森を抜ける馬車が道を踏み外し転覆、乗っていたホフマン卿(サム・ニール)と臨月の妻は雪深い森に投げ出される。軽傷だったホフマン卿だが、妻は深手を負っており胸から血が流れ出ている。「お腹の子だけは助けて」と妻にナイフを渡されるホフマン卿。そして、雪上に流れる真っ赤な血の川。
そうして生まれたリリーは、お転婆わがまま娘に育っていたが、ある日、父のホフマン卿が再婚を決めたことからヘソを曲げる。やって来た父の再婚相手クラウディア(シガニー・ウィーバー)は美しいが、リリーにとってはイケスカナイ女でしかなかった。クラウディアはリリーに可愛い子犬をプレゼントしてくれたが、リリーは子犬は可愛がっても、クラウディアには冷たい態度をとり続けた。
それから9年後、リリー(モニカ・キーナ)は美しく成長して、クラウディアも待望の赤ちゃんを身ごもっていた。もうすぐ生まれそうというある日、リリーはクラウディアが勧めたドレスを無視して、亡き母のドレスを身に着けパーティーに出る。そんなリリーの姿を見て、亡き妻に「そっくりだ」と目を細めるホフマン卿。その様子を見たクラウディアは嫉妬に狂い、急に産気づく。難産の末に生まれたのは、待ちに待った男の子ではあったが、哀しいかな死産であった。
それを機に、クラウディアは豹変し、リリーに敵愾心を剥き出しにするようになるのだが、、、。
もとは、アメリカのTV映画。シガニー姐さん、やっぱしここでも怖い系。
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公開時に劇場までわざわざ見に行ったのに、ほとんど内容を覚えていなかったので、もう一度見てみたいと思っておりました。再見してみて分かりました、なぜ覚えていなかったのか。それは、見たことを忘れたくなるおバカ映画だったからです、、、多分。
◆根性悪な白雪姫
言うまでもなく、グリム童話でいうところの、白雪姫=リリー、魔女=クラウディア、です。で、やっぱり本作も主役はリリーではなく、クラウディア。
ただし、本作の白雪姫は、かなりの根性悪です。継母となるクラウディアに最初からもの凄く意地クソ悪く接し、9年経っても変わっていない。クラウディアはむしろ、最初はリリーに心を開こうとしているし、母と娘になろうという気持ちがうかがえるのです。なので、ゼンゼン、白雪姫というかリリーを可愛いとも可哀想とも思えず、むしろクラウディアの方がよっぽど可哀想。リリーのせいで流産までして、挙句、子どもを二度と産めなくなるのですからねぇ、、、。
さすがに、クラウディアがそんな目に遭って良心が咎めたのか、根性悪リリーがクラウディアに涙ながらに謝罪します。こういうところがイヤらしいよねぇ。嫌い抜いていた相手が惨めな境遇に陥ると、急に憐みを示すというのは、なんという上から目線の傲慢女。圧倒的に有利な立場になって、心に余裕ができたわけね。サイテーな女だ。
案の定、この行為がクラウディアの怒りに火を着けることに、、、。当たり前だわね。
◆シガニー姐さんは魔女なんかじゃなくて、ただの殺人鬼
とまあ、ここら辺までは、まあ、なんとか見るに堪える。美術も衣装もなかなか。TV映画にしては結構お金かけてるんじゃないの? と思われる豪華さ。グリム童話がそもそも持っているダークさもよく出ているし、雰囲気はかなりgoo!! ……なのに、、、嗚呼。
クラウディアが狂うのがいきなり過ぎといいますか、唐突すぎといいますか。リリーの心臓を所望する、その動機付けがね、、、弱いんですよ、もの凄く。
多分、リリーに謝罪されたことが引き金だということなんだろうけど、だったら、もっとそう分かるように描かねば。見ている方は、「え゛、、、いきなりそこへ飛ぶのか!?」と置いてけぼり感いっぱい。
そこから先は、坂道を転げ落ちるようにクラウディアが殺人鬼と変貌していくのですが、もうね、、、申し訳ないけど、シガニー・ウィーバーが勝手に楽しんで殺人鬼演じているだけで、見ている方はポカ~~ン、なわけですよ。
屋敷中の人間を毒殺するわ、夫も縛り上げて逆さづりにするわ、リリーの許嫁も窓から突き落として殺すわ(しかも殺す前には誘惑してディープキスまでしている)、、、閉口。ここまでくると、魔女の妖しさなんてまるでなく、ただの頭の狂った殺人オバサンです。
唯一見るべき所といえば、クラウディアの魔法の鏡との対話ですかねぇ。原作では、魔女に美しいとお墨付きを与えるだけの鏡でしたが、本作では、もう一人のクラウディアという描かれ方をしています。まあこれは分かるというか、鏡の言っていることがクラウディアの深層心理なわけだわね、多分。
だから、終盤、リリーに鏡にナイフを突き立てられたことで、クラウディアは滅びる、、、という筋立てです。
もう、中盤から以降は、見ているのが精神的にキツい、、、。おバカ映画は数あれど、こういう、雰囲気を気取った一見ホンモノ感を漂わせたおバカ映画はねぇ、マジでツラい。イタい映画。世間で言う美魔女とかに感じるイタさに似ているかも、、、。
こういう展開にするのなら、最初から、ちゃんとおバカ映画と割り切って作っていただきたいですねぇ。
◆その他もろもろ
シガニー姐さんは、本当に楽しそうでした。こういう役、確かに演じたら面白そうですよねぇ。リアルな世界では、こんな振る舞い、絶対にできないわけですから。役の上でなら何でもアリよねぇ。
サム・ニールは、まるで存在感ナシ。この方も、こういうB級作品にシレ~ッと出演していらっしゃいますよね。楽しいのかな、やはり。
リリーを演じたモニカ・キーナちゃんは、可愛いけれども、私的には、白雪姫は可愛い系より美人系が理想。なので、イマイチ。
意外なところで、7人の小人ならぬ、7人の鉱夫(?)のリーダー格の男ウィルをギル・ベローズが演じていたことかな。彼は、『アリー・myラブ』でアリーの初恋の人ビリーを演じていたのよね。アリーとほぼ同時期ですね、本作は。
、、、というか、7人の鉱夫も、なぜかウィルだけイケメンで(その他は1人が本当の小人で、後は皆、薄汚い恰好をしたおじさん)、ウィルとリリーはキスする仲になるという、何ともヘンテコリンな展開もあります。もう、、、ようわからんですな。
まともなスノーホワイトの実写映画が見たい。
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