり、wikiにもそのような記述があるのですが、記事にも書いた通り、クリストファーさんはこれを「多分ウソ」と否定していました。
……といっても、非難するような言い方ではなく、アンジェイさんのプロデュース戦術だろうと、エピソードの一つとして話していた感じでした。
動画のインタビューでも、アンジェイさんは音楽プロデューサーとして結構ご活躍だったみたいなことお話されていますね。
ちなみに、クリストファーさんのトークショーの様子は
https://www.cinema-factory.jp/2023/12/03/38316/
に画像入りで書かれています。上記のエピソードはバッサリ削られていますけど(^^;
ワンちゃん、確かに大人しいですね、、、(*^-^*)可愛い。
動画、全編英語なので、全部見るのに時間かかりそうですが、ボチボチ見て行きたいと思います。
でもこの間違いのお陰で?弟さんから見た父親像や、本の出版や映画化に至る経緯を知ることができました。やり手のアンジェイ氏ですから、お兄さんが言うように、弟さんなりの戦術があったんでしょうね。
この映画を観るたびに、ドイツ占領下のモデナで、姑(現在96歳)の弟でパン屋を営んでいた彼が、ある日突然行方不明(拘束→逮捕→ドイツの収容所送り)になり、終戦後ふらっと帰ってきた(その後まもなく心臓病で急死)エピソードを思い出します。
パン職人だったので強制収容所では、衣食住など全てにおいて優遇されたようですが、当時のことには触れなかったそうなので、口にすらしたくない忌まわしい記憶なのだと、彼を思い遣って、まわりも根掘り葉掘り聞かなかったそうです。20年前に亡くなった舅は、ノンポリを反逆者とみなされ、投獄→島流しにされそうになったと。映画の中の出来事が、ここでは日常的に起きていたことに戦慄します。あまりにも私は知らなさすぎるし、能天気に生きているなと。
そんなこんなで、映画の原作とともにクリストファー氏の『シュピルマンの時計』も読んでみます。私の勘違いでお騒がせしてすみませんでした。よく見ろや~!!!ですよね。滝汗
アンジェイさん、すごいマルチですよね。
喋り方もかなりマイペースな感じが出ていて、ご活躍も納得であります。
クリストファーさんは、お父さんがポーランドでは有名人過ぎて名前が重荷に感じたので外国へ出た、みたいなことを話されていました。
それで、極東まで来たのに、思いもかけず、ここでもまたお父さんが有名になったと(^^;
『シュピルマンの時計』は私も未読なので、読みたいと思っています。
やはり、欧州ではamoreさんのご親族のようなお話は身近なんでしょうね。
クリストファーさんも、「お父さんの親族が一人もいないことに疑問を持たなかった。当時はそういう人は珍しくなかったから」と言っていたのを思い出しました。
ノンポリで反逆者ですか、、、。
だったら私なんか非国民だわ(*_*)
動画の続き、見よっと♪