超人気の作曲家だったバート・バカラック(Burt Bacharach 1928~2023)氏が亡くなった。94才。アカデミー賞3回、グラミー賞8回を受賞した氏は、カントリー、リズム&ブルース、ソウル、シンセポップ(=country, rhythm & blues, soul and synth-pop)で500以上を作曲、長年、著名な歌手たちとコラボしてきた。
自分が1960年代後半から70年代前半、ビバリーヒルズのユダヤ系アメリカ人夫婦の家に houseboy (住み込み雑役人)として、貧乏留学生の生活を謳歌(おうか=enjoy)していた時、老夫婦の所有していた新品の高級車「サンダーバード」を毎日のように運転していた。金がないのに自分の所有していた中古のスポーツカー「英国製サンビーム」、そして中古のスポーツ車「ムスタング2+2ファーストバック」も毎日運転。住み込みの仕事、学業、ガソリンスタンド・まくら製造工場のバイトと、365日寝る時間もなかったが、それらの車のカーラジオから流れる曲を聴くのが楽しくて楽しくてしょうがなかった。
【Ford 1967 Thunderbird】 【GB 1962 Sunbeam Alpine】 【Ford 1967 Mustang 2+2 Fastback】
日本が第二次世界大戦で敗戦し、経済復興がまだまだこれからという時期に(55年前の古い話なので、ご勘弁を!)、米国の映画・テレビ産業が最盛期でそれらで働く裕福な人、超高級住宅街を目の当たりにし、カルチャーショックというよりは、街中がリンカーン・コンチネンタル、キャデラック・フリートウッド、ロールスロイス、ランボルギーニ・カウンタック、マセラティ、メセルデスベンツ、ベントレー、フェラーリなどであふれていて、驚きと感動でいた状態にあり、車が大好きな「カーキチ(車・気狂い)」であったのでそうなったのかもしれない。(当時は外国為替市場は固定相場で1ドル360円。そして、日本車はトヨタ、日産でさえ米国ではほとんど認知されていない状態だった。)
そして、その時代の曲の多くが作曲家バカラック氏が作ったもの。当時のアメリカのテレビ番組にも彼自身の映像、作曲した曲を歌う歌手が毎日のように登場していたのを思い出した。
下記は彼の大ヒット曲のごくほんの一部:
"Only Love Can Break a Heart" by Gene Pitney 歌手ジーン・ピットニーの「【邦題】恋の痛手」(1962)
"Blue on Blue" by Bobby Vinton ボヴィー・ヴィントンの「ブルー・オン・ブルー」(1963)
"Wives and Lovers" by Jack Jones ジャック・ジョーンズ「素晴らしき恋人たち」(1963)
"What's New Pussycat?" by Tom Jones トム・ジョーンズの「何かいいことないか子猫ちゃん」(1965)
"What the World Needs Now is Love" by Jakie DeShannon ジャキー・デシャノンの「世界は愛を求めている」(1965)
"The Look of Love" by Dusty Springfield ダスティ・スプリングフィールドの「恋の面影」(1967)
"This Guy's in Love with You" by Herb Alpert トランぺッター&歌手ハーブ・アルパートの「ディス・ガイ」(1968)
"Casino Royal" by Herb Alpert and the Tijuana Brass ハーブ・アルパートとザ・ティファナ・ブラスの
「カジノ・ロワイヤル」(1967)
ジェームス・ボンド映画『007/カジノ・ロワイヤル』の主題曲
with Dionne Warwick
"Always Something There to Remind Me" by Dionne Warwick (1966)
"Alfie" by Dionne Warwick ディオンヌ・ワーウィックの「アルフィ」(1966)
"I'll Never Fall in Love Again" by Dionne Warwick ” ” 「恋よ、さようなら」(1968)
"Walk on By" by Dionne Warwick ” ” 「ウォーク・オン・バイ」(1968)
"Do You Know the Way to San Jose" by Dionne Warwick ” ” 「サンホセへの道」(1968)
"I Say a Little Prayer" by Dionne Warwick ” ” 「小さな願い」(1967)
"I Say a Little Prayer" by Aretha Franklin アレサ・フランクリンの「小さな願い」(1968)
"Raindrops Keep Fallin' on My Head" by B.J. Thomas B.J. トーマスの「雨にぬれても」(1969)
映画『明日に向かって撃て!(="Butch Cassidy and the Sundance Kid")』の主題歌
"Close to You" by the Carpenters ザ・カーペンターズの「遥かなる影」(1970)
"One Less Bell to Answer" by 5th Dimension フィフス・ディメンションの「悲しみは鐘の音とともに」(1971)
また、バカラック氏の多くの曲目は、エルビス・プレスリー(Elvis Presley)、ザ・ビートルズ(the Beatles)、フランク・シナトラ(Frank Sinatra)、ナット・キング・コール(Nat King Cole)、ペリー・コモ(Perry Como)、ドリス・ディ(Doris Day)、アンディ・ウイリアムズ(Andy Williams)、ニール・ダイアモンド(Neil Diamond)など、1,000人以上の有名シンガーによってカバーされている。特筆すべきは、氏は若い頃(1958~1964の間)、映画名女優&歌手のマレーネ・ディートリヒ(Marlene Dietrich)に同行しミュージック・アーチストとしてステージに立っている。バカラック氏は4度の結婚をしており、2番目の妻は有名な女優のアンジー・ディキンソン(Angie Dickinson)。
with Angie Dickinson
これからも長く長く、バート・バカラック作曲の音楽が人々を楽しませるだろう。
■YS
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます