ヒマジンの独白録(美術、読書、写真、ときには錯覚)

田舎オジサンの書くブログです。様々な分野で目に付いた事柄を書いていこうと思っています。

文芸座で「小沢昭一 一周忌追善特集」を観る

2013年12月16日 15時43分13秒 | お上りさん
12月7日に所用のため上京しました。土曜日(7日)の会合ではおいしい料理と美味い酒を堪能しました。
翌日もまた別の会合があったのですが、夜までに時間があるので、昔行ったことのある池袋の文芸座を訪ねて見ました。
文芸座に行くのはおそらく40数年ぶりぐらいです。
東京で学生生活の終わり頃には「文芸地下」で深夜興行の映画を、よく観たものでした。
その場所は、もはやうろ覚えになっていますが、何とかたどり着きました。
今の文芸座には昔日の面影はありません。現代風のビルの3階が新文芸座になっていました。
   

さて、掛かってた映画はと言えば「小沢昭一 一周忌追善特集」と銘打った日活映画です。

「大出世物語」と「競輪上人行状記」でした。
「大出世物語」は1960年公開、「競輪上人行状記」の公開は1963年との事ですので、共に小沢昭一氏がまだ30歳代前半頃の作品です。

印象に残った事柄を少しばかり。
「大出世物語」は小沢昭一演ずる初老の「六さん」が屑屋をしながら小金を貯めていて、お世話になっていた印刷会社の倒産の危機を最後には救い、其処の社長になってしまうという出世物語なのです。
30歳そこそこで、あの老け役はすごい、というのがまずは第一印象。
それに、「六さん」の娘役の吉永小百合と印刷会社の御曹司役の浜田光夫のなんと若々しいこと。
この映画のエンドロールによれば「浜田光曠」と言う名前が出てきますのでそれが浜田光夫の本名なのでしょうか。

次の映画は「競輪上人行状記」です。
中学の教師をしていた小沢昭一演ずる主人公の兄が亡くなってしまいます。
主人公の実家は貧乏寺で、年老いた父と後家になった兄嫁が残されてしまいました。
主人公は正義感あふれる中学教師でしたが、「葬式仏教」のみの家業に疑問を持っていたのですが、年老いた父のたっての望みである「本堂再建」のために努力しようとするのですが、うまくいきません。
そんな時、寺に出入りしている葬式業者の色川とたまたま競輪場で遭遇します。
そのご、葬式業者の色川の誘いもあって、競輪にのめりこみ寺の本堂再建資金にも手をつけてしまい競輪のノミ屋からも追われるようになってしまいます。各地の競輪場に出没して、ポケット瓶のウイスキーラッパ飲みするような博打三昧の荒れた生活をするようになっていました。

もはや、どうにもならなくなって、最後の大博打に打って出ます。
持ち金の30万の全てを最終の7レース一本につぎ込み、大当たりを的中させ大金を手にします。
その金で借金のかたに取られた寺も買い戻し、離れていった兄嫁に寺の再建を託して主人公は教師時代に彼を頼りにしていた教え子の少女と連れ立って、諸国放浪の旅に出ます。
その後、競輪場に「上人姿の予想屋」として現れるところでこの映画は終わります。

最後に競輪場での「競輪上人の予想屋」が、ものすごい。主人公のそれまでの博打人生の全てから学んだ予想の口上のなんと見事なことか。惚れ惚れして聞きほれてしまいました。
「啖呵買」をやらせれば渥美清の寅さんも上手と思うが、小沢昭一のそれはまた違う。
私たちがおなじみの「小沢昭一の小沢昭一的心」の原型は「競輪上人行状記」に既に出来上がっていたのでした。恐るべき名優、いや「怪優」です。

二つの映画の幕間に玉川奈々福(たまがわ ななふく)さんと言う女流浪曲師のトークショーもありました。
玉川奈々福さんは玉川福太郎(名浪曲師 3代目玉川勝太郎の弟子)門下の方です。
小沢昭一氏の普段我々が知ることの出来ないエピソードなどもお話されて、大変面白い数時間でした。

その日の夜は池袋の飲み屋で、旧友とまた一杯。九州出身の彼の飲み物は薩摩の芋焼酎でした。
秋田出身も酒は当然飲みますが、焼酎で鍛えた薩摩には勝てなかった。


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