昨日、上記の会合があった。この会合は東北各県の民俗学に関係する団体が集まりその活動を報告し、合わせて各団体の交流を深めようとの意図で開催されているとことであった。コロナ禍のため、ここ数年は開催が中止になっていたのである。私は秋田県民俗学会の会員ではないのだが、この会の事務局をしている知人の勧めもあり参加した次第なのだ。東北各県から総勢45名の参加者があった。
今回のテーマは「コロナ禍と民俗」だった。各地にあるる疫病退散のための民間行事や石碑などのシンボルなどの紹介あったが、その中でも山形県の米沢市に残る石碑に興味がそそられた。それは、「虎列刺大明神」石碑というモノであった。
虎列刺とはなんであるのか。この文字の読みは<コレラ>であり、文字通りコレラに被患し亡くなった人々を慰霊するため、あるいはその事実を長く後世にとどめておくことを目的として建立されたと考えられる。ある石碑には建立された年号と月日が彫られている。判明しずらい文字なのだが明治□□年○月と読めるものがあった。日本にコレラが伝染し猛威を振るったのは近代では明治12年のコレラ流行が知られているので、おそらくはその時期にこの石碑は建てられたのであろうとの説明であった。
また「疱瘡神社」と言うものが米沢市徳町にあり、その由来の説明もあった。疱瘡とは天然痘の別名であり、それに罹ると高い割合で死に至る怖い疾病である。その怖い名前をあえて神社の名前とした先人の心情はどのようなものなのか、興味は尽きない。
いずれにせよ「虎列刺大明神」石碑や「疱瘡神社」と言うものを残すことでその疾病がいかに恐ろしいものであったのを後世の我々はそれを知ることができる。
さて、懇親会の二次会でのことである。私は宮城県からの参加者と隣り合わせになった。仙台市歴史民俗資料館で学芸員をされている方であった。今年の5月からコロナ禍に関する規制が無くなったので宮城県の歴史民族の関連施設の入場者は増えたのかと聞いてみた。彼が勤務する施設では来場者はコロナ以前より増えているとのことであった。その増え方も以前とは違っているとのことであった。仙台市の当該施設は65歳以上の仙台市民は入場料が無料なのだが、無料入場者よりも有料入場者の増加が顕著であるとのことであった。しかも海外からの人、特に西欧からの入場者が多くみられるとのことであった。
そこの施設に、日本の古い民家の囲炉裏(いろり)のある部屋を模したコーナーがあり、西欧から観覧者は「囲炉裏」に大きな興味を示している、とのことであった。確かに西欧には暖炉はあるが「囲炉裏」はない。囲炉裏には暖炉にはない機能がありその一つはそこで調理ができることなのだが、その機能以上に大きな特徴は家人の全員が囲炉裏を囲んで「集まれる」ことなのだな、と私は納得した。
「コロナ禍と民俗」と言うテーマの会合であったのだが、教えられることが多くあった有意義な会であった。来年の当番県は青森とのことである。青森にはたくさんの民俗行事がある。青森まで出掛けて見るのも悪くないなと思っているところなのである。
最後にこの会合で配布されたパンフレットの表紙をお目にかけておしまいとする。
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