徒然刀剣日記

刀剣修復工房の作品・修復実績と刀剣文化活動のご紹介

製作中の拵え

2010-12-25 19:20:33 | 拵工作
刀剣の柄前製作は、大きく分けて3つの工程からなります。
それは、柄下地・鮫皮加工・柄巻きです。

中でもあまり表面に見えませんが、最も重要な部分が、柄下地です。
下地の製作に関しましては、以前にメンバーサイトでご紹介しましたが、唯一刀身と接する部分でもあり、慎重な工作が要求されます。
今回のお客様ご指定の刀装具は、頭金具が一般的なものよりも深く、太刀拵えや半太刀拵えに見られる兜金のように、金具の中にも下地を作る必要があります。

この場合、下記のような頭下地を作成します。金具を被せてガタツキが出ないように微調整を繰り返します。



次に重要な工作が鮫皮加工です。

『鮫』皮は、実際には『エイ』皮ですが、なぜ『鮫』なのか?は諸説あるようです。
恐らく、語源は鮫=SHARKではなく、ましてエイでもないでしょう。理由は、柄前に用いるエイが日本近海で取れないことで、昔の人は魚介類由来とすら思わなかったかもしれません。むしろ、沙目(細かい粒)⇒鮫(当て字)ではないかと思います。
ちなみに、鮫や巨大な魚のことは、ワニとかフカといった表現が用いられていたようです。



そんな鮫皮ですが、一枚の鮫皮から取れるのは、柄前1つ分に過ぎません。
私は、一般的な鮫皮よりも一回り大きな鮫皮が好きなので、写真のような鮫皮を用いています。

柄下地の製作と鮫皮の加工工程や艶出しの作業には、とても多くの時間と根気が必要です。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。