吉永小百合さんが出演する映画を見るのは久しぶりである。青春時代
のイメージが強く、なぜかあまり見たい気が起こらなかったが、おとうと
役の笑福亭鶴瓶さんが今の映画界でこの役ができるのは誰もいない。
鶴瓶さんの他にできないと評論されていたので動かされた。
彼の出演する上方落語競演会も見に行くつもりである。
今を生きる“家族”に寄り添い、明日への希望を描く感動作とある。
形は多少違っていても、何処の家族でもある風景で結婚を契機に家族に
問いかける映画でもあると思う。社会的立場、地位で冠婚葬祭をする
けれど考え方一つで変わっていく人間社会の空しさと人間の死自体の
空しさが同時に訪れあわやこのまま、そこはドラマすっきりした終わり
方で、観客のこころが得たものは大きい。本当の幸せは、身近な人間の
優しさの中にあった。しかしおとうとを思う小百合さんの愛はチトヤ
ソットでできることではありません。ベルリン国際映画祭・ベルリナーレ
・カメラ賞受賞で山田洋次監督作品。久しぶりに泣いた映画だった。
最後に字幕で市川昆監督に捧ぐとでた。テレビで市川昆監督の「おとうと」
をやるという興味が尽きない。