トランプ大統領のツイッター(& インスタグラム)を毎日みている。
世界のトップリーダーが SNS (=social networking service) を使って米国民、そして全世界に発信するのは非常にまれであり、トランプ氏が人類史上、初めてある。大統領のこの行為の賛否はともかく、世界に与える影響力は絶大である。
通常、各国の指導者がどんな考え方でどういう政策を打ち出してくるのかは、政府からの公式な発表がないと全くわからない。その点、トランプ大統領は頻繁にツイートをし自分の考え方を述べ、自分の意見に反対する者には名指しで批判し、それが部下だったら即座にクビで、好き嫌いが非常に明確である。また政治家特有の言葉の使い方、相手を気遣っての発言などは一切見うけられない。「感情的」で「単純さ」が、逆に『となりのおじさん』の話を聞いているようで「一般受けする」のが良くわかる。【参考ブログ:『なぜ、トランプ大統領はいまだに40%前後の支持率をキープできるのか?!-ポピュリズム』(2018・3・10) 】
元旦からの一週間のツイッターで大統領の今の懸念が見えてくる。大きく分けて『壁』、『弾劾』、『再選』、『野党民主党』の4つがある。
(I)2年前の大統領選挙戦での最大公約の一つで、メキシコ国境沿いのすべてに『壁』を造ること。メキシコ国境からの不法移民の流入は、アメリカ合衆国建国当時から現在に至るまでの各政権の「最大の頭痛のたね(the biggest headache) 」である。毎年、100万人前後の不法移民が入ってくる時期も長く続いたこともあった。この国境警備(border security) の予算をめぐる与党共和党と野党民主党の対立で米連邦政府の一部が閉鎖された状態になっている。
【エピソード】1960年代後半、大学生の頃、ロサンゼルスのガーディナ市(Gardena) でアルバイトをしたことがあった。そこは枕(まくら pillow )製造工場で全米大手のデパート2社(Sears & Roebuck and J.C.Penny) に大量の枕を卸していた。オーナー兼社長はユダヤ系ドイツ人。自分は事務員。英語を話すのはこの2人だけ。工場従業員120名はすべて違法メキシコ人でスペイン語しか話せない。ある日突然、移民管理局からの一団による手入れがあった。即座に120人は強制送還用の車に乗せられてどこかに連れて行かれた。工場が空っぽになった。当初、何が起こったのか分からず恐怖だった。確か2週間後位だったと思うが、同じ従業員全員が工場にもどってきて、何事もなかったかのように淡々と仕事をしていた! アメリカとメキシコの国境には幾つかの検問所はあるのだが、なにせ国境は長くすべてのポイントで取り締まるのは不可能に近い。なので不法移民の問題は永遠のテーマで、トランプ大統領としてはこれに終止符を打ちたいのだ。 【参考ブログ:『米国とメキシコの国境・不法移民』(2016・2・24) と『移民・不法移民・難民』(2017・2・23) 】
(II)ロシア・プーチン政権の米大統領選挙戦の介入、いわゆる「ロシア疑惑」でトランプ氏が関わったことが立証されると議会の『弾劾』で大統領辞任に追い込まれる。【参考ブログ:『弾劾裁判』(2017・5・24)と『中間選挙後のトランプ政権』(2018・11・15)】
(III)大統領を一期(4年間)終えると、必ず二期目もしたくなるのが政治家。トランプ大統領も例外ではない。『再選』のため試行錯誤している。アメリカ合衆国では法で二期(8年)以上出来ない。
(IV)下院を牛耳っている(=controlling the House) 『野党民主党』は、大統領にとっては「目の上のたんこぶ(=a constant hindrance) 」。相手を批判することで何とか国民を味方につけようと色々と試みているのが興味深い。
以上、トランプ大統領のツイートは日本の学生だったら簡単に理解できる。英語の教材として使ったら面白いかも?! ■YS
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます