
ツアー二日目はややユックリの9時にホテル出発、こうなると朝食後でもまた温泉に浸かれる余裕があると女房は三度目の風呂に、僕は熱の湯なる塩化物泉では出てから汗がなかなか引かないことになってしまうので止めときましたが。早目にロビーに降りて行って新聞を見ていれば、ちょうど読み終わったところで玄関先にバスが横付けされ、時間前には全員が乗車し、この日も雨ながら小降りで、昼ごろには台風が一番東北に近づくらしいがこのままを願っての出発となった。
この日の最初の観光場所は鳥海山の伏流水が滝となって流れる元滝でホテルからは30分ほどの場所、本来はそのあとの獅子ケ鼻湿原乃現地案内人が一昨日の豪雨で増水の具合が心配で事前にこちらの様子も見ておきたいと、予定外の案内を買って出て来てくれていた。バスの駐車場から散策路で元滝までは10分ほど、杉林と伏流水の流れる用水路沿いにやや上り坂を歩く、帰りも林道側は何も無いからと散策路の報を往復することに。いやここの伏流水の多さにはビックリしますな、白糸の滝というのは各地にあるようだがそんなものではありません、岩の間からとは思えない本物の滝と言った水量、辺りは霧状の水分が漂い、陰イオンをたっぷりと浴びることができましたよ。
駐車場にあった案内看板
熊出没注意とある
用水路となって滔々と流れる、これは田まで引かれていくんだそうだ
杉林、これも秋田杉というんだろうか
元滝近くは川の状態で流れる
滝付近は霧状になって
元滝1、手前から
元滝2、正面付近から
元滝3、奥から
次はさらに鳥海山に登って行った場所にある獅子ケ鼻湿原(冒頭写真は駐車場からすぐの川沿いの道への入口にあった案内看板)に、バスで配布されたルート図での説明で、まずは渓流沿いの道を歩いて3本の木道となる分岐点まで進み、今回はその左手奥にあるあがりこ大王というブナの巨木と、右手途中にある湧水に生える鳥海マリモを見て戻る予定で、両方とも往復で木道コースを歩くという、説明しながらだと2時間半ほどだが頑張ってくださいと。ここでのガイドさんは年季が入っていますねぇ、手元の資料も使ってよどみなくブナやミズナラの原生林の素晴らしさを力説、ダジャレも交えて飽きさせない。この日も2班に分かれての案内であったが、どちらも皆さんかなり健脚でスムースに回れていて十分に説明できるそうだ、今回のコースもかの88歳のお婆さんもチャンと歩いてきたものね。
配布されたマップ、下の赤丸印がバス駐車場、上部二つの丸印があがりこ大王と鳥海マリモ群生地
最初は川沿いに奥に進む
雨でブナの幹表面に雨水が集められて流れている
ブナ林では地上2m付近で姿が変っている、学者は積雪で曲げられた、鳥海山の噴火による、ウイルスなど病気説などと仮説をたてたが、地元の古老は我々が炭焼きで切ったからだと、ここの積雪は約2mだそうで、炭焼きはその積雪した2月頃から山に入って行ったという、そして枝分かれがあれば1本は必ず残して樹の成長を止めないようにしたんだそうだ
炭焼き窯跡、こういう窯が26箇所も分散してあったそうだ、伐採場所を移動しながら炭焼きしていたからだと
ブナの下にはオオカメノキだけが繁茂、これはブナがこの木だけを呼ぶんだそうだ
下に低木だけのブナ林は明るい、途中からは雨も上がってなおのこと、これは燭台と呼ばれる大木
根から持ち上がっての倒木が、直下には固い火山の岩盤があって根が深くは入れない
この原生林巡りのメインとして、まずは左手行き止まりにあるあがりこ大王から、奇形ブナとしては日本一の太さとあったが、この樹も地上2mあたりから曲がりくねった幹が何本も分かれて伸びていて、それもどれもが太いのは長らく切られることなく成長したらしい、さらにゴツゴツとした肌にも年期が入っているようで、原生林内のモンスターといった風格がある。こんな異様なブナは見たことはありません、参加者もこれには一周しながら只々無言で見上げるばかりであった。
推定300年以上と書かれているが、そんなものではきかないと
あがりこ大王は全週から眺められるようになっている
あがりこ大王
あがりこ大王
次の湧水群の場所に行くまでの道筋などで、ガイドに教えてもらった山野草は3種類ぐらい、ここはあくまでも樹木中心の探索コースでした、月山の草花中心の湿原と全く違う自然の両方見られるのがいい企画のツアーでしたね。
トリカブト ツクバネソウ ギンリョウソウ
もうひとつの見所は湧水群とそこの酸性水に育つ鳥海マリモという苔で、その場所は地図の分岐点に戻ってから、右手に進んで急な坂道を下りて行けば、それまで見えなかった鮮烈な流れが現れて、これが湧水群から集まってまとまった川となったばかりの場所、この中には至る所に緑の苔である鳥海マリモの厚い層になったものが見られる。落ち葉などで表面が隠れているものも多いが、その周囲には緑色が、これは表面だけじゃなくて川底岩破まで堆積して球体になっているんだそうだ。マリモといっても阿寒湖の球体のマリモとは全く違いますね、それに苔だというし、コケだから岩などに定着して、中に遺骸を残しつつ表面へと成長して大きくなったもので、大変に珍しいもので天然記念物になっているから、表面の落ち葉もいじれないんだそうだ。
湧水場所の坂上にあった説明パネル
湧水群からまとまった流れとなって
櫃があるのはこれから田地に向かう用水路に導いていくため
水中の緑は鳥海マリモ
表面に少しだけ現れた鳥海マリモ
水温はとても冷たい
鳥海マリモ
水中の苔の表面の緑だけを見ただけでは何とも思わないだろうけど、ここのは特別な存在なのだという説明を聞いたらナルホドと、自然の不思議に感心しちゃいますな。