今回は生れて初めて尽し、沖縄に行くことは勿論、格安パック団体旅行なるものも初めて、何も分からない土地にそれも飛行機でしか行けないとなればまずはこういうツアーを利用しない手はないだろういうことで出掛けたのだが、一回だけの訪問でこういう旅日記を書くこと自体も初めてなのです。こちらが寒い時期に亜熱帯の沖縄はかなり暖かそうだし、海洋レジャーシーズンはまだまだだから極めて格安だし、旅行社のパックなら代表的観光地が組み込まれているし、それに沖縄の工芸品が目当てでもあったから半日以上那覇での自由時間がとれるというプランを見つけて、女房と二人で思い切って嫌いな飛行機に乗って一っ飛びしてきちゃいました。
ツアーの名前はびっくり沖縄3日間と個人なら交通費も出ないようなお値段、出発がやや遅い午前11時15分、帰りも夜遅く羽田着午後10時20分というのは我慢しましょう、宿などの期待もまずはしないで、だからといってグレードアップオプションなどにも目も呉れず、ただひたすらと3日間は前半の団体バス観光旅行と最後の買物探索を楽しんで参りましたです、ハイ。
飛行機は約10年ぶりの僕、中学生になった年にニューヨークから帰国のプロペラ機以来という女房はもっと久し振りでジャンボ機に乗り込む行列の長さに驚くのは無理ありません。羽田を満員の乗客を乗せて10分遅れでJAL便は出発、フライトそのものはまずまず順調で那覇空港到着、しかし到着スポットに発着機がまだ待機中でまた少し待たされて飛行機を降り、添乗員が待つ到着ロビー外に予定より30分遅れで全員集合。このフライトではトイレ傍の窓側シートだったのだが、かなりひっきりなしに使用客がやってきて列ができる始末にアングリ、2時間半ぐらいの時間なんだから搭乗前にシッカリと用を済まして我慢できないものかと少しばかり糞害いや憤慨するのは僕だけでしょうか。そんなことも忘れて到着した沖縄の第一日目は天気予報が曇りだったものが晴れていて、沖縄でもこの時期ではやや暑いぐらいという22度の気温にこれなら半袖でもという陽気、沖縄はやはり温かいですねぇ。バスには参加客37名が乗り込んだ沖縄パックツアーのスタート、冬場だけ北海道からこちらに冬期転勤という若い女性添乗員とこれまたまだ新人に近いと思われるガスガイドで初々しく旅のスタートに、ツアー客は子供一人と母親、それに若い女性二人を除けばロートルばかりのまあ比較的に静かな一行となって、これはこれで付合いを気にせずに旅行できるというのも楽でいいんじゃないでしょうか。それにこの一行の全員、集合時間はしっかり守って結構気持よく旅ができて、パック旅行もたまには良いかなというのがこれは最後の感想ですけど。
最初の観光地である恩納村にある琉球村に向かえば、まずは道路の片側が基地で金網が貼られた広い芝生の光景が目に入る。そして走るにつれて見られる植生も見慣れない樹木ばかりが次々に目に付き、独特な樹形のがじゅまるぐらいだけが知っている木、またこの時期でもブーゲンビリヤやハイビスカスが咲いているのに南国を実感、我家では枯れそうなベコニアやインパチェンスも生き生きしている。高速道路沿いにもブーゲンビリヤなど勝手に生えているといった体、あとで分かった紫の花のノーゼンカツラ(信州の大型なものとは別種で園芸店でも売られている)などはそれこそ雑草状態。これはバスガイドさんも紹介していましたが、沖縄に来た内地の人が気候風土や食べ物以外に必ず挙げる違いとしては建物とお墓とか、沖縄は台風の通り道で平屋造民家までほとんどが鉄筋コンクリート、その中に独特の伝統赤瓦屋根にシーサーが置かれたものや、戦後からと思われるコンクリートで造った細い格子などの外装デザインの建物などが目に付く。お墓はこの旅行中の道路沿いにも多く見られ、特に斜面に何基も高野山の大名家の廟にも負けない大きなものが並ぶのは圧巻、墓を立派にするのは何にも増して親孝公、祖先への感謝なのだそうです。その形式には時代の変遷があり、もっとも旧くは洞窟をお墓にし遺体をそのまま安置したのが始まり、その後入口を漆喰で飾ったのが初期王家の墓、そして切妻家型のお墓となり、最終形式は屋根が亀の甲羅型になったものだそうですが、道路沿いの家型以降の墓はどれも前面に鳥居を建てて石やコンクリートでがっしりと造られ、神の社として祀ってあるのです。沖縄は仏教より神と共に暮す島なのですね。最近祀りをして花で飾ってあったものなどその多量の花になんとも信仰心の厚いことと感心しちゃいました、川崎にある当家の寺のお墓はお釈迦様の誕生日を花祭りと言うように花好きな仏教のものなのに、とてもあんな花束はなど置ける場所はありません。ほかにも沖縄はいたる所の屋根や門柱にシーサーがいて悪魔に睨みを利かし、辻辻には魔除け退治の石敢當と書かれた石が置かれて、呪術の世界が今尚生き続けているのですね。
