栂池から天狗原に登り、白馬大池へ上がる事しか頭に無かったが、風吹大池に降りて蓮華温泉へ下る手があった!
ついさっき思い付いたが、うっかりし過ぎだろう。
これなら栂池を11時に出ても17時迄には辿り着けるだろう。
明るい内にあの仙気ノ湯に浸かりたいし、風吹大池は初めてだから、持って来いのルートだ。
結局、蓮華温泉から白馬山荘と唐松頂上山荘に寝て、天狗の大下りと不帰キレットをこなして八方尾根を下るんだ。
適当な日帰り温泉で汗を流して帰る事にしよう。
松本の鉱泉の銭湯も捨てがたいが。
取り敢えず松本の宿に入り、どのコースを歩くかじっくり考える事にする。
平岩から蓮華温泉のバスが明日で終わるのと、
天狗山荘・鑓温泉小屋が店仕舞い済みというのを頭に入れて歩かないと駄目なのがちと辛い。
選択肢は平岩から蓮華温泉まで入るか、栂池からか八方からかの三つ。
山屋としては不帰キレットを歩きたいが、体力的にはちと辛い。
やるなら白馬から唐松へ歩く方が少しは楽そうなんだが。
後はおとなしく鉱山道だけを歩くコース採りなんだが、
せっかくの錦繍の山なのに短くて勿体無い気はする。
今日も曇りだったのに笹子トンネルを過ぎたら晴れていた。
八王子8:41発の「ビュー山梨・小淵沢行き」に乗ったらガラガラ。
小淵沢からの松本行きもあるし、案外使い道がありそう。
行楽時期の土日祭だけだが。
8日と9日だったのでビックリ。
火曜日と水曜日なんだぞ!
それで布団一枚に三人寝てもらうと宣言してるのだから、
土日などはどんな状態か想像もつかない。
その前の土日が天気良くないからかな?
それにしても平日にこれほど殺到するとはとんでも無い事になってるぞ。
考えただけで気持ち悪くなるが、テント1000張りなんて軽くクリアするはずだ。
まあ、一人ユッタリと寝られるが、ペチャクチうるさいし、
トイレなどは一時間以上待つんだからなあ。テントも辛いぜ。
しかし、徳沢や横尾のテント場も凄い事になってるだろうし、
どこに行けばゆったりできるんだ?
こうなりゃ、奥穂・北穂のテント場しか無いか! ?
しかし、昼までに着けばなんて悠長な事をしていたら駄目だろうな。
一晩小屋で寝て地獄を味あわないとテント場は確保できないだろう。
それか、横尾・徳沢・上高地で張り、 早朝に歩き出すかだな。
まあ、この時期は避けるのが一番だが、どうしても見たかったら、
下で寝て日帰りで涸沢のピストンか、パノラマコースでの周回だな。
一生に一度だったら貴重な体験と割り切って、一つ布団に三人も乙な物かも。
俺はまっぴら御免だが。
書き忘れていたから書いておく。
歩く前に随分と心配したのが対向者との離合(行き会い)だった。
因みにこの離合は九州でしか使われていないらしい。
俺達は標準語だとばかり思っていた。
さてその行き会いだが、まず南岳の大下りを済ませた後の
鞍部の歩きでは何の問題も無かった。
写真を見たら一目瞭然だが、行き会わせる広さが十分にある。
どちらかが待たねばならないのは、南岳からの下り・長谷川ピークの登りと下り・A沢のコルから北穂小屋までだから、この部分では鈴を鳴らした方が良かろう。
いちいち鈴を外したり付けたりするのも時間の無駄だから、
この道では通しで付けても許す。
それでもカウベルなどのでかい音でなくても十分聞こえるから、
控えめの音の鈴にして欲しいが。
結局、俺の場合は抜かれたり譲ったりで随分と時間をロスしたが、普通なら行き会いに要する時間はそれ程気にする事も無いだろう。
それぞれ普通の食事だったな。
特別「美味い!」と感激したのはなかった。
夕食・朝食の順に並べている。
「燕山荘」
「ヒュッテ西岳」
「南岳小屋」
おまけに途中で食べたヒュッテ大槍でのテンプラうどんと
涸沢ヒュッテのラーメン・おでん。
このおでんは全く味がしなかったが仕込み中だったのか?
それにしても出汁の味がしなかったのが?
