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グローバル化への準備---英語と他の言語(10):地球上の言語と文字の種類

2013-03-25 | ビジネスの世界
英語と他の言語(9)から続く。

(7)言語教育の在り方
船乗りとして海外に船出して以来、今日まで多くの国のことばに接してきた。ことばは、その地の風俗習慣、人々の日々の生活そのものである。南の国や北の国の街並みとそこを行き交う人々、通りを流れる食べ物の匂い、人々の話し声や呼び声にその国を感じる。

毎日、当たり前のように使っていることばだが、ふと考えると、言語に関する多くの知識が欠落していることに気付く。なんとなく分かっているようで何も知らない、もう少し勉強しておけば良かったと今になっていろいろな思いが浮かんでくる。そこで、その思いを、1)世界の言語とコミュニケーション、2)世界共通の理論と言語、3)言語の生涯教育の3つの項目にまとめた。

1)世界の言語とコミュニケーション
人類の歴史は、おおよそ400万年と言われている。約400万年前の類人猿は、約50万年前のジャワ原人、約20万年前のネアンデルタール人、約3万年前のクロマニヨン人などへと進化を重ねた。その進化の過程は、高校の世界史に説明がある。

クロマニヨン人は、現代人とほぼ同じ体格、大脳の容積も約1,500cc(ゴリラは約500cc)、彼らは現代人の祖先といわれている。この頃には、人類の特徴としての二足歩行、火の使用、道具の制作、言語の使用はもちろん、死者の埋葬も行われていたという。

現代人の祖先たちは、約1万年前に採集・狩猟から農耕・牧畜社会に移行し、生活が安定し始めた。衣食住の安定と共に、文化的な活動をする余裕も生まれたと容易に想像できる。

文化的な活動の基本はことばと文字であるが、文献によれば、絵文字や楔形文字の歴史はせいぜい5,000年程度と比較的新しい。文字より先に発達したと思われる言語については、記録がないのでハッキリしない。

現在、この地球上の存在する言語の数は、5,000から7,000と言われているが、正確な数を把握できないのが現状である。しかし、これらの言語はインド・ヨーロッパ語族、ウラル語族、セム語族など、20~30の語族に分類できるとのこと、その作業は現在進行中である。

一方、それらの言語が使用する文字の種類は意外に少ない。中西印刷株式会社の「世界の文字」によれば、現用文字は28種類、歴史的文字は98種類とある。たとえば、ラテン文字の現用(現在の使用地域)は「ほぼ全世界」とある。日本文字は当用漢字・ヒラガナ・カタカナの混合体で現用は「日本」となっている。しかし、文字の分布と流れはコンピューター・ネットワークによる情報流で大きく変化していくと考える。

ここまでは人間同士の言語、いわゆる言語学(人文科学)の話だったが、今後は人間と機械のコミュニケーションや新しいタイプの翻訳ソフトも考えなければならない。これは、言語学が人文科学から科学技術の領域に進展することを意味している。

すでに、人類は1950年代からコンピューター言語を開発し、今やその数は200以上になっている(このブログ、2011-06-04参照)。この間に、文字コード体系も多くの言語に対応し、多言語データベースも実現した。これらの機械語(Machine Language)は、人工知能を介して人間とロボットやロボット同士あるいは人間と動物との間を取り持つ高度な翻訳ソフトに進展すると思われる。

現代人の言語と文字の系譜と今後の動向を、「世界の言語とコミュニケーション」として分かり易く解説する科目が義務教育に必要と考える。その内容は、従来の人文科学にとどまらず、コンピューターと通信技術の領域にも踏み込む科目であり、グローバル化に向かう日本人にとっては必須知識である。

次回の2)世界共通の理論と言語に続く。

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グローバル化への準備---英語と他の言語(9):文体(Style of Language)

2013-03-10 | ビジネスの世界
英語と他の言語(8)から続く。

4)文体(Style of Language)
文体には「だ・である調」と「です・ます調」がある。ビジネス文書では、「である調」が一般的であるが、「です調」や「ます調」でも問題はない。しかし、「である調」と「ます調」など、文体の混交は避けるべきである。

英語では「だ・である調」や「です・ます調」に該当する文体はない。手紙やビジネス文書や論文は、日本の学校で教わる普通の文体で書けばよい。しかし、使い古された表現や話し言葉のような文章は良くない。何よりも、自分の言葉(Original Thought)が大切だと教えられた。これは、日本語の作文でも同じである。

文体とは直接の関係はないが、日本語の敬語・謙譲語・丁寧語は難しい。また、人称代名詞の使い方も複雑である。しかも、人代名詞の主語を省くので文章が曖昧になる。何事も曖昧に、丸く収めるのが日本流かも知れないが、主語のない文章は外国語への翻訳が難しい。

5)内容(Content)
すでにこのブログのあちこちで触れたが、ここに作文やビジネス文書に当てはまるルールを再整理する。なお、このルールは日本語と英語に共通である。
◇パラグラフ
作文は幾つかのパラグラフ(段落)から成り立っている。それぞれのパラグラフは、一つの主題文(Topic Sentence)と幾つかの支持文(Supporting Sentence)から成り立っている。しかし、主題文だけで、支持文がないパラグラフもある。