琉球村手前にある黒糖製造販売施設が最初の訪問施設、ハム、ソーセージ製造会社の一郭に観光黒糖製造施設を設けたというところで、琉球村に近いことから次々と観光バスがやってくる。施設は大東町のサンサンファームでもよこしかしろの製造施設をみている僕にはそれよりかなり貧弱に見えた。サトウキビそのものも僕がガキの頃、親父の友人の農家で作っていたのを切ってもらってよくしゃぶっていたので珍しくはない。黒糖の奥行きのある甘味だけ試食で賞味しておきましょう。
その近くの琉球村は昔の木造伝統民家(冒頭写真)を何棟か移築し沖縄の伝統文化の雰囲気を味わせ、工芸体験や名産品販売する施設。目玉ショーだったハブとマングースの決闘実演は動物愛護団体の反対で今は立体映画だけとなってしまったとか、しかしこれは実際よりもドラマチックな映像に仕立てて見せているかもしれません。でも映像開始までに目の前の檻にハブとマングースを置いて、長々とした講釈の目的がハブ粉やハブ油販売だと分かってしまうのが興醒めですね。我々は途中途中の土産物は荷物にもなるしで最終日に那覇の国際通に行って安いのを狙って買込もうと、こういう施設では買わずに試食だけに精を出すという嫌な客に徹することにしました。
団体パック旅行はどこでも駈足で満遍なく沢山回るのが常なのでしょう、興味がある場所には次回に個人でどうぞと割り切ってしまえばある意味で便利お手軽初級遍の旅でになるのではないでしょうか。ここを手始めに次々と観光スポットに客を連れ回り、土産販売目的と引換に各施設の割引を引き出している訳ですね。このパックはあまりにも安いので交通費、宿泊、朝食以外は観光施設入場料などが自己負担となっていて、入場希望一覧表が最初のバス車中で配布されましたが、どれも普通の団体料金よりさらに安くなっているのが申込書の料金表示を見て分かりました。ここまで来て見学しないでバスに残っているなんてよっぽど根性悪と思われちゃいますからオプション以外は申込まない奴はいませんよね。
第一日目はこの二箇所だけで<今帰仁村のホテル宿泊となる。このホテル・マリンビューは奥まって辺鄙な海岸に面するロケーションに建ち、ビーチリゾート客がいない冬場は格安ツアー客誘致専用となっているようで、ツアー料金の朝食付宿泊B&B料金は低く抑えているらしい。その代わり辺鄙な場所で外への食事施設が無いことをいいことにして、夕食は貧弱な品数の大して美味しくも無いバイキングが3000円などと分捕根性を丸出ししているのは気にくいませんね。そんな訳でしかたなく全員がここのレストランで食事、さてこの地のアルコール類となるとビールは淡白なオリオンビールが地元産でメイン、他の銘柄はキリンラガー中瓶一種類しかない。お酒は泡盛が主で日本酒は大関と剣菱の二種類だけでワインも無い。ウィスキーやカクテル類は少しあるようだが我々夫婦の好みとは全く合わない。僕は売店で泡盛の3年以上寝かした古酒を買込み熟睡寝酒用にして、食事中はキリン中瓶一本だけで済ましてしまう。あくまで焼酎などの蒸留酒が苦手の日本酒やワイン党は自分の好きな酒をこちらから持込み、旅の間に飲み捨てて代わりにお土産荷物に順次取替えていく手を考えましょう。この旅行中旨い地酒などお目に掛かりませんでしたし、在ったとしてもビールを含め内地からのものは輸送費がかかって高い筈で、次回は自前無賃輸送しちゃいましょう。翌日早朝の出発前に東シナ海の海岸に出れば、波打際には細くて骨のように見える珊瑚の小枝状のものが打ち上げられているのを女房が拾う。目の前の明るい空色と遠くの紺碧を分けてやや沖合いに白く波立つ線が横に繋がり、沖縄の珊瑚礁の存在がよく分かりましたね。