それから先はちとしんどい。
まずヒュッテから一気に160メートル程降りて、乗越からは槍の肩まで
600メートルを登らなくちゃあならない。
水平距離約2kmだから思った程でも無さそうだが梯子だらけの道だ。
ヒュッテ大槍まで登れば槍は目の前なんだが、これからが案外と堪える。
山荘手前の岩屑の道が歩き難いが、槍沢からの道と合流すれば直ぐに
山荘だ。穂先に行くのやら降りてきたのやらでごったがえしている。
急下降の道は大分手を入れてくれて随分と歩き易くなってると、最終日の
上高地からのバスで同席したオバサマが言っていた。
実際どうってことない下りだったし、梯子や鎖でグイグイ高度を稼ぐ道は
大好きなのだが如何せん呼吸器の不調で辛かった。
途中上から見下ろした槍沢の道が何ともかったるそうで、もう一度槍に登れと
言われたら、再度この道を使うか、裏銀座の道を使うだろう。
上高地から槍沢経由の道は最高に面白くない道だと思う。
景色はまあまあで高瀬湖?の遥か先に鹿島槍、左手には北穂から前穂が格好良い。
見上げると朝日に輝く槍だった。
水俣乗越は今人気の北鎌尾根への入り口になっていて立派な道ができていた。
あと一箇所は西岳手前にある貧乏沢でこれも立派な道だった。
二枚目が北鎌への道で、三枚目が見下ろした天狗池への道。
ここからは直ぐに急な登りで、その後は梯子が次々に出てきた。
途中三段の鉄梯子を降るが、あの八ヶ岳の源治梯子に較べたら
屁みたいな代物だった。
槍が左手に見える。
翌日からの歩きでは右手に槍を見ながら歩くから、
稜線上ではいつも目に飛び込んでくる。
そんな槍の一番のビューポイントは、平凡だが
大天井ヒュッテ先に出てくるビックリ平だろう。
東鎌と北鎌の尾根を左右に広げ、ズドーンと立つ姿は
なかなかの雄大さだ。
正直に言えば槍はそんなには好きではないのだ。
理由は全体が岩というのと人だらけだという事だろう。
それとあまりにシャープ過ぎる姿かな。
今回は予定通りに穂先には登りもせず、槍ヶ岳山荘の受付に
南岳小屋への連絡(18時までには着)を頼んで先を急いだ。
それでは槍の写真を載せてみよう。
昔のコンデジだからあまりシャープな画像ではないが。
大キレットの眺望の白眉は何と言っても眼前の「笠ケ岳」とその後ろに
案外と近い姿を見せる「白山」だと俺は思う。
「笠ケ岳」は遠方からも端正な姿で良いが、至近距離で眺めると益々
美しさに惚れ惚れとしてしまう。
昔、笠新道から登り弓折から新穂高に降りた事がある。
白山に登った時は残念ながら北アは見る事ができなかったんだが、大昔の北穂から奥穂の縦走と今度の二度共、幸運にも素晴らしい白山の姿を眺められた。北アからは長大な姿で貫禄がある。
北穂からは登りきるまで姿を隠していた槍が出てくるが、初日から眺めっぱなしだったので食傷気味。
奥穂や前穂、遥か彼方の浅間・八つ・富士・南アなどが楽しい。
まずは笠ケ岳と白山の共演から
槍や遠く鹿島槍など
朝日の常念など
前穂・彼方に富士・南アなど
北穂から涸沢への途中で見たヘリの救助作業三枚と黄葉とテントの花
南岳小屋後ろから急下降して行き、鞍部というか釣り尾根というかに
降りてから気持ちの良い岩稜歩きが続く。
水俣乗越から槍寄りの狭さよりは随分と広く、
ペンキマーク以外でも歩き易い所を歩けば問題なかろう。
と言っても皆が歩いた所が岩が安定しているから、
大人しくペンキマークを拾う事。
この広い岩稜帯の先のピークが長谷川ピークというらしいが、
これを降りた所がA沢のコル。
この長谷川ピークの後に出て来たのが下だが、スリングがあってよく解からないまま
進行方向右を降りたんだが、写真の女性のようにスリングを持って回り込むのが正解みたいだ。
写真は通り過ぎてから写しているので、ペンキマークが見えるが、歩いて来たらスリングしか
目に入らないからちと分り難い。
通り過ぎてから女性が来たので、やり方を教えてみたらすんなり降りたので正解かな。
スリングの強度が心配だが。
