作品情報⇒https://moviewalker.jp/mv72778/
以下、上記サイトよりあらすじのコピペです(青字は筆者加筆)。
=====ここから。
1890年代、ニューイングランドの孤島に2人の灯台守がやって来る。彼らにはこれから4週間にわたって、灯台と島の管理を行う仕事が任されていた。だが、年かさのベテラン、トーマス・ウェイク(ウィレム・デフォー)と未経験の若者イーフレイム・ウィンズロー(ロバート・パティンソン)は、そりが合わずに初日から衝突を繰り返す。険悪な雰囲気の中、やってきた嵐のせいで2人は島に閉じ込められてしまう。
=====ここまで。
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なかなか劇場へ足が向かない昨今ですが、ちょっと時間ができたので久しぶりに行ってまいりました。なんと、ほぼ満席、、、と言っても、一席開けだから満席でも通常の半分なのですが、、、。
本作のロバート・エガース監督の前作『ウィッチ』が評判になっていたのは何となく知っていたのですが、あんまし興味がなく、、、。本作は、灯台で閉じ込められた男2人の話、というのに惹かれて見てみました。
以下、本作及びエガース監督ファンの方はあまりお読みにならない方が良いです(悪意はありませんが悪口になっているので)。あと、これから本作を見る方も、ネタバレしていますので、以下は自己責任でお願いいたします。
◆これって、、、
事前情報はほとんど見ないで行ったんだが、モノクロなのもあるが、終始画面が暗いので、こんなジャンルの映画なのに途中で睡魔に襲われそうになることが何度かあった。……ま、そのくらい、あんまし面白く感じられなかったってことです。
なぜか。……うーん、途中から“これ、シャイニングやん、、、”と思っちゃったのよね。絶海の孤島(or陸の孤島)に閉じ込められてオカシクなっちゃうパターン。本作は男2人だけど、まあ、2人だからこそ、余計にヤバいということはあると思うケド。でも、映画としては圧倒的にシャイニングの方がヤバさを感じる、私は。
本作は、正直言って、虚仮威しに近いという印象を受けたのよねぇ。怖さを出そうとしているのは分かるが、それが、効果音と音楽、あとは動物虐待でのみ表現されていて、肝心のオジサン2人がヤバくなっていく感じの描写が甘いと思う。まあ、ジャック・ニコルソンと比較するのはフェアじゃないかもだが、 ウィレム・デフォーもロバート・パティンソンも頑張っているけど、別に全然ヤバくないのだ。ただ、怒っているだけ、イライラしているだけ、八つ当たりしているだけ、怒鳴り合っているだけ、、、、という感じ。ヤバさって、そういうことじゃないじゃん、、、ね。
例えば、中盤で、ウィンズローがカモメを岩に何回も叩き付けて殺すシーンがあるんだけど、見た目の衝撃度の割にヤバくないのよ。何やってんのこの兄ちゃん、、、って感じ。同じことをジャック・ニコルソンがやったら、多分、相当ヤバいはずなのだが、、、。だから、見ていて怖くない、全く。というか、動物をああいう扱いする演出は、そもそもあんまし好きじゃない。本作では、カモメが不気味さのアイコン的に使われているんだけど、明らかにフェイクと分かる(技術的にという意味じゃなく)映像なので、白けるってのもある。実際のカモメを使っていたら白けるどころの話じゃないが、、、。
熱演=好演ではないのだよなぁ、残念ながら。これは、役者の力量もあるだろうが、演出がマズいんだと思う。そうしてみると、やはりキューブリックはスゴい、ということになるのか。
◆究極の○○○○映画(胸焼け)
あと、どうにも乗れなかった理由として、本作がマッチョエキスを煮詰めたようなマチズモ映画だってのもある。いきなり灯台をペニスに見立てたような映像が序盤で映し出されたりとか、なんだかなぁ、、、って感じになる。灯台の灯りを2人の男が取り合うことになるんだが、これなんか象徴的。つまり、灯り守以外の雑用は若造・ウィンズローにやらせて灯りを譲らないトーマス。ウィンズローも灯り守に執着し、灯りを扱ってなんぼ、、、という話になる。女が出て来ても、それはセックスの対象としての妄想のみであり、ウィンズローはしょっちゅう自慰行為に耽っている、、、とか。もうゲップが出そうになる。
