
朝の内は小雨が降った。
正住寺へ行く約束なので小梅は髪を結うなど支度を拵えた。
その内に段々と晴れて2時頃には快晴となった。
久右衞門殿が来て9日には午後から来られよと言う。
安兵も上に来る。
2時過ぎから出かけた。同道したのは滝本源三郎だけ。
主人は岡野、山本へ行き後から来たが既に酔っていた。
正住寺の楼ではとても気分がよく、藤の花も今年はあまり良くないながら残りがあった。
白と藤色が混じっている。藤色の方は鳩が食べて困ったとのこと。
弟子等も来て太平楽をする。
宮下は篳篥(ひちりき)、弘龍は横笛。
いま一人の僧の笛吹き、また別の小僧も篳篥と四人で合奏した。
おおいに盛り上がる。
とうふやがきて夕飯も食べて8時過ぎに帰った。
するがにもゆかで詠むる白砂の 雪のふじの根高きはなの香
うちまじり咲くもめづらし白砂と うら紫のふぢなこのはな(小梅)
※ 太平楽 雅楽の曲名
※ 篳篥 雅楽の流れを汲む近代に作られた神楽などで使う管楽器の1つ。