映画 ご(誤)鑑賞日記

映画は楽し♪ 何をどう見ようと見る人の自由だ! 愛あるご鑑賞日記です。

リトル・ジョー(2019年)

2020-08-23 | 【り】

作品情報⇒https://movie.walkerplus.com/mv71141/

 

以下、上記リンクよりあらすじのコピペです。

=====ここから。

 バイオ企業で新種の植物開発に取り組むシングルマザーのアリス(エミリー・ビーチャム)は、ある日、特殊な効果を持つ美しい真紅の花の開発に成功する。その花は、ある一定の条件-必ず暖かい場所で育てること、毎日欠かさず水をあげること、そして何よりも愛すること-を守ることで、持ち主に幸福感をもたらすという。

 そんななか、アリスは会社の規定を犯し、息子のジョー(キット・コナー)への贈り物として花を一鉢自宅に持ち帰る。だが“リトル・ジョー”と命名したその花が成長するにつれ、ジョーが奇妙な行動をとり始めるのだった。

 一方、アリスの同僚ベラ(ケリー・フォックス)は、愛犬ベロが一晩リトル・ジョーの温室に閉じ込められて以来、様子がおかしいと確信。その原因が花の花粉にあるのではないかと疑念を抱く。

 そして、アリスの助手クリス(ベン・ウィショー)もリトル・ジョーの花粉を吸い込み、いつもとは違う様子を見せ始めていた……。

=====ここまで。


☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆゜'・:*:.。。.:*:・'☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆゜'・:*:.。。.:*:・'☆゜'・:*:.。。.:*:・'゜☆


 連日の酷暑で、もうヘロヘロ。おまけにマスク、、、。ほとんどゴーモンに近いけれど、電車の中や映画館内では、やはりマスクを着けないといけないし。屋外で人通りがほとんどない自宅から最寄り駅近くまではマスクしませんけどね。連日、感染者ウン百人とか聞いていると、なんだかもうコロナなんかどーでもええわ、って気分になってくる。それより、熱中症での死者数の方が多いくらいなんだもん。

 で、そんな地獄のような夏も後半に入り、ツクツクの声を聞きながら毎日仕事に行くのもイヤなんで(?)、最近はほとんど週一ペースで休んで劇場へ脚を運んでいる次第。あ゛~~、早く秋ちゃん来ておくれ。


◆あら、、、? 何か変わった??

 本作はボタニカル・スリラーと言われているんだが、それは、このリトル・ジョーと名付けられた花が花粉を飛ばして人間を支配しようとする、、、という設定になっているからだろう。でも、支配すると言っても、人が幸福感を得られるようにして支配していく、、、ってのがミソ。

 人に幸せをもたらす、、、、この“幸せ”ってのがヒジョーにクセモノ。

 ジョーは母親アリスとの2人暮らしが良いと思っていたし、アリスもジョーとの暮らしが良いと思っていた。少なくとも、アリスはジョーと2人でいろんなことを語らいながら楽しく暮らすことが、自分にとっての幸せだと思って疑っていなかった。けれども、リトル・ジョーがもたらした幸せは、自分が思い描いていた幸せとは全然違うものだった。ジョーは、離れて暮らしていた父親と暮らしたいと思うようになり、アリスもジョーの気持ちを尊重したいと思うようになり、ジョーもアリスも父親もメデタシメデタシ、、、?

 花(というか花粉)に接する前とは、正反対の結果が、アリスとジョーのそれぞれの幸せであった、、、、ということだ。

 結果的には、みんながそれぞれちょっとずつ変化することで、みんなハッピー♪なんだから、これはこれでまぁ良いんじゃないの? 欲望が満たされること=幸せ、じゃないんだからさ~、、、、、ボタニカル・スリラーなんかじゃなくファンタジーじゃない?? などと、鑑賞直後は思った。

 でも、よくよく考えてみたら、これはかなりヤバい話だなぁと。

 アリスよりも、ジョーが先に花粉を浴びてしまうことで、アリスの目にはジョーがそれまでのジョーと違っているように感じる。けれども、アリスも花粉を浴びると、そのジョーに対する違和感が消え、アリス自身もそれまでのアリスとはちょっと違うように、本作を見ている者には感じられるのだ。

