先月11月半ばに作家の藤原ていさんがお亡くなりになりました。98歳でいらしたそうです。
藤原ていさんといえば、子育て中の若い頃に彼女の著書『流れる星は生きている』を読んだことを思い出します。今、その本は手元にありませんが、言葉では表せない程の苦しみが伝わってきて、涙なしには読めない本でした。
満州の首都新京で終戦を迎えたていさんは、ソ連が参戦し攻めて来たため、仕事で現地に残る夫と別れて、一人で生まれて1ヶ月の赤ちゃんを入れたリュックを背負い、3歳、6歳の幼子の手を引き、筆舌に尽し難い苦労の末、38度線を越え帰国。その壮絶な引き揚げ体験記を『流れる星は生きている』として出版しました。
産後1ヶ月の女性一人で、生まれたばかりの赤ちゃんと二人の幼子を命がけで守り、日本に連れ帰って来たのです。並大抵のエネルギーと意志ではないですね。
この本を読んだ頃、同じ位の歳の子供を育てていた私は、平和な環境に感謝するとともに「しっかりせい」と言われた気がしたのを憶えています。
この本は、幼子を守り抜いた母親の強靭(きょうじん)な精神と愛情を記したとして、昭和24年のベストセラーになったそうです。
2011年夏にスイスに行った時、アイガー北壁下のハイキングコース入り口付近にある、藤原ていさんが建てられた、彼女の夫の作家新田次郎記念碑を見学しました(その記事はこちら)。ていさん死去のニュースが流れた時、『流れる星は生きている』とこの記念碑のことを思いました。
どうぞ安らかにお眠り下さい。
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