信州の観光推進を目的に昨年から始められたという物味湯産手形なるサービス、この手形を1300円で購入すれば信州各地の参加温泉施設や温泉宿の中から12ヶ所に1回ずつ無料で利用できるという嬉しいサービスが売り、ほかにも参加する飲食店やレジャー文化施設などのリストがあって割引サービスなどが受けられるという、これは信州にかなりの日数を滞在する我々には実にお得なサービスだと、今年の5月に購入して温泉ばかりをもう8ヶ所まで利用しましたよ。
冒頭写真がその手形で左側はその中の温泉スタンプページ、このように利用施設のスタンプが押されてそこでの無料利用は1回だけOK、このペースなら10月までに全部を消化できそうですな。この企画は南信地区の昼神温泉からということで、昼神温泉では大型温泉ホテルの立派な温泉が利用できるということを、この手形を利用した地元の人に温泉で出会って聞いたが、東信地区では公衆温泉はかなりあるのに温泉ホテルの参加が少ないのは寂しい、でも別所の老舗旅館の柏屋別荘と小諸の藤村ゆかりの宿の中棚荘がリストにあって、この二つには入っておこうとこの9月の滞在中に行ってみたのでその感想を。
柏屋別荘は別所温泉でも一番の老舗宿、そのすぐ手前には池波正太郎の真田太平記で、幸村と女忍者お紅とが結ばれたという設定になっている共同湯の石湯がある。柏屋別荘ではつつじ庭園でも有名で、その時期には無料で拝観できたはず、江戸時代からの建物も含めていくつかの棟が斜面に沿って残るその造りを見物するのもいいのでは、そんな歴史のある宿の温泉はいかなるものかと。
石湯、すぐ右手が柏屋別荘
柏屋別荘
温泉はかなりの硫黄臭があって、男女それぞれに内風呂と露天があるものの意外に小さい、入ってみたら内風呂は熱めで隣の岩の湯も熱かった記憶があるが、源泉が50℃ほどというから昔ながらの浴槽では高めなのは普通なのかも、でも露天の方は目の前の岩から流れ出ているとあったがややぬるめで、ハテ外気温で冷めているのか、この湯温の露天なら長湯できます。飲泉もできるらしいがそれ用の設備は見当たらなかった、古い宿では増設でも相ない限りは温泉自体はこんなものでしょう、ただ内湯の洗い場は畳にしているのは滑らなくていいですね。
パンフレットから
アルカリ性単純硫黄泉の温泉成分表
中棚荘は小諸駅からは1kmほどと歩いても行けるこんな場所にというロケーション、でも小諸は坂の町というように急な斜面にあって、こちらのほうが柏屋別荘よりも上下配置がきついから老人には大変かも、でも大きな木々も多い庭園は広くて2階建ての建物が連なる全体の風情がいいですな。
一番下側からのアプローチ
中棚荘玄関
風呂は敷地でも一番高い高台に独立してあって、階段を登っていくと少しばかり息が切れるほど、というわけでか途中に休憩所があって、冷した温泉水が飲めるようになっていた。ここの温泉施設はかなり大きくて、着替え場はゆったり広めで畳敷き、大型浴槽の内風呂の先には適温とぬるめの浴槽がある露天風呂とがあって、全体が石と木でいい感じの造り、さらに目の前には木々が繁って気持ちがいい、なかなかの温泉じゃないですか。
パンフレットから
泉質はアルカリ性単純泉で湯温は38.2℃とあったが、特にぬるめの露天浴槽に浸かっていると微細な気泡が肌に付いてきてヌルリと、これは田沢温泉の有乳湯ほどではないものの鮮度がいい温泉だと分かる。湯が竹樋から流れ落ちるこのぬるめのほうは温度が体温よりちょっとだけ高めぐらい、冬場では寒いくらいの湯だから恐らく源泉そのままでしょう、加温しない分だけ気泡が多く残っているんだと思う、内湯ではやや気泡が付くかなという程度で注意しないと分からない、このぬる湯には絶対に入るべきですね。観光案内のこの宿の記事では藤村が滞在した文人の宿の方を強調しているが、この温泉ももっと謳っていいのでは、10月からはリンゴを浮かべるそうだが湯の鮮度ももっと自慢したらいい。
温泉成分表
敷地内には登録文化財になっている元紺屋の建物を移築したはりこし亭という食事処も独立してあって、食事をすれば入浴割引券をくれるということだ、ここが小諸駅のすぐ近くにあることは知りませんでした、車じゃなくても利用できます、食事と温泉とが楽しめて明治大正の雰囲気を味わうなんていうのもいいんじゃないかな。
はりこし亭
外にあった御品書き
東信地区では標高2000mの高地にある高峰温泉も参加していて、この温泉は下の菱野温泉から汲み上げていると聞いたが天気が良ければ展望が素晴らしいらしい、機会があれ入いってみようかと、でも延々と車で急坂を登らないといけないんで、それと近くにある高峰高原の山野草の花はもう終わっちゃっているな。