南斗屋のブログ

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自賠責保険における後遺症認定

2005年11月22日 | 交通事故民事
 自賠責保険における後遺症の認定は、
  ・自賠責保険に対して後遺症について被害者請求をした場合
  ・後遺症の認定のみを申請する場合(事前認定)
があります。
 いずれも申請書類の提出先は、加害者側の自賠責保険会社ですが、実際に認定作業をしているのは、調査事務所です。自賠責保険会社は、書類を調査事務所に送付し、実際には調査事務所が認定作業をします。
 もっとも、法律的には、あくまで自賠責保険会社が認定をし、損害賠償金の支払いも自賠責保険会社ということになりますが。
 後遺症の等級は1級から14級まであり、これは自賠法で決まっています。
 自賠責の後遺症認定は、書面審査であり、調査事務所が、提出された書面及び医師への医療照会の結果をもとに判定していきます。
 自賠法に記載されている後遺症の文言というのは抽象的なので、具体的には労災保険でも使用されている後遺症認定の基準を参照して認定が行われます。
 調査事務所で等級認定作業が終わると、自賠責保険会社に書類が送付され、最終的に被害者には自賠責保険会社から、何級と認定されたかが示されます。
 このときに認定理由を記載した書面が交付されていない場合は、自賠責保険会社に請求すれば認定理由をもらうことができます。
 理由に納得できなければ、異議申し立てができ、さらに審査してもらうことが可能です。
 以上述べたように、後遺症認定は基本的に書面審査であり、書面、つまり、後遺症診断書や診断書、画像、医療照会の結果が重視されますので、これらが被害者の後遺症を十分に記載してあるのかどうかを見極めることが重要です。
 このような目利きには、ある程度の医療上の知識が不可欠であり、今後弁護士もこの分野での知識の蓄積をはかっていく必要があります。

 自賠責保険における後遺症認定は、裁判官を拘束しません。裁判官は、自賠責保険で認定された等級とは、別の等級を認定することができるのです。例えば、自賠責保険が14級を認定したとしても、裁判官はそれに対して12級を認定することもできますし、後遺症非該当であるとすることもできます。
 もっとも、裁判官も医療知識にそれほど詳しい方ばかりではありませんから、自賠責で出た認定を参考にしますし、加害者側が争わなければ自賠責の等級がそのまま認定されることもあります。
 ですので、最終的に裁判をすることになるケースを考えても、自賠責保険の後遺症認定で適正な等級を得ておく必要があるのです。 


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