南斗屋のブログ

基本、月曜と木曜に更新します

NASVA 交通事故被害者ホットラインの対応時間はお役所的にすぎないか

2007年10月08日 | 未分類
 自動車事故対策機構(NASVA)の交通事故被害者ホットラインについては、以前「NASVA交通事故被害者ホットラインは機能するか
という題で書いたところですが、自動車事故対策機構のメルマガから、その件でメールが来ました。

 内容は、この記事の末尾に引用しておきますが、今回問題にしたいのは、その対応時間です。

 開設時間は
  ”9:00~17:00(土・日・祝日、年末・年始を除く)”
となっており、これを見た瞬間なんともお役所的なと思いました。

 午前9時から午後5時まで、しかも土・日・祝日、年末・年始を除く時間帯というのが被害者にとって掛けやすい時間なのか?というのが、最初の感想です。

 このメルマガを見て、その後このホットラインについては、忘れていたのですが、午後5時のチャイムが鳴ったので(当事務所の近くでは午後5時にチャイムが鳴ります)、思い出して電話をしてみましたところ・・・・

 既に、留守番になっておりました。

 チャイムが鳴っている最中にかけたので、午後5時をすぎていても、午後5時1分は回っていなかったはずですが、既に留守番電話対応となっており、「午前9時から午後5時までにおかけください」とのテープが流れるだけでした。

 メルマガでは、
”交通事故被害の相談はすぐナスバ! お電話お待ちしています。”
と宣伝されているのですが、あまりにお役所的な対応にこれで本当に大丈夫なのだろうかとの懸念が拭えません。

 このホットラインで聞きたいこともあるので、また電話してみようと思っていますが、私自身ですら、平日のこの時間帯にかけられるだろうか、土・日対応やせめてもう少し夜間対応をしていてくれればと思わずにはいられません。


(ナスバメルマガからの引用)
□交通事故被害でお困りの時はNASVAへコール!
NASVAは、10月1日から「NASVA 交通事故被害者ホットライ
ン」開設して、自動車による交通事故被害でお困りの被害者及びそのご家
族等の皆様から電話による相談を承っております。
ホットラインでは交通事故の被害に遭い、法律、金銭、介護など交通事故
に起因する悩みごとを、何処に相談すればよいかお困りの皆様に対して、
地方公共団体をはじめ各種相談機関の法律、損害保険及び紛争処理等に係
る相談窓口をご紹介いたします。
また、NASVAのサービスとして行っている交通遺児等への貸付(無利
子)、介護料の支給及び療護施設等についてご案内いたします。

○開設時間 9:00~17:00(土・日・祝日、年末・年始を除く)
○電話番号 0570-000738(ナビダイヤル・すぐナスバ)
固定電話からであれば全国どこからでも3分8.5円(税別)で通話でき
ます。

PHS・IP電話からは、03-3288-3671へお電話下さい。

交通事故被害の相談はすぐナスバ! お電話お待ちしています。

ホットラインHPはこちらから
http://www.nasva.go.jp/hotline/index.html

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ADL(日常生活動作)が自立とは

2007年10月05日 | 高次脳機能障害
 高次脳機能障害の方のケースを扱っていますと、後遺障害診断書に「ADL(日常生活動作)は自立」と書いてあり、その後に様々な高次脳機能障害の内容が書いてあるものがあります。

 このようなケースで訴訟になると、被告(加害者)側は、「ADL(日常生活動作)が自立しているのだから、介護料は不要(又は原告の請求は過大すぎる」というような主張を必ずといっていいほどしてきます。

 確かに、語感からすると、「日常生活動作が自立している」という言葉には、普通の日常生活は行えるというように聞こえます。
 しかし、医学用語としての「日常生活動作」は、通常の日本語とは異なるものだと理解しなければいけません。
 

 医学書、たとえば、千野直一ほか編集主幹による
”リハビリテーションMOOK9「ADL、IADL、QOL」”
という本によると
 ADL(日常生活動作)とは、
 ”個人が毎日の生活を送る上で基本的に必要な動作の一式”
をいうとしています。
 これだけでは、まだ何がいいたいのかよくわからないのですが、その後に、