この後の登りから核心部という訳なんだが、それ程危険な所は無かった。
ちょと背が低いと辛いかなあというのが下の大岩だった。
歩く時系列で載せておくが南岳方面の写真もある。
ザレも鉄梯子も何処にでもありそうな物で問題なかろう。
石を落とさないように極力注意すべきで、ストックなど問題外。
写真には持っているオヤジが写っているがヘルメットまで被っている。
三枚目が南岳方面。最後は長谷川ピークを核心部登りから撮影。
A沢のコルは小広いが、上からの落石があるかもしれないから
サッサと取り付いた方が安全だろう。
いよいよ核心部に突入。
一枚目は長谷川ピークから撮った物。
二枚目は登る途中から見下ろしたA沢のコルだ。
最後は北穂小屋への登り。韓国人グループの通過で
待たされている白い帽子の女性が気の毒だった。
ロープで繋がれて降るオバサンが二人いて呆れてしまった。
全く拍子抜けする「大キレット」だった。
「飛騨泣き」やら「長谷川ピーク」やら、やたらと怖そうな事が書いてあるが、全くそんな所が無く、一体何処がそれらだったのか先行グループのガイドに聞く始末。
結局危ない所にはピンや足置きなどを設置したため、鎖と合わせて頗る安全なルートに変貌してしまったらしい。
これでは一般ルートに分類するべきで、実際にそうなっているのかも。
そうでなければこれほどにこのルートを歩く人間が増える訳がない。
このルートにスリルを求めて行くのは駄目だが、槍と北穂の連絡通路と思えば十分だろう。
新島々での上高地行きの登山者の列。
いやあ、聞きしに勝る人の波だよ。
昨晩轟沈した徳沢ロッヂからの道で、対向する登山者の群れが途切れなく続く。
梓川沿いを歩いていたら、弾き飛ばされての滑落の恐怖で慌てて山側に移った。
デカザックの連中がやたらと多く、これじゃあ涸沢のテント場は1000張はいきそう。
この頃は一人一テントが主流みたいでテント場が埋まってしまうんだ。
仲間四人で一テントだと随分とスペースが節約できるし、背負う荷物も軽くなるのに。
そんな事より一人でノンビリしたいという事なんだ。
山道具屋も次々に買わせる商品を出して頭が良い。
今やたらとザックにヘルメットをぶら下げた若いのが多いが、本当に必要な山なのかどうか怪しいもんだ。
大キレットの報告は次回以降。
いよいよ大キレットだ。
いつもの様に四時過ぎに起き、高尾6:14発松本行きの先頭車両に乗り込んだ。
しかし、空は雲一つ無い青空な上に、涼しいを通り越して寒い位なのだから面食らう。
冬用の下着とフリースのセーター・薄手のネックウォーマーを入れたから何とか凌げるだろう。
手袋は息子のお古の皮っぽい作業用のがあるから、岩稜歩きと防寒になる。
ヘルメットは結局持ってこなかった。危ないのは北穂への登りだけだし、俺が歩く頃には対向者はいないだろう。
同じ登りの者がいたら大丈夫なように間を空ければ良い。
久し振りの北アルプスだが、最高の天気になったもんだ。
怪我せぬよう十分注意して歩く事にしよう。
先週の予定を延期したが、最高の結果になりそうでラッキーだった。
フリクションが少し落ちた靴の代わりも昨日買ったし、後は小屋に予約を入れるだけだな。
入れておけば到着しなかった場合には対処してくれるだろうから、
万が一の事態になった時には役に立つだろう。
山小屋で予約かよ!と思うが、今度ばかりは真面目に電話しておこう。
大キレットでメールする余裕があれば、A沢のコルや長谷川ピークなどで発信すれば良いだろう。
前後に人が歩いていれば滑落した時に現認してもらえる可能性があるが、
あまり近くを歩くと北穂の登りで落石を食らう恐れがあるのがなあ。
まあ、ヘルメットは沢用のがあるから持って行く事にするか。
ごく小さな石なら致命傷にならずに済むから。
小さな石でもまともに当たると衝撃で体を持っていかれそうだなあ。
落石を受けないように気をつけるのもだが、落とさないようにするのがもっと大事。
被害者になるより加害者になる方が精神的ダメージがでかいと思う。