 つまり、自分の親しんでいる人やモノが、“なんかちょっと変わったかも……?”という「違和感」は、実はもの凄く重要なものではないか。

 リトル・ジョーを独裁者に置き換えて“体制の変化”に当てはめて考えると分かりやすい。何か最近ヘンだ、、、という感じがしばらく続いていくうちに、その違和感に慣れて行き、いつしかそれが普通になる。リトル・ジョーの放つ花粉を、支配者の繰り出す言説に置き換えると、確かにこれはボタニカル・スリラーだ。“幸せ”になるからこそ、余計に、違和感はなかったことにされてしまう。ヘンだと思ったけど、結果、幸せなんだからイイじゃん、、、と。本当にイイのか? その先に落とし穴があるんじゃないのか??


◆フェミ要素はいらん。

 最初に花粉の影響を受けるのが“犬”ってのがスリラーっぽい。あの『遊星からの物体X』を思い出しちゃったわ~。だから、本作ももっとグロくてエゲツナイ方向に話が進むのかと身構えていたら、全く違った、、、。

 本作の評や、監督のインタビュー等を読むと、アリスがワーカホリック気味のシングルマザーであることが、本作の重要な背景であるとされている。アリスは、潜在的にジョーに寂しい思いをさせているという“負い目”があった。それが、リトル・ジョーを介して顕在化したのだ、と。ジョーが父親と暮らすことで、アリスは仕事に集中できるようになる、、、それがアリスの本当の幸せだったのだ、、、と。
  
 こう言っちゃナンだが、そういうフェミ的な解釈は正直言ってウザいなー、と感じてしまった。イマドキ“働くシングル・マザー”の“負い目”なんぞを持ち出してくるなんて、案外この監督、保守的なのかな。

 両親が揃っていたって、寂しい子どもはいっぱいいるし、寂しい思いをしている子どもが漏れなく不幸なわけではない。親が、自分を最優先にして何かを犠牲にしていると感じるのも、子どもにとってはかなりの負担でしょ。子どもは成長するから、親が一生懸命生きる姿を理解できる時は必ず来るわけで。子どもにとっての真の幸・不幸なんて、親や周囲の大人が安易に判断できるほど単純な話じゃないだろう、、、と思うんだけどね。


◆その他もろもろ

 アリスを演じたエミリー・ビーチャムは、本作でカンヌの主演女優賞を獲っているらしい。独特の髪型は、もちろん演出なんだろうが、ちょっと古い70年代を思わせる感じ。デリバリーばかり利用していて、やたら、料理が出来ない母親の描写が強調されていた。このアリスのキャラ造形も、ちょっと類型的だよね。最初の食事のシーンで出てくるのは寿司で、寿司の入っていた紙袋に「活」の漢字が見えていたが、色合いがどうも中華風なところが何となく可笑しかった。

 ベン・ウィショーのクリスは、やはり独特。イマイチ何考えているのか分からない。

 リトル・ジョーという名の花が、何とも不気味。意思を持って花を開いたり閉じたりして、花粉も飛ばす。この花には話し掛けることが大事なんだが、リトル・ジョーじゃなくても、植物は話し掛けると良いらしい。毎日誉めながら水やりをした花と、毎日貶しながら水やりをした花では、全然花の咲き方が違うとか、翌年の花の付き方が違うとか、そんな話を聞く。まぁ、実際はどうなのか知らんが、私は、生花の定期宅配を6年以上続けているんだけど、萎れた花を棄てるときは「ありがとね~」と言って棄てている。これは花に対してどうこうというより、私の気持ちの問題なんだが、、、。

 あと、本作は、映像と音楽がかなり個性的だった。オープニングの映像など、あまり他の映画で見たことがない。音楽は、雅楽が使用されていて、効果音として耳障りな音も多用されている。この雅楽は、スリラー効果を狙ったモノだと思うけれど、欧米の方々にはともかく、日本人の私には何か絵面とBGMが全然合っていないようにしか見えず、ヘンテコな感じだった。監督の何人目かの夫が日本人(故人)で、その方のアルバムから使用しているらしい。