 ”「基本的」とは、独居のためではなく、施設や病院などでの生活を表し、独居に必要な動作はIADL(手段的ADL)として扱われる”

というところまで読むと、ADLが指している意味が明らかになってきます。

 つまり、ADLというのは「施設や病院などでの生活」を前提とした概念で、実際の日常生活における動作は、含まれていないわけです。
 実際の日常生活における動作は、IADL(手段的ADL)という別の概念があるわけです。
 
 
コメント (1)
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介護の一般的知識を弁護士が知っておく必要性

2007年10月03日 | 高次脳機能障害
 このブログでもときどき本の紹介をしますが、やはり医学的な書籍や論文というものは、訴訟をする上で必要になってきますので、普段からそういうことに意識して本屋さんを回ったりしています。

 訴訟では、実際に被害者(障害者)がどういう介護を受けているのかということと、それが一般的なことなのかどうかという両方を立証する必要があります。

 被害者(障害者)がどういう介護を受けているのかについては、実際に介護をしている方に聞き取りをしたり、その現場を見たりということで調査をし、まとめていきます。

 しかし、その前提として、やはり介護の一般的知識がないと、うまく調査できないということもあります。

 「どういう介護をしているのですか」と弁護士から尋ねて的確に答えていただける方もいらっしゃいますが、どこが訴訟のポイントとなるかわからない被害者(障害者)の家族側から話を聞き出すには、どのような介護が一般的に必要なのかという点をおさえておかないと、うまく質問できないということもあります。
 
 例えば、食事の介護ひとつとっても、遷延性意識障害の方の場合と高次脳機能障害の方の場合とでは、介護内容が全然違います、

 遷延性意識障害の方の場合は、食事は自力で食べることは全く不可能という点では共通していますが、例えば、口から物を食べることができるかどうか(経口摂取の可否)によって必要とされる食事の介護が違ってきます。

 高次脳機能障害の方の場合は、
 ・食事を自分ひとりで用意できるか
 ・自分で用意できないとすれば、どこまで介護者側が用意してあげないといけないのか
 ・食事が全く用意できないとして、お腹が減ったということを意思表示できるのかどうか(意思表示できなければ、声かけして確認する必要があります)
 ・目の前に食事をおいたとして、自分一人で食べることができるのか、麻痺などがあって食べることができないのかどうか
等々、細かくわけて聞いていくことにより、介護の実態があきらかになってくるわけです。

 このように分析して考えていきますと、普段何気なく自分が行っている「食事をとる」という行為自体、非常に難しいことの繰り返しのように思えてくることもないではありません。


  

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弁護士の就職問題

2007年10月01日 | 未分類
 今回は、交通事故事件とは直接関係ありませんが、その担い手の一角である弁護士業界がかかえている就職問題について書いてみました。

 先日、私の所属している弁護士会で、司法修習生(司法試験に合格して、まだ弁護士となる前の研修中の身分)向けに就職説明会が開催されました(各弁護士会の就職説明会の一覧→こちら)。
 参加した修習生は50名以上なのに、求人側の法律事務所は8つしかなく、これだけみると完全な「買い手市場」というように見えます。

現在、「弁護士の就職問題」として、マスコミにも取り上げられるようになってきました。これは司法試験の合格者は急増しているのに、求人数が少なく、法律事務所に就職できない修習生が増えているというものです。

 確かに、私が司法試験に合格した時は、合格者数が年間600人でしたが、現在は2400人であり、実に4倍にもなっています。
 司法修習生は裁判官や検察官にもなれますが、裁判所や検察庁は定員が定まっており、求人数としては増えていないので、必然合格者数の増加は弁護士数の増加に結びつきます。
 しかし、法律事務所の求人が増加するかどうかは、合格者数の増加とは関係がありませんから、そのギャップが就職問題というものを生み出してしまっているということになります。

日弁連では、この問題に対して、就職相談窓口をもうけて対応しているのですが(→日弁連のサイトでの説明)、全体の求人数を増やさなければ、根本的な解決にはならないでしょう。

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