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京都訪問---四条通りの変化

2015-08-25 | 地球の姿と思い出
今回は「3.日本の食品・サービス」を中断して、久し振りに京都訪問を報告する。

なお、今回と次回は京都関係、10月はハノイと京都再訪、その後に「3.日本の食品・サービス」に戻る予定である。

さて、今回は7月下旬に京都を訪れ、そこに見た街の変化を報告する。それは「コンチキチン」の祇園ばやしが流れる京都のメイン・ストリート、四条通りの大きな変化である。

(1)メイン・ストリートの主役の交代:車から人に
京都駅から地下鉄で四条烏丸に出ると、四条通りは歩道の拡張工事中だった。下の写真は、幅3~4mの歩道を6~7mに拡張する工事の様子である。

            京都四条通りの歩道拡幅工事
            

ここ十数年、京都は外国からの観光客が多くなった。さらに近年では東南アジア諸国の観光ビザの条件が緩くなったのでタイやインドネシア、ベール姿のイスラム系の人びともよく見かけるようになった。片言のタイ語で話しかけると、相手も非常に喜んでくれる。

有名な寺社に限らず、清水坂、祇園、四条通り、京極、錦など、一般の道でもカメラ片手の外国人が行き交っている。なかでも、四条大橋から烏丸交差点辺りまでは、祝日や祭りの前後には、バス停などで車道にはみ出す人波も見られた。

京都市の調査で、四条通りの通行量は、幅員15mの車道を自動車で利用する人は2,200人、一方、幅員7mの歩道を歩行する人は7、000人という結果がでた。そこで京都市は、車道と歩道の通行量のアンバランスを改善しようと今回の工事に着手した。

メイン・ストリートの車線を減らして歩道を広げるという大胆な工事、これは筆者の「駅前広場」の外周道路に通じる考え方である。いわば、車に占拠された都市空間を人のために取り返すという考え方である。

下の図は、歩道拡幅工事の内容である。その工事区間は、四条大橋から西に約1.2kmの烏丸交差点まで、完成は今秋10月末である。

  四条通りの改善工事
  

  商店に品物を搬入するとき、商用車は「停車スペース」を利用する。

  

思い切った工事であり、完成後の四条通りは今後のコンパクト・シティーの貴重な参考事例になるに違いない。人と物の流れが通常時と祭りなどのときで大きく変わるのが四条通りの特徴、工事後はどのような結果になるかと非常に気が掛かりである。

この珍しいプロジェクトのキー・ポイントは、「片道1車線」と「停車スペース」である。この1車線と停車スペースがどのように機能するか?筆者の街に対する固定観念【補足*】の検証にもなる。

今回はここまで、・・・筆者は10月下旬に京都を訪れる予定、大丸百貨店横の四条通りに面したビジネス・ホテルを予約した。四条通りの観察を今から楽しみにしている。

【補足*】
筆者の世界探訪は1963年に「ほのるる丸」の欧州航路から始まった、あれから五十数年の歳月が経過した。いろいろな土地で生きているうちにいつしか、世界の街々ごとの固定観念が頭の中に定着した。たとえば:
◇ホンコン
高層ビルが立ち並び、ビクトリア・ピークからの夜景は素晴らしかった。当時の東京は平坦だった。
◇シンガポール
ゴミのポイ捨ては罰金、清潔な街だった。日本ではポイ捨てがあったが、ゴミそのものが少なかった。
◇ロンドン
地底に伸びる地下鉄の長いエスカレーター、左側歩行のルール、このルールは東洋にも広がった。
◇ロッテルダム
運河沿いの倉庫、運河から荷物を取り入れる簡易クレーンと出入り口、街中に自転車の人が多かった。運河のある巨大な港街、今はユーロポートと呼ばれる。
◇ハンブルグ
エルベ川をくぐる自動車道路、タクシーに乗車したまま地下トンネルに下りるリフト、頑丈なリフトにドイツらしさを感じた。
(エルベ川は北海からの大型貨物船や客船が航行するので橋は大掛かりになると聞いた)
◇ニューヨーク
24時間運転の地下鉄に乗って先進国にはいろいろな時間帯に働く人がいることを知った。日本の深夜は酔っ払いばかり?・・・などなど。
◇昼間の街を走る車の種類
欧米=乗用車が多い。
途上国=バス、タクシーが多い。最近はボンネット型バスが消え、乗用車も増えた。
日本=1990年代まではトラック、商用車が多かった。2000年頃から商用車と乗用車が中心、街中を空荷で走るトラックは激減した。近年は宅配便が諸外国に比べて多くなった。

経済情勢と社会システムが発展するにつれて街を走る車の車種、運転マナーが変化する。日本の変化はめまぐるしいが、これも「日本らしさ」一つである。

なぜ、欧米では昼間の街路で乗用車が多いのかと疑問に思った。特に注意して観察したわけではないが、欧米ではゴミの収集、公園やビルの清掃や商店への品物の搬入搬出などを早朝に済ませる街が多いことに気付いた。

これらの作業はManual Work(手仕事/筋肉労働)である。一方、Office Work(事務所の仕事)は昼間の時間帯の仕事である。作業の内容により、両者の時間帯をずらせることもある。確かに、早朝には商用車が多い街もある。(この職掌区分はギリシャ時代からの流れを汲む一種のビジネス習慣である。)

一方、日本ではManual WorkとOffice Workの職掌区分は明確ではない。したがって、商店への商品の搬入搬出の時間帯はOffice Workの時間帯と同じである。結果として商用車(配送車、ゴミ収集車、トラック、バスなど)と乗用車が街に混在する。このあたりの事情は、交通インフラと労働形態との関係もある。

四条通りの「停車スペース」の停車時間と作業内容に関心がある。

以上、船乗りの固定観念の一部。

次回は(2)比叡山に続く。

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