まあ、こういうのはスポ根モノとか、軍隊・戦争モノとかにありがちなんだが、灯台とか船乗り系もそうだよね、確かに。セリフにあの『白鯨』に関連するものも出てくるし。やっぱし、ここまでマチズモ全開にされると、スリラー映画としての怖さはかき消されちゃうよね。だって、マッチョなんてスリラーの対極だもん。ペニスに支配されている男たちの話なんか、どこが怖いねん、、、、って。いろいろ凝った演出を見せてはくれるが、そこに話は矮小化されていると言っても良いくらい。だから、虚仮威しに見えるのよ。
男の世界の話なんだから当たり前やん、と言われるだろうが、本作の元ネタとなった実話(ご興味のある方はHPをご覧ください)を素直に映像化した方が、よっぽどスリラーになったと思うなぁ、男だけの話でも。ペニス支配なんか出してこなければ、十分怖い話になったのに、……残念。
◆その他もろもろ
登場人物は、ほぼ2人だけ。
ウィレム・デフォー、私は『スパイダーマン』の印象がキョーレツなんだけれども、本作では、何かただ喚いているだけのヘンな爺さん、、、って感じで彼の良さをあまり上手く引き出せていない感じがしたなぁ。
ロバート・パティンソンの出演作は、これが初めてだと思うが、彼は今や大スターなのですね。知らなかった。話題の『TENET テネット』も見ていないし。制作は本作の方が先みたい。頑張っていたけど、ううむ、前述の通り、イマイチな感じだったが、終盤からラストにかけて体当たり演技で大変だっただろうなぁ、、、と思った。
そのラストだが、ゾロアスター教かよ、、、と思ってしまった。このラストのための、あのカモメ虐待シーンだったのか、、、? 何か、そんな謎解きも虚しいが。今、『シャイニング』を午前十時の映画祭で上映しているから、口直しじゃないが、見に行ってこよう。
~~以下追記(21.07.16)~~
今日の某紙夕刊に本作の記事が出ていて、エガース監督のインタビューも載っていた。それを読んで思わず笑っちゃったのでこちらに追記。
何で笑ったかというと、演出面での説明でこんなことを言っているから。
「人間の頭の中で悪夢と記憶は一体になる。観ている人にもそういう感覚を味わってほしかった。それを狙って、自然音と音楽が混然一体となって観客を包囲するような音響にした。ちょっとやり過ぎたかも知れない」
ハハハ。やり過ぎだよ、ホントに。むしろ、それ以外が“お留守”になっちゃったんじゃ、、、。苦笑したのが次の言葉。
「灯台は男性のシンボル。男らしさとアイデンティティーを巡る闘争の舞台にふさわしい」
……やはり、狙ってのペニス合戦だったのだ。ま、分かってはいたけど、こうもハッキリ言葉で言われると苦笑するしかない。
闘争の舞台とあるけれども、(昨日書き忘れたんだけど)狂っていくのはウィンズローだけなんだよね。トーマスは最初からおかしかったのではなく、最後まで正気だったのだ、多分。まあ、確かにラストにかけては監督の言うとおり「悪夢と記憶は一体になる」がそのまま描かれているってことだろう。
次作は、吸血鬼だって。……嫌な予感しかない。
~~追記ここまで~~
A24映画、どーなの?
イカレ映画は大好物なのですが、主演俳優二人がちょっと…ウィレム・デフォーはいい役者だとは思うのですが、クセが強すぎて主役だとほんと胸やけ、胃もたれしそうなので主演作はあまり観る気になれません。ロバート・パティンソンは苦手な俳優。イケメン扱い、イケメン役には違和感。ブラッド・ピット×リチャード・マッデンだったら絶対観ます(^^♪
おっしゃるとおり、ウィレム・デフォー、私もあんまり得意じゃありません、、、。
でも、この映画は、あんまし俳優2人の顔がよく分からない撮り方をしているといいますか、、、。モノクロってこともあると思うけれど、多分、2人はコインの表と裏みたいな感じで、2人が融合するっていう意味もあって、顔をハッキリ対比させていないんですかね、分かりませんが。
なので、パティンソンの顔もあんましよく分かんないです。
イケメン扱いなんですか? モノクロのせいかすごいオッサンに見えました。
ブラピはオッサンになっても十分カッコエエしセクシーですよね!(^^)!