#225 バークレイ・ジェームズ・ハーヴェスト「Thank You」(Baby James Harvest/Harvest)
英国のロックバンド、バークレイ・ジェームズ・ハーヴェストの4thアルバム(72)より。結成以来のメンバーのひとり、ジョン・リーズ(g,vo)の作品。
バークレイ・ジェームズ・ハーヴェスト(以下BJHと略)は66年ランカシャー州オールダムで結成、紆余曲折を経て現在に至るまで活動を続けている、非常に息の長いバンドだ。
BJHのサウンドはこれまで「プログレ(ッシブ・ロック)」と呼ばれることが多かったが、曲によっては必ずしもそういう括りには当てはまらないものもあって、ジャンル分けすること自体、無意味な気がする。しいていえば、フォーク・ロック的な味わいの曲が多いと思う。
ボーカル・スタイルは、素朴で(よく「牧歌的」と称されている)強い個性、パワーには欠けるものの、聴きやすい素直な歌声だと思う。
どちらかといえば、ストリングスやメロトロンなどのキーボードをフィーチャーした、クラシック音楽と融合したような繊細なサウンドで知られているBJHにしては、わりと「ロックしている」のが、きょうの一曲。
印象的なイントロ、そして熱いギター・リフからはじまる「Thank You」は、メロディラインがわりと硬派で黒っぽい。よくスクウィーズするギター・ソロが前面にフィーチャーされており、それを非常に巧みなピアノがバックアップしている。BJHの、ロックンロール・バンドとしての本質を見せつけてくれるのだ。
曲としては、いわゆる「オチ」のような部分がなく、エンドレスで演奏が続いていく。4分半足らずなので、ちょっと短い感じはあるが、リーズのギター・ソロの出来のよさが、それを十分補っている。
ビートルズ的なメロディセンスのよさ、10CCのような高度のサウンド構成力を兼ね備えた彼らは、もっと評価されてしかるべきだと思うのだが、ほとんどヒットらしいヒットを出すことなく、いまだに地味な存在のままである。
でも、このアルバムはポップな要素と音楽性の高さが両立した、良作だと思う。40年たとうが、一聴に値すると思う。
躍動感に溢れた音楽、それがロックンロール。BJHもまたすぐれたロックンロール・バンドであることが、この一曲でよくわかる。
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