作品情報⇒第一部 太陽旗https://moviewalker.jp/mv50313/
第二部 虹の橋https://moviewalker.jp/mv50314/
以下、上記リンクよりあらすじのコピペです。
=====ここから。
《第一部》台湾中部の山岳地帯で暮らす狩猟民族のセデック族は、自然と共存する一方、戦った相手の首を狩るという風習を持っていた。1895年に日清戦争で清が敗れると、台湾に日本軍が押し寄せ、彼らは独自の風習や文化を捨て、日本人として生きる事を余儀なくされる。それから35年、日本人警官との衝突を機に、彼らは武装蜂起を決意する。
《第二部》セデック族が連合運動会が行われていた霧社公学校を襲撃した。突然の出来事に多くの日本人が命を落とし、日本政府はすぐさま鎮圧にかかる。セデックの人々と友好関係を築いていた警察官の小島は妻子を殺されて激怒する。一方、優秀な成績で学校を卒業し、日本名を与えられたセデック出身の花岡一郎と二郎は両者の間で葛藤する事に。
=====ここまで。
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最近、胃腸の調子がイマイチで、かかりつけ医に薬出してもらってのんでいるのですが、かれこれ1か月以上も続いていて、先日足してもらった薬がここに来てちょっと効いているみたいです。早く治して、好きなものを躊躇なく食べられるようになりた~い! ……というのも、もうすぐ台湾に行く予定だからです。弾丸ツアーですけど、、、。美味しいものがいっぱいある台湾に行くのに、胃腸が、、、とか言ってられない。
というわけで、行く前に泥縄予習中でして、その一環として本作を見ました。大東和重著『台湾の歴史と文化 六つの時代が織りなす「美麗島」』(中央公論新社)という本を読んだら、その中で本作のことが書かれており、TSUTAYAにあったのでDVDを借りて見てみました。
……想像以上にエグい事件で、ちょっと見た後落ち込みました。
◆霧社事件
本作のベースとなっているのは、霧社事件(むしゃじけん)という、日本が台湾を統治していた1930年(昭和5年)に実際にあった事件。先住民族であるセデック族が起こした抗日反乱事件で、前述の書籍にも簡単な概略の説明があったので、かなり凄惨な事件だということは知った上で見たのだけど、想像以上で愕然とした。
一部・二部と合わせて4時間半くらいあり、もちろん、一気に見たわけではない(精神的に一気に見るのはキツ過ぎる)。内容は上記あらすじのとおりで、霧社事件の複雑さがよく分かるように作られていた。
台湾は親日だとか耳にすることもあるが、本作などを見れば、それはもの凄く一面的であることが改めてよく分かる。どこの国の民が、よそから来た者たちに統治されて喜ぶだろうか。そんなことは少し考えれば分かることである。ましてや、セデック族は、首狩りの風習があることから“野蛮だ”と決めつけられて、台湾人以上に差別されたというから、このような蜂起が起きるのも道理というもの。
首謀者とされるモーナ・ルダオは、族の中のある部落の長で、部落の者たちが耐えかねて日本に対する蜂起を訴えても「放棄した後殲滅されてもいいのか?」と言って皆を鎮めていたのだが、ある日、部落で行われていた結婚式の場で、日本人の警察官とトラブルが起き、暴動の一歩手前の状態になってしまったことを機に、日本の報復を恐れて「ここに至っては、もう蜂起するしかない」となる。
事件の始まりの描写は凄惨そのもので、日本人たちの運動会が行われている場に、ルダオ率いる族の一団がなだれ込み、日本人を片っ端から容赦なく斬殺していく。女も子どもも容赦ない。いきなり首を刎ねてしまうシーンもあり、グロさはなかなかのものだった。
第一部は蜂起が一段落し、ルダオがこの後のことを思い天を仰ぐシーンで終わる。
◆死を覚悟の蜂起ではあったが、、、
第二部は、日本による徹底掃討作戦が描かれるが、セデック族の奮闘ぶりが凄まじく、映画なのでデフォルメがあるだろうが、あの身体能力に、日本の軍隊がかなうはずはないだろうな、、、と見ていて思った。
族にしてみれば、日常の生活圏であるジャングルを縦横無尽に裸足で自在に駆け回り飛び回る。一方の日本軍は、けものみちを辛うじてよたよた進むのが精いっぱい。当然、樹上から矢や銃弾の嵐を浴びて、部隊は全滅する。また、峡谷にかかる吊り橋を、日本軍が渡ってこられないように落とすシーンがあるが、その力強さに圧倒される。
業を煮やした日本軍は毒ガスを使用するなどして、最終的には制圧するものの、日本人や軍の損失も甚大なものとなった。
首謀者ルダオは、部落民らに「あとは好きにしろ」と言い残して、自らは姿を消してしまう。まあ、捕まれば拷問・虐殺だろうから、尊厳ある最期を、、、ということだったのか。どのような最期だったのか明確な描写ないが、自決したのだと思われる。遺体も、死後かなり経ってから見つかっているらしい。
ルダオ以外の戦闘で生き残った者たちの多くは、自決して果てて行く様が執拗に描かれる。逃亡の途中で女性たちが一斉に首を吊るシーンは、ちょっと見ていられなかった。その場所に、戦闘後の男たちもやって来て首を括る、、、とか、もう言葉もない状況。
本作は、台湾制作で(日本人俳優も結構出演している)あり、日本人の描写に容赦ないが、これが実態だったのだろう。
こういう映画を見るまでもないが、いかに、他国を力で押さえつけることが理不尽で命の無駄遣いであるか、無力感に襲われるばかり。これも歴史の一幕に過ぎないと言えばそれまでだけど、前述の書籍を読むまで私はこの事件のことを知らなかったので、台湾に行く前に知って良かったと、つくづく思った次第。
セデック族の入れ墨(成人の証)の模様が印象的。
台湾が植民地時代の件があるにもかかわらず親日的なのは戦後に中国本土から来た国民党が日本軍以上にひどかったから、と聞きます。
その際、本土から来た人たちの子孫と元々台湾にいた人たちとの間には今でも特に中国との関係で考え方に違いがあるし、セデック族のような原住民族に対しても偏見があったり、小さな島でも複雑なんですよね。
でも旅行で行く分にはとても気持ちのいい所ですからご心配なく。
台湾関連の映画なら「KANO」と「海角七号」がおすすめです。
本当に複雑でした。いろんな思惑が重なって、皺寄せは末端に行くのですよね。
国民党が日本軍以上に酷かった、、、というのは、先日「悲情城市」を再見したのですが、ホントに酷かったです。
最近、岩波から上梓されたマンガ「台湾の少年」を読んでいるのですが、そこでも酷さが克明に描かれていて、読むとどよーんとなります。
まあ、でも本作で描かれている日本人を見ると、やっぱり、日本も人のことを言えた義理ではないな、、、と思いました。
「KANO」評判良いですよね。「海角七号」は初めて知りました。
どちらも未見なので、見てみます。
行く前に間に合わなさそうですが、、、(^^;