南斗屋のブログ

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女性の顔面醜状と逸失利益 下

2006年03月05日 | 未分類
 最近見た裁判例の中で、逸失利益を否定したものには、こんなものがありました。
 被害者は、3年前まではモデル、レースクイーンしていましたが、事故当時は派遣社員などをしていました。
 事故に遭い、顔面醜状7級の後遺障害が残りましたので、逸失利益を請求しましたが、裁判所は認めませんでした(京都地裁 H17.9.22 自保ジャーナル1626号10頁)。
 被害者は後遺障害が残ったので、引きこもりがちになり、仕事が出来なくなり、家事手伝いのみをしていたのですが、裁判所は「それは精神的に大きな衝撃を受けているのであって、顔面醜状自体の影響で仕事が出来なくなっているのではない。」と判断し、逸失利益を認めませんでした。

 もっとも、このように逸失利益を否定した裁判例があるかと思えば、自保ジャーナルの同じ号では、
  20%の労働能力喪失を20年間に限り認めた裁判例
も載っていますし、裁判所に対する立証の問題もあるのかもしれません。

 なお、更に深く勉強したい方は、2001年版赤い本306頁の論文も参照されたらよいと思います。



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