本年最初に出かけた骨董市で買ってきた傷んだ軸物の仏画、帰ってから調べてみたら裏書から1800年頃のものと分かった。
東京フォーラムの骨董市で今年最初に買った仏画の小さな軸物、相当に傷んでいたのだが肝心の絵の部分だけがそんなでも無かったし、安かったからいいかとあまり詳しくチェックもせずにビニール袋に入れてもらって持帰った。
さて帰ってから裏を見たら3行の裏書があって、まず方便法身尊形という表題らしき、次に本願寺釈本如の文字と花押、最後に願主釈尼妙専という文字が読み取れる。それでネットで調べてみたら、方便法身尊形とは浄土真宗で名号より身近に信仰できるようにと阿弥陀如来の姿を描いたものだと。そして本如とは西本願寺龍谷十九世宗主でこれがその署名と花押ということ、最後に書かれた願主の妙専に与えられたものと判明した。本如は1778年~1826年の人というから、この軸は1800年頃のものと分かったが、願主のほうは釈尼とあるから女性だったということしか分からない。当時は飾られて大切な信仰の対象であったものが、どういう経緯か200年後のあの骨董市の片隅にまで遍歴して流れてきていたのですね。本来なら真宗檀家の立派な仏壇の奥に掛けられているはずで、古いお屋敷の見学で見たことがあったなと。
どういうわけかたまたま今年最初の読書に選んだのが梅原猛の親鸞の告白という小学館文庫の一冊、それを読んでいるときに巡り合うとは何か因縁を感じますねぇ。
軸に作り直すとなると費用がかかるからと、自分勝手に和紙を裏打ちに使ってバラバラの表具部分を貼りあわせて冒頭写真の姿にまとめてみた。今は皺伸ばしという名目で壁にで留めているが、間をおかずにいつもの画材屋に持込んで額装してやらなくちゃねと。軸装ほどではないにしても絵よりそちらの方が高くついちゃうんだけれど。