徒然刀剣日記

刀剣修復工房の作品・修復実績と刀剣文化活動のご紹介

刀剣外装のテイラーメイド

2015-11-05 20:41:33 | 拵工作
柄前の調整です。



この度のご依頼は、「長年使っている愛刀なれど、身体に合わず、何とかしたい。」というものです。

日本刀というと、刀身ばかりに意識が向いてしまいますが、実際の使用感を決定づけるのは外装です。特に、刀身と使用者を結ぶ唯一の装置“柄前”で使用感が決まる!といっても過言ではありません。



というわけで、今回はオーナー様のお身体に合わせて、柄前のみ作り替えます。



ご要望は細部にまで亘り、現状の柄前を基準に柄の長さ、目貫の位置、柄成り、柄の幅・重ねに至るまでミリ単位でのご指定です。(詳細なご指示は、よほど自信のある方意外にはお勧めしません。ご要望通りにお作りしますが、使用感までは責任が持てません!)



刀装具も変更されることから、安全性を考えれば下地から起こさなければなりませんが、諸事情により柄下地は再利用します。一度分解し、補強を施して再度組み直しました。



黒尽くめの拵えの場合、どうしても表情が沈みますので、鮫皮の漆には若干赤みを持たせて鉄鍔との色味を調節します。これにより、グッと引き締まる効果を期待します。

これから年末にかけて、仕事が忙しくなります。
体調管理を徹底して、一振り一振り心を込めて仕上げたいと思います。

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