◇主題文と支持文
主題文は、そのパラグラフの主題となる文章である。一つのパラグラフには、主題文は一つだけである。

支持文は、主題文の内容をサポート(支持、支援、裏付け、説明など)する文章である。支持文と主題文の順序は自由である。

◇率直な表現
主題文と支持文は、それぞれ「。(句点)」で終わる文章である。平易で分かり易い文章を心掛ける。つまり、Straightforward(真っすぐな、率直な、複雑でない、簡単な)で、Ambiguous(曖昧な、両義にとれる、多義の)言葉使いを避ける。StraightforwardでUnambiguousな表現は、日本の流儀に反するかも知れないが、ビジネスでは必要と割り切る。

◇短文
文章はできるだけ短くする。説明の重複や無駄な美辞麗句、不必要な丁寧語・敬語は排除する。古今東西、短文の名文は多い。

繰り返しになるが、アメリカでは32語以上の長文はダメと教えられた。日本語では、筆者の独断であるが、80文字以上の長文を書かないように注意している。

ここで、パラグラフの中身を例文で説明する。

【例1:三段論法を説明する1つのパラグラフ】
三段論法は、大前提と小前提と結論から成り立つ。たとえば、すべての政治家はウソつきである(大前提)。すべての首相は政治家である(小前提)。すべての首相はウソつきである(結論)といった論法である。ただし、三段論法の大前提と小前提の真偽を確かめないと結論を誤る。

解説:
上の文章は一つのパラグラフである。その中身は、1つの主題文と4つの支持文から成り立っている。
主題文=三段論法は、大前提と小前提と結論から成り立つ。
支持文1=たとえば、すべての政治家はウソつきである(大前提)。
支持文2=すべての首相は政治家である(小前提)。
支持文3=すべての首相はウソつきである(結論)といった論法である。
支持文4=ただし、三段論法の大前提と小前提の真偽を確かめないと結論を誤る。

【例2:三段論法を説明する3つのパラグラフ】
パラグラフ1=大前提を説明する1つの主題文+いくつかの支持文
パラグラフ2=小前提を説明する1つの主題文+いくつかの支持文
パラグラフ3=結論を説明する1つの主題文+いくつかの支持文

パラグラフ1~3の具体例は、長くなるのでここでは省略する。もし、支持文をさらに詳しく説明したいときは、支持文を主題文とするパラグラフを加えて説明する。

最後に、オー・ヘンリー(O. Henry:1862-1910)の短編小説"The Last Leaf"(最後の一葉、1907年)からパラグラフを引用して、主題文と支持文の関係を説明する。

【例3:The Last Leaf】
背景:
安い家賃(Low Rents)を求めて芸術家たちが集まるNYのグリニッジ・ビレッジの物語

登場人物
スーとジョンシー:
彼女たちは画家の卵で共同アトリエに住んでいる。二人の芸術、食べ物、着るものの趣味がso congenial that the joint studio resulted.

ジョンシーは重い肺炎にかかり、スーが看病している。ジョンシーは、窓の向かいのツタの葉がすべて散るときに自分も死ぬと決め込み、残りの葉の数を逆算している。The lonesomest thing in all the world is a soul when it is making ready to go on its mysterious, far journey.(世の中で最も寂しいものは、あの世に旅立つ準備を始めた心である。)

ベールマン:
40年も絵筆を振るうが、未だに傑作を描けない酒好きのドイツ系老画家。プロのモデルを雇えない若い芸術家から僅かなモデル料を得て家賃が安い地階で暮らしている。

パラグラフの引用:
・・・(前のパラグラフ)・・・.
 She arranged her board and began a pen-and-ink drawing to illustrate a magazine story. Young artists must pave their way to Art by drawing pictures for magazine stories that young authors write to pave their way to Literature.
 ・・・(次のパラグラフ)・・・

解説:
主題文=She arranged ・・・ a magazine story. (She=Sue、看病の合間に挿絵の仕事を始めた。)
支持文=Young artists ・・・way to Literature. (SueはYoung artistsの一人)

支持文は、芸術や文学の極致を目指して修業する芸術家や作家の卵の生活を上手く表現している。画家と作家の関係を関係代名詞(that)で効率よく24語の一文に収めている。

・・・(前のパラグラフ)・・・.
 The ivy leaf was still there.
 ・・・(次のパラグラフ)・・・

解説:
主題文=The ivy ・・・still there.
支持文=なし。主題文だけで改行して、次のパラグラフに移る。文章が1つだけのパラグラフは、読者に強い印象を与える。

ツタの最後の一葉は風雨に耐えてあの場所に残っていた。それもその筈、あの一葉は、夜の内にベールマンが建物の壁に描いたものだった。

ジョンシーは、いつまでも散らない最後の一葉に勇気付けられて肺炎が快方に向かった。他方、夜の冷たい風雨に打たれたベールマンは、急性肺炎で2日後に息を引きとった。ジョンシーに生きる気力を与えたあの壁のツタの葉は、彼の傑作(Masterpiece)だった。

次回は、言語教育の在り方に続く。

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