【ユリノキとは】
・ユリノキはアメリカ中部及び東部(アパラチア山脈)を原産とするモクレン科の落葉樹。大きな枝を整然と広げる姿が美しいことから、日本全土に街路樹や公園樹として植栽される。明治初頭に種子が移入され、新宿御苑に播いたのが日本初とされる。
・5~6月ごろにチューリップのようなクリーム色とオレンジ色の花を咲かせることから、別名「チューリップの木」と呼ばれる。花は直径6センチほどで、雄しべは先端の「葯(花粉入れ)」が2センチもあるが、高い位置で上向きに、しかも葉と葉の間に隠れるように咲くため、あまり人目につかない。
・ユリノキは学名である「Liriodendron」の訳語からきており、日本人の感覚では百合のような花が咲くというわけではないが、ユリノキが渡来した頃はチューリップが今のように一般的ではなかったため、より馴染みのある百合に見立てたという(大正天皇が皇太子の頃に小石川植物園で本種を見て命名したという説もある。)。アメリカでは花の色からイエローポプラと呼ばれることもあり、インディアナ州の州花となっている。
・ユリノキが初めて街路樹として使われたのは明治43年のことで、場所は赤坂離宮(現赤坂迎賓館)。当時の宮内省が洋風建築に合う樹種として選定したもので、現在でも四ツ谷駅から大木となった並木が続く。
・葉は直径15センチ程度の大きさで、特徴的な形をしている。職人が身にまとう半纏(はんてん)、あるいは乳児を寝かしつけるときに使う「ねんねこ半纏」に似ていることから「ハンテンボク」とも呼ばれる。葉を揉むと独特の香りがある。
・秋の黄葉が美しく、実もなる。実は落葉後も花の蕾のような形をして枝先に残る。
・ユリノキは直径1m、樹高30mを超す大木になるが、その材は加工しやすく、楽器、建材、家具の引き出しの内張、ベニヤ板(アメリカホワイトウッドと称する)に利用される。
・ユリノキは原産地のアメリカでは樹高60m!にも達する。一方、1875年に中国の廬山で発見されたユリノキは、樹高が最大でも15m程度にしかならず、花も小さいという特徴があり、「シナユリノキ」と名付けられた。葉はユリノキよりも大きいが見分けにくい。