高校生で同じクラスの丘谷由夫(篠田三郎)と宇野洋子(関根恵子)は、下校時に一緒にカレーを食べに行ったり、映画を見に行く約束をしたりするプラトニックな仲。
由夫は優秀で、父親は警察官の公務員家庭だが、兄が左翼運動に傾倒し大学を中退したことで、家の中は荒れているらしい。洋子は宇野建設の“社長令嬢”(死語?)で、父親(加藤武)はいかにも成り上がり者、母親は「ざあます」おばさま、兄に至っては何者か分からないけど鼻持ちならない嫌味男と、典型的成金家庭。
ある日、由夫の兄が父親と揉めて、はずみで父親を刺し殺してしまう。そのショックで母親も数日後に病死する。これで由夫の運命は一変、高校を辞めて、兄の裁判費用を稼ぐために父親の地元で(?)働くことに。が、由夫と離れたくない洋子が着いてきてしまう。帰るように諭す由夫だが、洋子は聞かない。
ここから2人の“清い”共同生活が始まるが、、、。
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……篠田三郎の若い頃の作品が見たかっただけです、ハイ。
◆タロウ=篠田三郎
今年は、ウルトラマンシリーズ放映開始50周年だそうで。7月ごろに、NHKのBSで3時間の特番やってまして、そこで、「あなたが選んだウルトラマン・シリーズ」という、ファンが選んだベスト10作品を毎週1本ずつ放映するということが発表されました。
そのうちの1本が、タロウの第34話「ウルトラ6兄弟最後の日!」だったんですが、私、タロウをリアルタイムでか再放送でか覚えていませんがよく見ていて、それは、なんつっても篠田三郎が好きだったからであります。今回の企画は、懐かしかったんで10本全部録画しましたが、タロウ版だけ何度も見てしまいました(残りの9本は録画したけどまだ見ていない)。
ううむ、やっぱし、篠田三郎、カッコイイ。というより、好青年ですね。73年放映だそうなので、当時25歳くらいですが、だいぶ若く見えます。屈託のない、笑顔のさわやかなお兄さん! という感じ。ま、幼かった私はそこにイカレてたわけですが。
タロウの設定では、篠田三郎演じる東光太郎はどこか知り合いの家に下宿していることになっていて、普通の家の部屋で下宿先の家族とワイワイやっているシーンとかも結構あったんですよ。そういうシーンを見ては「いいなぁ、、、あんなカッコエエお兄さんが家にもいてくれたらなぁ、、、」とマジメに思っていたのが懐かしい、、、。
今見たら、光太郎は24時間、赤と青の隊服を着ているわけですが、あんなの着ている男が家の中をうろついてたらウザすぎ、、、と思っちゃいました。ああ、そんな自分が哀しい。
で、そんな爽やか三郎を見ていたら、若かりし日の映画が見たくなり、『高校生ブルース』と本作とどっちか迷ったんですが、とりあえず本作から見てみました。
◆死ぬ必要ないでしょ! と言いたい。
オハナシとしては、ちょっと??な部分も多くて、イマイチですが、まあ、当時左前だった大映ではありますが、いかにも大映な作品という感じですかねぇ。結構堪能できます。
頭は良くて優等生だが家に問題がある青年と、成金のお嬢という、問題の多いカップル。あれがあり、これがありしながら、2人は気持ちを通わせていくけれど、回りの大人たちは、み~んな敵。ああ、もう私たち、世界に2人きり! 離れない!
とまあ、ここまでの展開は、まだ分かる。分からないのは、直前まで洋子に「一緒に生きよう」と熱く語っていた由夫が、数分後に、いきなり「一緒に死のう」と言っていること。、、、え゛、何で? 死ぬ必要ある? と、かなりムリな展開に。
洋子を演じる関根恵子の拙いオーバーアクションが、まあ、可愛くもあるけど、途中からはウンザリしてきて見ていられない、、、。そこへ行くと、篠田三郎は、なかなかの達者ぶりです。
ついに結ばれるシーンは、まあまあキレイだし、真面目に撮っていると思います。
見どころとしては、関根恵子の弾ける若さと、若い2人の短絡的な恋路の行方、、、ですかね。タイトルからしてネタバレなんで、2人の先行きが分かっちゃうってのがちょっとね。実際、心中しちゃうシーンは描かれていませんけれど。
死に向かう2人の「あそこのカレー、ホント辛かったわ!」「ホント、辛かったなぁ!」とか、由夫が雪を掬って洋子に食べさせるシーンとか、すごく明るいのですね。そこはちょっと切なさを覚えます。そのまま、心中なんかやめて、どこかで一緒にお暮しよ、と言いたいなぁ、オバサンとしては。
◆今はなき“尊属殺”
由夫の兄が実父を殺してしまったことで、尊属殺人となり、兄は死刑を宣告されます。尊属殺が廃止されたのは、この後なんですねぇ。
親殺しは、普通の殺人より罪が重いなんて、、、。昨今の世の中を見ていると、尊属殺が憲法違反ってのは、誰もが納得するところかも知れません。
まあ、本作での由夫の父は、殺されても仕方ないという親ではありませんし、明らかに兄に非があります。そもそも、殺されても仕方がない親、という定義もいかがなものかと思いますし、殺されても仕方がない人、なんて、軽々に判断できるものじゃ当然ありません。
でも、尊属殺が違憲と最高裁で判断されることになった殺人事件の経緯を知ると、その事件の被害者である父親は、まさに“殺されても仕方がない親”と認定されるのも無理からぬ所業で、どんなホラー小説や映画より、よほどおぞましい事件です。こんな犠牲を払う人が出なければ、理不尽な罪が見直されることがなかったというのもまた、恐ろしいことです。
本作とは直接関係ないけど、ちょっと思い出してしまったので。
ウルトラシリーズのOP曲で一番好きなのもタロウ
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