 まぁ、見に行く前の期待感と、見終わった後の実感で言うと、ちょっと良くない方に裏切られた感じがしたので、の数は少なめです。

 

 

 

 

 

 

いわゆる“ボディ・スナッチャーもの”です。

 

 


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5 コメント

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リヒテンシュタインに行きたい (松たけ子)
2020-08-24 00:53:25
すねこすりさん、こんばんは!
おお!この映画も前から楽しみにしてる作品!レビュウありがとうございます(^^♪
何だか奇妙な感じの映画みたい?でも難解なワケワカメ映画ではないんですよね?猛暑で傷んだ脳みそに、わけのわからん映画とつまんない映画はキツいですよね~。
ベン・ウィショーが好きです(^^♪今回はゲイ役じゃないみたいですね。残念(笑)!ベン子さんといえば、007のQちゃん。コロナで公開延期になってしまった007、今度こそ無事に公開されますやうに。
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コロナ、どっか行け~! (すねこすり)
2020-08-24 21:11:38
たけ子さん、こんばんは☆
ようやく見に行きました(^^;)
ワカメちゃんではないですが、ちょっとフシギちゃんですかね。
あれどーゆーこと?? みたいなのがちょこちょこあります。
ベン子さんも、フシギちゃんを体現しているようなキャラです。
……いやホントに、この異常な暑さの中、小難しい映画とかとてもじゃないけど見てられません。
映画もコロナの影響、色々受けていますね。早く終息してくりぃ~。
たけ子さんは、これから何をご覧になる予定ですか?
私は、とりあえず、「赤い闇~」を見て寒いのと怖ろしいので震えてこようかなと思っております。まだ、ロシアかぶれが残っているので!(^^)!
ユペりんの新作も見たいのだけど、、、。
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Unknown (フキン)
2020-08-25 20:19:11
すねこすりさん、こんばんは❣️
私もこの作品みたかったんですけど結局別の作品を見てしまいました。苦笑
でもこちらのレビューを拝見してなんとなく雰囲気は分かりました。ありがとうございます^ - ^

私自身は、草花と相性が悪いみたいで端を育てるのがうまくいかないタイプの女です。
だけど2年前に買ったハイビスカスが今年もたくさん咲きましたが枝ぶりはガリガリで花なんかつけそうにないのに毎日気にして話しながら水あげたりしてるんですが、細い枝ぶりなのに花をいっぱいつけるんですよね。可愛がられてるのわかるんでしょうかね…笑
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Unknown (フキン)
2020-08-25 20:24:50
端=花

それにしてもほんと、コロナなんてもうどうでもよくなってきたような気がします…苦笑
テレビや新聞で毎日コロナの数字を上げられても、もうピンとも来なくなって、ああ、そうですか!みたいな気持ちですわ。
いろいろ我慢するのもなんだか無駄な気にもなりますよね。
でも一応、気を付けてますが。
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火の手水の手 (すねこすり)
2020-08-25 21:56:22
フキンさん、こんばんは!
公開当初から見たいなー、と思いつつ、タイミングやら気分やらが合わずに、ようやく見に行きました。
雰囲気は悪くないです。
私も、観葉植物ダメにしちゃうんですよね、、、。多肉植物なんて誰でも簡単と言われているのに、ダメにしちゃいました。
ハイビスカス! すごいじゃないですか、フキンさん! 可愛がられているの、絶対分かってますね、それは。動物も植物も同じなんだなー。
私、年越し成功した植物、ホントにないです。トホホ。
コロナめーーー、ウザいぞ、おめー。……とか罵っていたらどっか行ってくれますかね?
可愛がっていないのに、どうしてこんなに蔓延してるんでしょ、コロナちゃん。
フキンさんもお気を付けくださいね。
あ゛ー、旅に出たいぃ~~~(-_-)
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