「いずも」が戦後初の空母へ 背景にはトランプの要請があった
2017.12.26(LIVERTY WEB)
空母への改修が検討される護衛艦「いずも」(AFP/アフロ)
《本記事のポイント》
- 日本の空母保有は、アメリカの「再軍備」要請の具体化
- 空母を持てば、防衛力強化だけでなく、日本外交の発言力が高まる
- 一国平和主義を脱却し、アジアの平和と安全を守る決意を
政府は、2020年代初頭の運用を目指し、海上自衛隊の護衛艦「いずも」を戦闘機の離発着ができる「空母」へ改修する案を検討している。
北朝鮮と中国の脅威に備え、調達予定である米軍の「F35B戦闘機」から発されるジェットエンジンの熱に耐えられるよう、甲板を改修するとしている。改修できれば、約10機を搭載できると見られる。
これについて、中日新聞などは「自衛のための必要最小限度を超えるため、攻撃型空母の保有は認められない」としてきた政府見解との整合性が問われるとして、批判的に報じた。
まるで、政府見解を守ることが至上命題と言わんばかりだが、脅威の度合に合わせて対応を変えることは、一般社会ではよくあること。国民にとっては、そんな小難しい法律論より、空母を持つ意義を知る方が本質的に重要だ。
アメリカの「再軍備」の要請を具体化
米軍のF35B戦闘機。短距離離陸・垂直着陸が可能だ。
突然、降って湧いたような、いずもの空母化計画だが、そこには伏線があった。
本誌2月号で報じたとおり、米政権に近い関係者への取材により、トランプ大統領が日本政府に対し、「核装備」「改憲」「空母保有」の3点を要請していたことが判明した。
( https://the-liberty.com/article.php?item_id=13934 )
今回の計画はその要請を具体化するもので、アメリカが日本により大きな役割を果たすことを期待している。
空母化以外にも、日本政府は最近、長距離巡航ミサイルの保有を進める方針を明らかにしたが、もとはと言えば、これについてもアメリカが難色を示していたもの。
こうした流れから、アメリカは日本に対して「再軍備」のゴーサインを出したと見るべきだろう。つまり、日本が戦後から続けてきた国策である「経済優先・軽武装」という吉田ドクトリンの転換を迫られているのだ。
日本外交の発言力が高まる
日本の護衛艦を空母化すれば、例えば、沖縄の離島上で、警戒監視活動を展開でき、自衛隊の活動範囲が広がると指摘されている。
それだけでなく、抑止力が高まることで、日本外交の発言力が高まる点についても注目すべきだろう。
今年6月、いずもは、東南アジア諸国連合(ASEAN)10カ国の士官を乗せ、中国の影響力が強まる南シナ海を航行した。日本がこの地域の安全に関与することを国際的にアピールするためだが、今後、攻撃力を有する戦闘機がいずもに搭載されれば、そのメッセージ性はより強いものとなる。
現在、南シナ海では、アメリカがFONOP(航行の自由作戦)を実施し、中国をけん制している。日本は、この作戦を支援することができ、その結果、多くの国民が求めていた外交上での発言力も高まることにつながるのだ。
「再軍備」に向かうなら堂々と国民の信を問うべき
日本が将来的に、アジアの平和と安全を守る大国としての使命を果たすのなら、空母を持つ意義は十分にある。
とはいえ、こうした国の重要な方針転換を、影でこっそりと行うような政府の姿勢には疑問を感じざるを得ない。
マスコミが「自衛のための必要最小限度を超えるため、攻撃型空母の保有は認められない」という政府見解を盾に批判するのであれば、その見解の変更を、正々堂々と選挙などで問い、国民を説得するべきではないか。
(山本慧)
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https://the-liberty.com/article.php?item_id=13934
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