「武蔵多満川」
多満(多摩)川は、奥秩父に源流をもち、武蔵国、六郷、羽田をへて江戸湾へ注ぐ流である。古歌に詠まれた六つの名高い玉川のうちの、「調布の玉川」としても知られていて、江戸近郊の行楽地として親しまれていた。現在の東京都日野市付近の流れを描いたものと考えられる。この地には日野の渡しがあったが、水量の減る時期には、土橋を架けたと云われている。釣竿を持った父と子とおぼしき二人が、柳のそばに架けられた橋を渡っていき奥の方には釣り人の姿が小さく見える。かれらは多摩川名物である鮎つりを楽しんでいる様である。