
















原種・原種系交雑種
ばら(薔薇)は、バラ科バラ属に属す被子植物の1つです。北半球にのみ自生し、その数は 150 ~ 200 といわれています。これら自生していたばら達を「原種(Species)」と呼んでいます。この原種からばらの歴史は始まっていきます。
原種ばらのほとんどはシュラブ樹形かつるばらで、春にのみ開花する「一季咲き」がほとんどになります。ただし、中国に自生していたと言われている「庚申ばら(ロサ・キネンシス)」に関しては四季咲き性を有した品種があり、後のばらの発展に大きく貢献することとなります。日本の原種では「野ばら/ノイバラ(ロサ・ムルティフローラ)」が最も有名で、ばらの世界に房咲き性という性質を与え、またばら生産において台木としての役割も持っています。
原種ばらは自生していたものということもあり、扱いとしては少々難しいところがあります。ただ、園芸種としてではなく極限まで飾りをそぎ落としたようなシンプルな美しさの世界が待っています。また、品種によっては強い耐病性を有しているものもあります。
原種ばらが自然交雑されて誕生した品種もあり、これらは原種系交雑種としていくつかの系統があります。日本では「ハマナス(ハマナシ)」に代表される「ハイブリッド・ルゴサ」などが原種系交雑種として有名です。
これら原種のバラ(スピーシーズ=Species)を交配することで、園芸品種は作られています。現在のバラの園芸品種はなんと3万種以上もあるそうですが、原種のバラは、これらすべての園芸品種の親となったバラといえます。
原種バラは、ほとんどが春だけの一季咲きで、園芸品種に比べれば華やかさに欠けるところはありますが、その清楚な姿が好まれて庭に植えられることもよくあります。また、もともと自然に自生しているバラなので、病虫害に強く、どれも育てやすいバラです。
原種バラは略記号で(Sp)と表記されます。原種のバラには自然交配されたものや、枝替わり品種と考えられるものも含まれます。
豊富な日本のバラの原種
日本には、案外、バラの原種が多く自生している、実はバラ大国。
日本自生するバラ原生種:
- ・ノイバラ(Rosa mulitiflora)・・・ポリアンサ系つるバラの原種。ミニバラ、フロリバンダ
- ・テリハノイバラ(照葉野茨、Rosa luciae)・・・ツルバラの元祖
- ・サンショウバラ
- ・ツクシイバラ
- ・フジイバラ
- ・タカネイバラ
- ・ハマナシ/ハマナス(Rosa rugosa)
- ・ミヤコイバラ
- ・ヤブイバラ
- ・ヤマイバラ
- ・モリイバラ